2024年 9月定例議会個人質問
2024.11.05
1 ユネスコ創造都市ネットワークについて
先月創造都市ネットワークへ2013年に加盟される札幌市(メディアアート)を視察し、創造都市札幌の定義や加盟10年の取り組みや今後についてご教授頂きました。創造都市とは「文化芸術の持つ創造性を地域振興、観光産業・振興等に領域横断的に活用し、地域課題の解決へ取り組む地方自治体」と文化庁が示してあります。1 本市は創造都市へ向けて文学分野を基軸に今後どのように取り組まれますか?岡山市にとって創造都市とはどういうものでしょうか?創造性による領域横断で地域課題解決になる指針が必要ではないでしょうか?→岡山市創造都市の定義「創造都市おかやま」
市長答弁
文化芸術の持つ創造性を、まちづくりに活かしていくということは、重要なことだと思っています。この議会でも、何度かお話ししていますけれども、ハレノワが建って1年間なんですけれども、随分、表町が変わった。そして、岡山のこの中心街の大きな位置付けも、また変わりつつある。という面では、非常に大きなインパクトがあったんじゃないかなと思っています。
今回、それこそ議会の議員さんからの最初話があって進めてきた文学分野のネットワークに加盟して、2つの側面があるのかなと思っています。一つは、やはり国際交流ということであり、特にこういう政治的な分野ではない非常に話しやすい、各都市と話しやすい雰囲気の中で交流ができているということは、私は大きなことじゃないかなと思っています。二つ目としては、そういう海外の様々な方と話すことにより、そして彼らの動きによって我々が刺激を受けることだろうと思います。これで岡山の文化も変わっていくんじゃないかと思っているところであり、これからのいい影響を期待しているところであります。
そういう面で、議員ご提案の指針ですが、まだ指針のイメージがちょっとよくわかりませんが、私が今申し上げた効果があることは私は間違いないんじゃないかなと思っております。したがって、なんて言いますか、エッセンスというのか、持っているものの本質というのか、そういったものを、こういう例えば次期の総合計画とかそういったところにどう位置付けていくのかというのも、我々にとって最も基本となるのが総合計画でありますから、そういう中への位置付けも考えていく必要があるんじゃないかなと思っているところであります。
2 かねてより坪田譲治賞や一昨年より始まる旧内山下小学校等での文学フェスティバルなど取り組まれていますが、文学活動の拠点となるような整備が必要ではないでしょうか?
→持続可能な体制づくりを答弁
文学の事業を進めていくにあたり、活動や情報発信の拠点があれば有効であると考えており、事業に関わる関係者からも、そうした声をいただいております。
一方で、活動拠点として整備する場合、設置場所や整備内容のほか、運営方法や費用、効果なども含めて、その必要を検討していくことになると考えております。
3 人口減少社会にあって日本の国際交流は質量ともにバージョンアップが迫られています。今後国際交流は持続可能な地域づくりの鍵だと考えますが、各国ユネスコ創造都市との連携について具体的にどのようにお考えでしょうか?例えばアーティストインレジデンス事業に取り組んでみてはいかがでしょうか?
局長
ユネスコ創造都市ネットワークの年次総会に出席した際にも、ドイツのハイデルベルグやブレーメン等から、岡山市との連携についてオファーをいただきました。
今後、こうした都市との具体的な取組につながるよう協議を進めていくとともに、文学分野の加盟都市としっかりとコミュニケーションをとりながら、アーティストインレジデンスも含め、どういった連携が可能か検討してまいりたいと考えております。
2 岡山城西の丸周辺広場整備
札幌市にある札幌芸術の森は〈芸術文化都市さっぽろ〉のシンボルとして、個性ある新しい札幌の文化を育てることを目的に、札幌が誇りとする豊かな大自然と、都市、芸術、文化が調和した環境づくりを目指し、四季折々の表情を見せる広大な敷地に国内外の彫刻作品を常設展示する札幌芸術の森野外美術館、森美術館と工芸館での企画展示事業、音楽・舞台芸術分野の創作(アトリエ)・公演事業、工芸(陶芸・染色・織・木工他)、版画等の講習会事業を中心とする主催事業を年間を通じて開催されています。また、工房や各施設を貸出し、利用者自らの制作や練習、発表の場ともなっています。野外ステージ、アートホールでは将来を担う芸術家育成事業が行われ、海外から講師や参加者が集います。豊かな自然の中で、観る、体験する、創る活動を通して芸術と出会い、人々と交流することができる場所として、芸術の森は皆様に親しまれています。本市の取り組む西の丸広場整備についてお聞きします。1 当該地は芝生広場によるオープンスペースが特色になっていますが、札幌芸術の森のような文化芸術アート環境という柱になるコンセプトが必要ではないでしょうか?芝生広場がコンセプトでは強度が弱いように感じます。
政策局長
岡山城西の丸周辺広場整備の項について、順次お答えいたします。
まず、文化芸術、アート環境といった柱になるコンセプトが必要ではないかについてです。
