2019年 9月 定例議会個人質問
2019.09.18

1 岡山市の学ぶ機会の多様化について

昨年文科省より「不登校児童生徒への支援のあり方」についての通知がなされました。
これからの不登校児童生徒への支援は「学校へ復帰する」という目的だけにとらわれず、児童生徒自らが自分の進路を主体的に捉え自立することを目指す必要があることや、不登校時期が休養や自分を見つめ直す時間という積極的な意味をもつ一方で、学業の遅れ等のリスクがることをしっかり認識し、これからの時代にふさわしい学校教育の意義、役割として、子どもたちの能力や才能に応じてそれぞれの可能性を伸ばせるよう、本人の意志を尊重して、教育支援センターや不登校特例校、ICTを活用した学習支援、フリースクールや夜間中学での受け入れなど、様々な関係機関等を活用した社会的自立支援を行っていかなければなりません。そのためには幅広い民間との恊働は欠かせない視点だと思います。家庭支援、校内支援もありますが、ここでは校外での多様な教育機会の確保についてお聞きします。

1 本市における不登校支援の概要とその検証についてお聞かせ下さい。不登校の実態数(政令比較)についてもお聞かせ下さい。

2 不登校本人への実態調査はされていますか?支援ニーズの項目はあるか?

<教育長答弁>
平成29年度1,000人あたりの不登校児童生徒数は岡山市は14.3人であり、政令市の平均の15.6人を下回っています。本市における不登校児童生徒に対する支援の概要とその検証については、藤原哲之議員にお答えしたとおりです。教育委員会は、毎年実施している「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」において、各学校の不登校児童生徒の状況を把握しております。該当する児童生徒一人ひとりの状況については各学校が把握しており、個に応じた適切な支援を行っております。

<森山要望>
岡山市の小中学生のおよそ800人が不登校、そしてうちおよそ80人が適応指導教室に通えていて500人ほどが教育相談等のカウンセリングを受けていて、200強へは支援があまりなされていない、という状況なんですね。離婚や虐待が増えて社会問題が複雑化するなかで様々な機関と連携して解決していかなければならない時代ではないでしょうか。学校の専門は本来教育ですよね。不登校の課題を社会ごとにしていくことは先生の働き方改革にも繋がります。フリースクールと教育支援センターの「居場所」だけでない学習支援や社会スキルを身につけられるような仕組みが必要です。社会ごとにする一歩として「コーディネーターの配置」、倉敷にある「生きる力」支援事業のような民間も巻き込んだ支援体制(協議会)の立ち上げが必要だと考えます。

学校教育法施行規則に基づく不登校児童生徒への学習機会について。本市にとっての受け皿になる教育支援センターである適応指導教室についてお聞きします。

3 適応指導教室の課題について以下お聞きします。

a. そもそも利用が少ない(特に小学生)ことです。課題として捉えられていますか?

b. 相談から開始まで半年かかるケースもあると保護者より聞きます。受け入れに慎重になりすぎてしまっているようにも感じられます。相談予約が週一回しか予約できない現状もあるやに聞きますが、どのように改善されますか?

<教育長答弁>
適応指導教室では,通室している子どもの数が少ないことは事実ですが,通室に向けての相談で活用されております。通室に至るまでには,心理士が慎重に週1回の面談を繰り返しているため,子どもによっては開始まで時間を要することがあります。なお,相談予約については,要望があれば,週2回まで可能としています。

<森山要望>
求めているのは居場所なのに学習、学習なのに集団、小集団なのに集団、カウンセリングなのに学習や集団等)→支援ニーズの把握を本人へのアンケート調査がやはり必要だと思います。そして職員研修→職員に不登校に関する専門知識 、学校だけが全てではないというスタンス、発達特性への対応知識、元教員の場合その色が難しいケースもあると思います。開所時間の柔軟(昼からでもOK)や家庭での学習教材も適室で共有出来るように
ICT整備についても検討を。そして、適応指導室自体、自治体によってはそのものを民間に任せているところもある。行政が適応指導教室のあり方をより柔軟に変えていくことは限界があるのではないだろうか?連携先であるフリースクールの二施設が居場所として機能はしているが今後どう位置づけて行こうとお考えか?安定した事業化をどう考えるのか?家庭、学校と適応指導教室を繋ぐあらたなサポート拠点が必要だと思います。

c. 通知にも示されていますが、学校とフリースクールとの連携はされていますか?今後の必要性についてお聞かせ下さい

d. 民間施設等においての相談、指導を受けた、また体験活動を受けた際の在籍校での出席扱いになるための指針づくりについてお考えをお聞かせ下さい。

e. 経済的に恵まれない児童生徒への適応指導教室や民間施設への交通費の補助についてもご所見願います。(国が1/3)

f. 福祉施設である放課後等デイサービス等での出席扱いについても各地で広まってきていますが、本市での取り組みについてお聞かせ下さい。

<教育長答弁>
教育委員会は,現在2つのフリースクールと連携しており,「民間施設に通室する不登校児童生徒の出席扱いに係る要件等」に基づき, 出席扱いの対象としています。放課後等デイサービスをはじめとする民間施設等との連携については,他都市の状況も参考にしながら研究してまいりたいと考えております。なお、適応指導教室や民間施設等へ通室するための交通費を岡山市が補助することは,現段階では考えておりません。

