2020年 09月定例議会個人質問

2020.09.17

1 未来の文化(価値)をつくるために

コロナ下に関連した他者への言われなき誹謗中傷等に見られる人々の感情の劣化や漠然とした不安をどのように改善できるのか、大きな大きな課題です。これこそ文化の出番だと思いますが、果たして本市はその役割を十分に機能出来ているか、この機会に問い直す必要があります。そこに住み関わる人々が集え考え支え合えるような文化装置が機能できていれば、多様性が混ざり合うことで他者を思い創造性が生まれ、解決へ向かうきっかけが出来るのではないでしょうか。本来ひとりひとりにとって暮らしに身近なはずのそれら「複雑多様な社会課題」はどこか、遠いもののようになってしまっていることも課題ではないでしょうか。

文化政策についてお聞きします

(1)博物館(美術館)

昨年9月に日本で初めて国際博物館会議(ICOM)が開催されました。中でも重要な議題となったのが、45年ぶりとなるICOM規約における博物館定義の大幅な見直しです。「博物館とは、社会とその発展に貢献するため、有形、無形の人類の遺産とその環境を、教育や研究、楽しみを目的として収集、保存、調査研究、普及、展示し公衆に開かれた非営利の常設機関である」と、定義され、これに対して複雑化・多様化する社会問題に博物館が果たす役割を十分に伝えきれていないということが議論されたようです。

ICOM会長のスアイ・アクソイさんは、「博物館はよりコミュニティーに近づこうとしています。文化のハブ(結節点)としての役割を増やす中で、新しい方法でコレクションを収集し、歴史を振り返り、新しい意味を見出そうとしています」と話され、「ICOMとして気候変動や不平等などの問題に積極的に関わりたい。定義の見直しはその一貫です」と、コメント。博物館や美術館は移民や暴力、レイシズム、気候変動といった問題を話し合う場所であり、多様な意見を受け入れ、コミュニティーとともに歩んで行かなければならないという考えを示しているのではないでしょうか。

博物館(美術館)の本来的役割は地域作品の収集、保存、展示、研究、発信(教育普及)でありますが、シティーミュージアムでは運営の主役である正規の学芸員が一人しかおらず、その役割は発揮しきれていません。ここ数年来、岡山市の歴史文化を伝えるシティーミュージアムについては市民からの貴重な資料を受け入れられないケースが続いています。これら課題について今後どのようにお考えでしょうか?政令指定都市にふさわしい地域と共にある博物館(美術館)について、市長のご所見願います。

(市長答弁)
博物館の話しでありますが、博物館の問題とシティミュージアムの問題とこの2つが議論されている。博物館としての役割の中に協調されているのが、歴史と文化を伝えるという視点に立っている。こういう前提でお答えしたい。
この場でも歴史・文化の話しはよくさせていただいている。E・Hカーという歴史家がいる。歴史とは現在と過去との対話である。現在のさまざまな課題を考える時に過去のさまざまな出来事と向かい合ってやるべきだ。もう一つは我々の誇りを形成する。私も議員と同じように歴史と文化を伝えていくことは非常に重要だと思っている。
そういう中で岡山ではどんな施設でそれらが提供できているのかということだが、シティミュージアムももちろん一つ。岡山城天守閣、専門職員7人いる埋蔵文化財センター、中央図書館、高松城址、造山古墳ビジターセンターで歴史・文化を伝えさせていただいている。ほんとにうまく統一性が取れているのかはある気がする。特にシティミュージアムは系統だてて対応できていないという要素もあるのではないか。こういったところは考えていかないといけないじゃないかと思う。全体の博物館としての機能はそういうことなんだろうと。
シティミュージアムという点からいうと駅の西口に直結している。配布資料に政令市の博物館があり、色々と分かれているが、私自身全部承知しているわけではないが、岡山駅のようなところに直結するようなところはあまりないんではないかと思っている。土地はものを生み出す財であって、西口と直結している財が何を生んでいるのか。今の使い方でいいのかという議論はあると思う。
前にも森山議員の質問にもお答えしたことではあるが、今回劇場を造るということで、様々な文化に関して考えていこうと言っているところである。もう一つは、新型コロナウイルスの関係で、これから市政の運営、どうしていくかという議論も出てくる。そういう中で歴史・文化をどう伝えていくかというのをどういう期間でやっていくのか。新しい庁舎もできてくる。そういったことも関連づけて考えるべきなのかどうか。そういったことも考えながら、全体としての岡山の歴史・文化をどうやって市民に、また国民に伝えていくのかということを議論していきたいと思う。