西の丸周辺広場については、岡山城の城郭内であり、西の丸は池田光政公の隠居所にもなった重要な場所であること。国指定重要文化財の西手櫓や旧本丸の石垣、天守閣が望める場所であること。旭川河畔や石山公園に隣接しており、都心の中で貴重な緑のオープンスペースの確保が必要な空間であることといった特長を踏まえ、「歴史を感じる憩いの広場」をコンセプトとしております。なお、整備方針には、オープンスペースの機能として、歴史・文化、賑わい、憩い、防災を掲げており、市民の文化的な活動の場としても活用されることを想定しております。
森山
今日も朝石山公園で地域の皆さんとラジオ体操をしました。誰が集めたわけでもなく毎朝30人くらいがひとりひとり自然発生的に集まり去っていく。24時間出入り自由なお金の要らない、何気ない自由の受け皿になる場所。あらてめて公園の素晴らしさ尊さを実感したところです。石山公園はとても小さな公園であるにもかかわらず、ここ10年ほどでパークマネジメントによりこれまで年に1、2回だったものが2019年からは30回近く開催されるなど激増しており公園でのイベント数いえば全市で一番ではないかと思います。最小で最大の効果を挙げている賑わいの拠点になっていると思います。そのポイントは立地特性はもちろんですが機能としてステージの存在は大きいと思います。この度の広場構想もすでにこうした実証実験が成果を挙げているわけですから、あえて何かを足していくではなくて、石山公園の概念を広げていけば良いのだと考えます。西の丸広場整備については歴史文化集積エリアの拠点、創造都市おかやまを象徴するような空間整備をお願いしたいです。本市には市民美術館やアートギャラリーやアトリエ、練習場や野外ステージなどコンセプトを持った施設(エリア)がありません。歴史遺産を残しながら、市民会館の「市民文化の歴史」をつなぐためにも子どもや大人が文化を通して集まれる「身近な」文化創造活動の拠点、センター整備が今こそ必要だと考えますがいかがでしょうか?
政策局長
まず内山下小学校について客観的な外部評価を、2点目が西の丸周辺広場整備にあたって文化芸術など市民の活動を支援する、そういう観点をということでいただきました。2点まとめてお答えをさせていただきます。
今後具体的な整備の進め方につきましては、ご意見を踏まえて、検討していきたいというふうに考えております。その中で、内山下小学校の客観的な評価につきましても、民間事業者の意見も聞きながら考えていきたいというふうに考えておるところでございます。
また、どのような機能を西の丸に持たせるかということにつきましても、具体的な整備のあり方とともに検討してまいります。
『資料』
- 旧内山下小学校でのイベント企画数
- 2009年以前は皆無
- 2009年〜2013年にかけて徐々に増加
- 2014 ハイコーチャレンジ、イマジニアリング 約2ヶ月で13000人
- 属性6割女性 20、30代50%
- 2015 ハイコーチャレンジ 約3ヶ月で17500人
- 2016 ハイコーチャレンジ 約2ヶ月2300人(激減理由は校舎使用制限)
- 2017〜2023年もイベント企画数増加
2 当該エリアでこれまで賑わいを生んでいる石山公園と旧内山下小学校ですが、なぜ賑わいが生まれたのか?過去10年のイベント開催の推移等を挙げながら、その要因など分析・評価についてお聞きします。
政策局長
旧内山下小学校でなぜ賑わいが生まれたかについてです。
旧内山下小学校跡地では、平成26年度から29年度にかけて行った廃校を活用した社会実験において、延べ3万人を超える方にご来場いただきました。この社会実験を含む過去10年間のイベント数は4件から12件の間で推移をしております。旧内山下小学校跡地で多様なイベントが行われることにより、岡山城や石山公園などで行われるイベントとも相まって、賑わい創出に繋がっているものと考えております。
3 2014年旧内山下小学校跡地を考える会、2017年西の丸デドリーム(フィールドワーク)を通して研究検討が政策局にてされていますが、内容、分析評価についてお聞きします。
政策局長
平成26年に開催した旧内山下小学校跡地を考える会は、旧内山下小学校跡地の活用などについて広くご意見をいただくために行いました。「石山公園や市民会館と一体的な空間」「アート・文化の拠点」「観光資源として庭園を復元」「災害時に活用できる空間」「校舎を残すべき、新たな施設に建て替えるべき」などのご意見をいただきました。
平成29年に開催した西の丸デェードリームは、先にお答えした社会実験の1つであり、西の丸エリアの魅力向上と回遊性向上に資する拠点の創出を目的に、アート作品や城下町の絵図の展示、軽飲食の提供などを行いました。来場者からは、飲食・物販施設や休憩所、世代を問わず集まれる場所などを求める声がありました。こうしたご意見は、今後の西の丸周辺広場整備においても参考となるものと考えております。
4 これまで当局は事業者サウンディングにて旧内山下小学校の活用についての提案はほぼ無かった、という説明でしたが、この度中身について資料請求したところ、事業者へ対して「耐震補強費、修復など全て事業者負担」ということが前提でのヒアリングであることが明らかになりました。あらためて旧内山下小学校の文化、歴史、まちづくりでの価値を評価した上で、再度ヒアリングする必要がありませんか?