<森山要望>
発達障がいのある子どもたちの学習機会の確保のためにも、デイサービスとの連携を認めて頂きたいと思います。交通費については国も来年度から補助を始めます、より検討を。

g. ICTによる家庭内学習への支援状況についてお聞かせ下さい。

h. 適応指導教室のあり方を見直すという意味でも、そろそろ「適応指導教室」という名称を変更しませんか?

<教育長答弁>
現在, 適応指導教室ではインターネットを利用した学習支援ソフトを活用しておりますが,自宅でも学習できるようになっています。また,「適応指導教室」という表現は,国の通知に基づいておりますが,今後も名称の変更について検討してまいります。

<森山要望>
岡山市の学習教材はソフトだけで先生がつかない、子どもに任せっぱなしでフォローがなく生徒が置き去りになっているのが現状です。鳥取→ICT活用した自宅学習支援「自宅学習支援員」、民間の学習教材ソフト活用学習状況を担任に伝える等、側面支援が出来ていると言いますいかがでしょうか?(事業費600万)とされていますが、他市の研究も含め改善への検討をお願いします。

4 文科省は来年度、 不登校の子どもを支援するために、教育委員会へ学校、教育委員会、フリースクール保護者等をつなぐコーディネーターの配置を進めるためのあらたな予算を概算要求に盛り込みました。本市のお考えをお聞かせ下さい。

5 中学校時に不登校であり、卒業後に進学も就労もしていない、高校へ進学しても通えない、中途退学した者への多様な進学先や就労訓練機会等の相談窓口についてお聞かせ下さい。→教育委員会の子ども・若者支援ネットワークへの参加を

6 公民館等を拠点に居場所や学習機会づくりの広がりはこれから期待したいところですが、その利用について社会教育団体に認定されないと減免が適応されていません。今後の取組についてお聞かせ下さい。(定義は?)

7 教育委員会だからこそできる居場所・学習支援のためのファンド設立についてご所見願います。

8 廃校小学校がこれからも続くなかで、不登校の児童生徒を受け入れる特別の教育課程を編成した「不登校特例校」の新設も各自治体で増えています(全国で12)。本市においても例外ではありません、ご所見願います。

<教育長答弁>
関係機関との連携を支援するコーディネーター等の配置については、今後の国の動向を注視しながら、どのような効果があるのか研究してまいります。中学校卒業後の不登校あるいはひきこもりについては、岡山県の「おかやま子ども・若者サポートネット」に参加していますが、中学校卒業後の相談窓口の設置は考えておりません。公民館の利用について、社会教育関係団体は基準に基づき認定していますが、より適切な基準となるよう検討してまいります。なお、ファンド設立、不登校特例校の新設については、今のところ考えておりません。

<森山要望>

  • 愛媛県は官民共同ファンド「子どもの愛顔(えがお)応援ファンド」を設置する。29日に設置方針などを協議する第1回会議が開かれ、金融機関や福祉、経済団体など13団体が参加。ファンドを活用した事業や寄付の募集方針について意見交換した。ファンド設置に向けた条例案を9月県議会に提出。
  • ローソンが県内で実施している消費期限が近い対象商品を買う顧客に対しポイントを付与し、売り上げの5%を子育て支援団体に寄付する取り組み

攻めの教育委員会を!「教育委員会だから出来る支援」について民間他市の研究を。
不登校特例校についても他人事ではありません。廃校活用とワンセットで研究検討を!