森山
「岡山市固有の歴史・伝統・文化をまちづくりに活用するとともに、市民一人ひとりが学び親しむことにより、様々な交流を通じて新たな文化を創造し、岡山市らしさを市民が誇りを持って国内外に積極的に発信する都市を目指しています。」岡山市はこう宣言されています。本当に素晴らしいと思います。この宣言を形にするためにはそこで働く人の環境を充実させなければなりません。今回の質問で明らかになったのは、岡山市固有の歴史伝統文化をまちづくりに活用するための拠点であるはずの美術館がない、ということです。そのことを前提に博物館であるシティーミュージアムを政令市にふさわしい博物館にしていくためにはどうすれば良いのか?というテーマ設定ができたことは一歩前進ではないかと思います。中心部において文化歴史を可視化し伝えるセンター機能は必要ではありませんか?6月議会で市長が仰られた音楽祭や芸術祭の見直しと同じように、文化芸術施設のあり方も検証するのは今がその時ではないでしょうか?ここからを出発点として、市民の皆さんと専門家が一緒になって対話できるような柔軟さを持った懇談から始めてみてはいかがでしょうか?

<答弁>
文化の見直しというか博物館も含めてですが、そういった立場の方のご意見を聞くということは大変重要だと思っている。市民の方、専門家の方色んなやり方があると思うので工夫してまいりたい。

(2)空襲展示室

戦後75年、戦争の記憶の風化が懸念されており、本市に関係する空襲の記憶を後世にどのように伝えていくのか、大きな課題となっています。

あ) これからの子どもたちへの展示を考えるとICT等で音、映像を活用したストーリー展開も必要ではないかと思います。常設、展覧会の内容のさらなる取り組みを考えると所管の福祉援護課だけでなく観光や文化の視点も必要なのだと思いますが、ご所見願います。

い) 岡山空襲を通した平和教育についての課題として学校見学の少なさです。昨年度は小学校6/91校中学校6/38校でした。学習の必要性について教育委員会の所見願います。

う) そして、これが一番の問題だと思うのが職員の待遇です。約15年ほど勤められる学芸員さんの月給が手取りで14万ほどで、市民の財産を守り伝える専門家のリーダーの待遇です。待遇改善の検討をいかにお考えでしょうか?

え) シティーミュージアムと同じフロアなのに所管が福祉援護というのも違和感を感じます。所轄のあり方など効果的な運営について政策的な将来展望が必要ではないでしょうか?

<い 答弁>
見学については各学校の判断に任せています。

森山
私は育ちが広島市だったこともあり平和教育については大変に熱心でした。印象深いのはやはり校外学習による平和資料館での被災された人体の模型でした。子供には見るに絶えない、本当に恐ろしいもので気分を崩し、泣き出す生徒もいましたが、やはり学校では学べない理屈抜きのその体験のおかげで「戦争では弱い人から死んでいく」ということを理解できているのだと思います。広島の人は8月6日8時15分は忘れません。しかし、岡山市の皆さんは6月29日2時43分については何人の人が言えるでしょうか?岡山市に戻ってきて27年になりますが、そのことが気になっています。やはり児童生徒への平和教育が弱いことにあると思います。資料収集、研究、展示、教育にプロの専門家である学芸員の平和学習を全ての児童生徒が一回は経験するべきだと思いますが、いかがでしょうか?各学校の責任にして良いのでしょうか?

<あ、う、え答弁>
学芸員の業務につきましては、週30時間勤務の会計年度任用職員が担っており、引き続き、より一層の業務改善に努めてまいります。
所管は福祉援護課ですが、運営につきましては、現在もシティミュージアムと協力して行っており、今後も関係部局と協議し、効果的に何ができるか研究してまいりたいと考えております。

森山
岡山市の展示室は生の資料を扱い平和教育に取り組にでおられます。そのクオリティも担保するのが学芸員の仕事です。とても価値のあることだと思います。効率化が進む中で、やはりオリジナルのつ読みを活かした取り組みの継続を是非ともお願いしたです。しかし、せっかくのその姿勢も働く人の待遇や環境がギリギリであれば持続しません。同じフロアにシティーミュージアムがあり、そこでは学芸員の方々がおられますから、これまでの縦割り非効率をなくして、スケールメリットを活かしながら、観光の視点も持てるようなソフト面の再構築をお願いしたいと思います。