政策局長
令和4年度に実施したサウンディング型市場調査は、民間事業者による便益施設等の整備、運営の可能性などを把握することを目的に行ったものです。その中で、旧内山下小学校の校舎等も、民間が自らの負担により活用が可能かどうかの確認を行いました。
校舎等については暫定活用を継続し、オープンスペースの利用状況などを勘案しながら、改めて取り扱いを検討することとしております。今後、民間事業者を含め、様々なご意見をいただきながら考えてまいります。
5 そもそも、岡山市は歴史的建造物既存ストックの有効活用に対する認識をどのように考え、仕組みをお持ちおでしょうか?進化する修復・改修技術、耐震改修・機能向上・意匠復元
教育長
本市の文化財行政においては、歴史上価値の高い建造物で重要なものを市指定文化財に指定し、修復などの保護を行ってきているところです。市指定文化財の活用については、保護に支障をきたさない範囲において認めているところです。
森山
旧内山下小学校校舎についてもこの10年の社会実験を通して、まちづくりや文化的な価値は実証されている言わざる得ません。社会的価値(便益や外部性)について客観的な評価検証が必要ではないかと考えます。全国には廃校活用は多々あって、本市にはまだありません。活用事例には登録有形文化財の公開活用事業として廃校活用が増えてきました。ここへの申請は可能でしょうか?可能であれば事例のうちどのような補助が受けられているのでしょうか?
教育長
まず、文化庁の方で登録有形文化財建造物制度があり、50年以上経った建物で価値があるものについて申請をするかどうかですが、登録が済めば、その公開活用や補助金のメニューもあるとのことです。
市内山下小学校については、建築後50年を経過しているため、建築年としては達しています。登録基準に該当するかどうかについては、岡山市として登録する意思決定をした上で、国と協議をしていく判断がされるものと認識しています。
6 旧内山下小学校について、芸術交流、文学フェスティバルの拠点となり、注目され続けていますが、今日まで一般利用が出来ない状況です。にもかかわらず、ニーズが多い。暫定活用を前提に状況を改善する必要がありませんか?
