福野文化創造センター「ヘリオス」

とにかく、花粉症が大変に厳しいこの頃ですが、先日、富山へ視察へ行ってきた。以前から、気になっていた“ヘリオス”へ。

先に終了した、2月議会の代表質問において、岡山市へ向けて

「後楽館跡地に岡山市民会館と岡山市民文化ホールの合築は可笑しい。なぜ、それぞれ、稼働率のよい両館をわざわざ合わせる必要があるのか?市民会館はしっかりと政令市にふさわしいハード、ソフト面を強化したうえで、跡地へ建設。市民文化ホールについては地区公民館(近隣にないので)との合築において、衰退の著しい表町商店街の南エリアへ建設すべきだ!」

という質問を投げた。これをうけて、「1年間、再度調査してみたい」という答弁であったので、それを受けて、早速視察。

福野文化創造センターのオープンは平成3年3月3日。これは、あえてゴロを合わせたらしい。ちなみに総工費も33億3千万円。ここまでくると少し興に乗りすぎな感もあるが、牽引した当時の町長は相当な思い入れをもってこの館の建設を試みたのはいうまでもない。富山県の福野町は当時人口1万5千人、現在は合併により南砺市にくわわり人口は5万4千になっている。当時のバブル景気にのってつくられた。今では考えられない規模のセンターである。円形劇場のヘリオスと図書館、各種学習部屋、展示ホールなどを複合した施設。建物そのものが芸術性を持ち、地方からの文化の発信基地としてスタートし、22年経ち現在に至っている。

一時間に一本しかない福野駅に降り立ちヘリオスまでは徒歩10分だが、道中、本当に人もいなければ店もない。駅前にかろうじて、ミニ再開発によるフランチャイズのラーメン屋があるくらい、、。そんな環境にヘリオスはある。

もっとも、今回の視察目的はハードではない、行政と民間が連携した、ヘリオスのソフト事業である。ここが全国に誇るのは「地域密着型音楽フェス」によるマチづくりである。

『スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド』これが、富山県の南西部の小さな町「福野」で生まれたワールドミュージックフェスティバルである。テーマは音楽を通しての異文化交流。ワールドミュージックの紹介を通して、世界各国の様々な文化と出会いの場をつくり、相互理解を深め、地域に根ざした新たな音楽文化の創造を目指す「市民参加型フェスティバル」として全国から注目を集めている。

市民主導のフェスティバル 
小学生から70代まで約200名からなるボランティアスタッフからなる実行委員形式をとる。委員長は商工会青年部の方。行政はその事務局を担当。なんと、1年間かけて(基本月2回の会議)準備期間をとる。年間予算は1200万。

スキヤキから生まれた市民楽団
もともとはトリニダートトバコのスティールパンオーケストラが楽器一式を置き土産にし、それを元に、小学生によるスティールドラムのクラブを設立し、毎年の発表に向け取り組んでいる。年間を通じてワークショップが開催され、本番に演奏される。海外のプロのアーティストの長期滞在型のワークショップが毎年行なわれる。ここから生まれたのが、「気分はカリビアン」「サラマレクム!」「サムルノリ・シグ!」「スキヤキ親指ポロリンズ」そして、『スキヤキ・スティール・オーケストラ』である。すでに、このグループは市民楽団を超え、自立運営をしているという。

シティプロモーション
スキヤキに招聘するアーティストを多くの日本人に紹介しようと、2011年より東京でも「スキヤキ・トーキョー」として開催されている。岡山のシティプロモーションは形式ばったのばかり。もっとこういう市民の顔のみえる、特色あるものでなければ。

世界とのネットワーク化
幸運にも職員として(今回の視察でも対応頂いた)フランス人のニコラ・リバレさんが音楽プロデューサーをされているため、海外との繋がりが生まれている。ネットワーク・フェスティバルとして、ミュージック・メティス(フランス)、ジャラスム・ジャズ・フェスティバル(韓国)光州ワールドミュージック・フェスティバル(韓国)がある。これは主に、フェスティバルの運営スタッフ交流。スキヤキの担当者は皆、フランスには直接いかれているらしい、、羨ましい。岡山市も姉妹都市として海外との交流はあるが、真に、こういう交流をつくっていくべき。本当に現場レベルでの繋がりを。

ハコモノ行政から、「市民レベルの活動が反映される運営」への転換を、これからの岡山行政は学ぶ所が多い。行政と言えど、やっぱり、一握りのひとのこころの繋がりなんだ。

岡山市もこれから!!

福野文化創造センターヘリオス http://nantohelios.jp/

すいません、写真撮り忘れたから、ネットからです、、。