(3)歴史文化のアーカイブ

昨今の公共施設の更新に伴う公文書の散逸や逼迫する管理状況に対するこれからの方策として公文書管理の条例化、文書館に設置についても検討するべきではないかと思いますがいかがでしょうか。

<答弁>
本市では、岡山市文書取扱規程において、公文書の整理、保存、廃棄等の原則を定め、適正な管理に努めているところであり、現時点で条例化までは考えておりません。
また、平成31年4月1日施行の「岡山市文書取扱規程第67条第2項の歴史的価値の認められる文書選別基準」により、歴史的文書の選別及び保管を行っており、必要に応じて学芸員など専門的な知識を有する職員の協力を得ながら、歴史的価値の認められる文書の保存に努めております。文書館等の設置につきましては、将来的な課題と考えております。

森山
公文書のアーカイブについても同様に必要だと思います。文書館に置いても市民からの寄贈もできると理解しています。今後の検討願います。

(4)食文化

とりわけ中心市街地の飲食店の皆さんは未だ経営に苦労されています。イートインの安全宣言ガイドラインも6月1日からスタートしていますが、まだまだ普及は低いように感じます。ポスターの配布など、啓発に取り組んでいただけないでしょうか?またpaypayのキャッシュレス決済についても大きな効果があったと思いますが引き続きのご検討はお願いできますでしょうか?

<答弁>
「おかやまイートイン安全安心宣言」については、飲食店の皆様に岡山市ホームページから印刷して活用いただいており、ご要望があれば、本市で印刷の上、お渡ししております。このポスターについては、郵送でもお届けさせていただきますので、ご要望があれば、是非、岡山市HPに掲載している担当課あてご連絡をいただきたいと思います。

森山
飲食店イートインガイドラインの普及啓発についてはポスターの配布もしていただけるということで手厚い対応に感謝いたします。また、ペイペイのキャッシュレス決済については岡山市の早い段階からの取り組みは全国的に見ても秀逸です。これは産業課の皆さんが常に現場に寄り添い昼夜問わず取り組んでいただけたことによる成果だと思います。改めて感謝申し上げ、ペイペイの継続を是非ともお願いしたいと思います。

(5)音楽文化

ライブハウスの安全ガイドラインの作成についても鋭意取り組んでいただいるところです。これまでの経過、今後のスケジュールについてお聞かせください。

<答弁>7月1日に市内8店舗で構成された岡山ライブハウス連絡会からの要望を受け、市と連絡会で協力して、新型コロナウイルス感染リスク評価の17項目を設定し、各店舗で自己点検や自己評価を行い、市が改善点等をアドバイスしている。
また、9月2日にはライブハウス店舗にて市保健所による現地講習会を行い、具体的な感染症対策についてのアドバイスや意見交換等を行った。
現在は、各店舗において感染症対策の見直しを行っているところだが、17のリスク評価項目を全てクリアできた店舗から、できれば今月中にも専用ポスターを提示できればと考えている。

森山
ライブハウス、クラブにまつわるガイドライン。これについては本当に高いハードルにあるにもかかわらず、この間、ライブハウス連絡会の皆さんと一緒になって粘り強く伴走いただけている、文化スタッフと保健所のみなさんに心より感謝を申し上げたいと思います。

2 GIGAスクール構想

(1)来年スタートの児童生徒1人1台の端末やICTを効果的に活用した学習環境の充実を図るGIGAスクール構想の早期実現に向け以下質問いたします。

あ 家庭学習での通信整備について

<答弁>
今年4月に、市立小中学校に対して調査した結果、インターネット環境がない世帯が3,000世帯程度あると認識しており、こうした世帯を対象とする、貸し出し用通信機器の整備等について早期実現を目指してまいります。

い 学校からの遠隔学習機能について

<答弁>
現在、学校に対しては、ウェブ会議システムの利用方法等について周知しており、教員同士が打ち合わせを遠隔で行うなどの活用が、既に行われているところです。
また、学習場面においても、総合的な学習の時間等で、専門家や海外で活躍する方と、オンラインで対話するなどの活動も見られます。
そうした遠隔学習についても、ICTの効果的な活用の一つとして、各校へ紹介してまいりたいと考えております。