政策局長
現在、旧内山下小学校は、学校の利用ルールに準じて暫定活用しており、地域の体育団体等に利用されているところです。
耐震性の不足や老朽化に加え、使い方においては消防法など法令上の制約もありますので、どのような使い方が可能か、教育委員会をはじめ関係部署と検討しております。
7 次年度からの公募条件策定、基礎設計の中身はどういうイメージですか?基礎設計についても運営事業者と共有しながら進めていく必要がありませんか?デザインの統一を。
政策局長
令和7年度には、広場に必要な機能を精査した上で、市が整備するもの、民間が整備するものを仕分けし、市が整備するものについて、設計することを想定しております。
民間事業者の公募に際して、飲食・物販施設や多目的施設等について、統一がとれた歴史的景観に調和するデザインとなるよう条件設定を行っていく見込みです。
今後の具体的な整備の進め方などについては、皆様のご意見をお聞きしながら考えてまいります。
3 障がいのある人の表現活動支援について
近年「障がい者アート」という言葉を耳にする機会が多くなりました。その芸術性が国内外において注目を集めています。かつて障がいのある人の美術作品は、公共施設などの小さなスペースで展示されることがほとんどでしたが、現在は、一般的な美術作品と同じように美術館や画廊、ギャラリー等での展覧会も増えてきています。しかし、残念ながら岡山市には市立の美術館や市民が自由に安価に使えるギャラリー、スタジオ、工房、アトリエ等を備えたアートセンター的なもの(県でいえば天神山文化プラザホール)がありません。現在では、文化庁や厚生労働省を中心に、国を挙げて障害者の芸術活動を支援する取り組みが積極的に行われるようになっています。障がいのある人の芸術活動及びそれを支援する動きは、今後ますます活発化していくことが予測されます。障がいのある人の芸術活動に関わる着実な支援と、関係者の方々との目指すべき社会像を共有するために丁寧な議論を重ねていく努力が必要だと思います。創造都市を掲げる岡山市として障がいのある人々への文化芸術支援にはどのようなものがありますか?必要性と今後の取り組みについてお聞きします。
局長
平成30年に障害者による文化芸術活動の推進に関する法律が施行されました。
岡山市では今年4月に改訂された「岡山市障害者プラン」や「岡山市文化芸術推進計画」において、障害者の文化芸術の鑑賞や発表の機会の確保などについて盛り込んでおります。令和4年度からは、秋に開催する市民美術展で、支援学校の生徒の作品を展示するコーナーを設ける取組等も行っています。岡山市内には、障害者の文化芸術活動を支援する団体や、就労支援につなげる活動を行う団体など、積極的に活動を行っている団体もあります。我々としても、障害のある方や、支援する団体のニーズの把握も含め、文化芸術の視点から、どういった関わりや支援ができるのか、しっかりと検討してまいりたいと考えております。
森山
アートには、芸術性だけでなく、障がいがあることをひとりひとりの個性として活(い)かすことのできる力があります。アートには、障害の有無にとらわれない世界があるということです。こうしたアートだからこそ実現されうるであろうことが人々に理解され、社会に広がっていけば、差別のない共生の社会の創造につながるのではないかと思います。「障がい者アート」は、持続可能な社会創造につながっていき、そして障害の有無を超える社会の創造を目指すべきだと考えます。
4 給食調理場の熱中症対策
先日、小学校の給食調理場へ行きました。当日の気温は30度、調理場は33度になっていましたが、それでも今日は涼しいくらいです!と皆さん言われていました。換気のための外気による熱風、スポットクーラーも人の動きには対応しない、火のそばでは最高で50度近くなる日もあるとか。昨年熱中症で調理員さんが倒れて骨折全治6週間という重症をおった案件がありました。子どもたちの口に入るものですから、基本衛生管理が高いうえ、衣服も重装備になり体感温度も高まり大汗をかかれる、その汗による異物、菌の混入がないか、と必要以上に気にしなければならないことが増えて肉体的にも精神的にも追い込まれた労働環境であると感じました。近年、学校現場においては教室、特別教室へのクーラー設置が進み、今後体育館も検討に入っている状況のようです。しかし、まだ熱中症対策の議論がないのが子どもたちの安全安心が最も確保されなければならない給食調理場になります。 子どもたちの楽しみにしている安全安心な給食のために、働らく人の安全安心な環境づくりについて早期に対応が必要ではないでしょうか?文科省の学校給食衛生管理基準では調理場は換気を行い気温25以下、湿度80以下に保つこととあります。教育長のご見解と今後の施設整備計画と段階的な対策について伺います。教育長
給食調理場は、高温多湿な労働環境下のため、熱中症のリスクが高い状況であり、スポットクーラーの整備や冷却ベストの配備等、様々な対策を講じてまいりました。しかし、近年の猛暑の影響により、調理場内の気温、湿度はさらに上昇しており、これまで以上の熱中症対策が必要であると認識しております。一方で、給食調理場の老朽化対策が喫緊の課題であり、現在、令和7年度末の「岡山市学校給食調理場再整備計画」の策定に向けて取り組んでおり、再整備の際には、衛生管理基準を踏まえた整備を検討してまいります。しかし、再整備には長期間を要するため、当面の熱中症対策として、ハード面・ソフト面の両面で何ができるか、研究しているところです。
森山
再整備計画の策定をされています。調理場の築年数によって早期にクーラー設置できるところと、対処療法で取り組むところと分けて考える必要があります。現場で気づいたのはクーラーだけでなく、熱を発する古い機器の更新も必要ではないかと感じました。引き続き研究願います。