う 身体、知的、自閉症等に障がいのある児童生徒の支援体制について

<答弁>
端末操作や姿勢の保持などに困難があるなど、身体に障害のある児童生徒に対しては、特別支援教育支援員による操作の補助などの支援を行っているところです。
知的な課題や自閉症等がある児童生徒に対しては、個々の実態や特性に合わせて、教科書にあるQRコードを読み込んだ教材を使用し、視覚・聴覚支援をしたり、板書を写真に撮ったりするなど、端末をより効果的に活用する工夫を進めてまいります。

文部科学省は学校ICT化を進める中でICT支援員は不可欠な存在であるという考えから、2022年までに4校に1人のICT支援員を配置することとを目指しています。文部科学省の調査によると、授業におけるICT活用が進まない最大の理由は「ICT活用をサポートしてくれる人材がいない」ことだとされています。

(2)GIGAスクール構想の実現を推進するうえで専門的助言をいただけるディレクターの公募や民間企業連携をどのようにお考えで取り組もうとされていますか?今年度中にも必要ではないでしょうか?配置状況、配置計画についてもお聞かせください。

<答弁>
現在、教員のサポートや助言を行うICT支援員等は配置していませんが、今後、どのような人材をどのように配置することが効果的であるか、時期も含めて検討を進めているところです。

3 長島愛生園、邑久光明園への人権学習を

長島
コロナ下における誹謗中傷、差別・偏見に見る感情の劣化問題ですが、この課題に深い示唆(学び)を与えるのが瀬戸内市にある瀬戸内海に浮かぶ「長島」ではないでしょうか。長島は元ハンセン病の方々の療養所で現在愛生園では134名、光明園では75名の入所者がおられますが、平均年齢80歳を超え自治会や語り部などの活動も難しくなってきているのが状況です。国策による隔離、断種堕胎をはじめとする様々な尊厳がないがしろにされた悲しい歴史のある長島には、人が生きることのそのすべてがあるのではないでしょうか。2011年より療養所内の不動産をユネスコ世界文化遺産、関連記録物をユネスコ世界の記憶(世界記憶遺産)としての登録を目指されているところです。

(1)長島の歴史文化をテーマとした観光事業はコロナ下に湧き出た日本人特有の最大課題である誹謗中傷、差別、偏見といった感情の劣化に向き合うためには大変有効だと感じます。さらに世界遺産登録を本市も連携中枢都市として応援出来れば尚更良いのではないかと思いますが、市長のご所見をお伺いください。

<答弁>長島では、その歴史をもとにした人権啓発活動を行っておられ、その活動の中で、歴史館をはじめとした施設の公開や見学ツアーも実施されています。また、ハンセン病療養所とそこで生活されてきた人々の歴史を世界遺産として後世に語り継ぐ運動にも取り組んでおられており、これらは、その地を訪れて歴史に触れる上で重要なファクターと考えます。このようなコンテンツと岡山市の観光とがどのように結びつくのかについては、今後、研究して参りたいと考えております。

森山
「人間は2度死ぬ」と言われます。1度目は肉体、2度目は忘れ去られることです。長島の歴史はハンセン病による差別偏見や人が生きるための権利を奪われるなか、入所者の皆さんは詩やうたを詠み、ハーモニカ楽団をつくり、歌舞伎を公演し、焼き物を焼き、絵画を書き、年に一度の職員と入所者が一緒になって盛大にカラオケ大会があるなど、文化芸術を通して生きがいを見出し闇を光へ変えていく生活文化の歴史があります。その姿こそ光であり、不透明で不安定な時代に生きる私たちへの一筋の希望が、この長島にあると確信せざるえません。この悲しみを忘れてはいけない。なぜ人間はそうなってしまうのか?その問いを島の記憶とともに語り継ぐ人を一人でも多くするよう、岡山市の子どもたち、教職員の人権学習の場、そしてユネスコ世界遺産登録活動を応援し、瀬戸内海を舞台とした「光を観る」観光事業のブランディングについても今後検討願いたいと思います。

(2)学校教育における人権学習には最適だと思われますが、年間どの程度長島へ行かれていますか?学びの必要性、今後の取り組みについてお聞かせください。

<答弁>
学校では、社会科や総合的な学習等でハンセン病問題を取り上げて学習しており、その中で、数校が現地を訪れています。
ハンセン病問題をはじめ人権課題について体験的に学習することは、人権の大切さを実感したり、自分自身の生き方を振り返ったりする、深い学びにつながると考えます。
今後も、引き続き教職員研修等において啓発に努めながら、児童生徒の学習の充実を図ってまいります。