2 新しい観光産業をつくるために

2018年の訪日外国人の数は3119万人で過去最高を記録し、年々その数は増え続けています。机上だけでなく肌感覚でもその状況を本市でも日々感じているところです。これまでの日本におけるインバウンドは観光業者主体のルートでしたが、各自治体においてはあらたな客層としての個人旅行者(富裕層)をターゲットとした戦略に移行されはじめています。そのポイントは「本物体験旅行」だと言われており、その土地にしかない歴史文化や自然と共生しながらの風土、衣食住、産業、宗教や民間信仰等のあらゆる生活様式を体験する「異文化体験」を提供できるかがポイントです。

1 本市におけるインバウンドへの取り組みについて、何を強みに、キーポイントにしながら取り組んで行こうとされていますか?私はズバリ、ストーリー遺産認定された吉備エリアの桃太郎伝説と中心市街地のナイトライフ、そして海上交通を活用した瀬戸内海への接続。そして、ソフトコンテンツとしての民俗学にあたる伝統・民俗芸能(お祭り)の伝承と創造、これに尽きるのではないかと思っていますが、ご所見をお聞かせ下さい。

<市長答弁>
岡山市には、日本独特の文化である岡山城や後楽園、日本遺産に認定された古代吉備の遺産群など歴史・文化遺産のほか、近年特に欧米から注目の集まる瀬戸内海、フルーツに代表されるグルメなどの強みがあると考えております。
これらの強みを効果的に活用する中で、観光ニーズの変化への対応のため、吉備津神社の鳴釜神事、曹源寺の座禅体験、西大寺観音院の裸祭りなど、岡山の伝統・文化を活かしたコンテンツを紹介しています。
このような外国人が求める本物の異文化体験は、観光誘客に効果的であると考えるため、今後もその掘り起こしと活用を図っていきたいと考えております。また、ナイトライフについても、岡山城の夜間貸し出しやユニークベニューとして開発した瀬戸内海のナイトクルーズなどの新たな試みとともに、飲食面において西川で始めている取り組みなど地元の方々との連携を図ってまいりたいと考えております。

2 中心市街地においてはまさに伝統行事であった花火大会が中止になりました。安全面、それを担保するための予算の拡大が理由とされていますが、やはり、いざ、夏の夜に花火が無くなったのは本当に寂しいという声をたくさん聞きました。来年度以降、どのようにお考えでしょうか?

<観光局長答弁>
旭川河川敷での納涼花火大会は、昭和49年に第1回大会が開催され、その後、平成29年の第44回大会までの長きにわたり岡山商工会議所が主管として実施してきたという経緯もあることから、納涼花火大会の今後については、岡山商工会議所内で検討されており、その検討結果を尊重しながら、「おかやま桃太郎まつり運営委員会」として各構成団体と協議してまいりたいと考えております。

<森山要望>
ラグビーW杯、オリンピック、ワールドマスターズゲーム関西、IR開業、25年の大阪万博へとこれらもインバウンドは続きます。旅行者のニーズも商品は物から事である体験、場所は有名無名問わず、価格は対価、そして宣伝についてはプロモーションから伝導スタイルへとシフトしています。これまでのプロモーション(宣伝)だけでは旅行者は来ない、ということなんですね。本当にいいものは外国人でも岡山人(再認識のきっかけにも)関係なく伝わるものですよね。美味しいもの、感動するもの、日本の美しさを感じるもの、これをいかに紡いで商品化できるのか、これに尽きます。岡山の「そこ」にしかないもの、たくさんあります。そして公共文化政策だからこそしなければならないものあるのではないでしょうか?日本ストーリー遺産である桃太郎伝説をテコに、中心市街地のナイトライフ〜瀬戸内海クルージングを柱にしながら、伝統、民俗芸能(お祭り)の伝承・開発に是非とも力を入れて頂きたいと思います。そのなかで議論になっている夏の風物詩である花火については商工会議所で12月には結論を出すとされていますが、ここで本市が積極的に花火復活の必要性を訴えるべきだと思うんです。花火こそ、インバウンドにも欠かせない感動体験。全国で縮小されているからこそチャンスだとおもいませんか。城と庭を流れる旭川のバックに花火が打ち上げられる、最高演出。イベントには食傷気味なのが実際です。本物をやりましょう。本物とはそこにしかない歴史文化、風土からなる衣食住や産業、そして民俗芸能だと思います。イベントではない「祭りの復活」だと思います。イベントと祭りの違いは神事であるかどうか?だと思います。神ごと、神は人それぞれだと思います、自然信仰、民間伝承・信仰宗教性様々な八百万の神様を迎え入れ防災、繁栄を皆で祝う、これを引き継ぎ創造していくことが大きなミッションではないでしょうか?様々な異文化体験を編集して商品化する仕組みづくりが、これからの観光事業として必要だと思います。「地域の観光ブランディング」の開発をどう進めて行けるのか?今後の取り組み期待します。

3 氷河期世代の応援について

政府は6月にバブル経済崩壊後に高校や大学を卒業した30歳代半ばから40歳代半ばの「就職氷河期世代」への支援策をまとめました。バブル崩壊後の1993~2004年ごろに大学や高校を卒業し、不況に直面した「就職氷河期世代」を対象として兵庫県宝塚市が正規職員(3人程度)を募集したところ、全国から1816人が応募、倍率が600倍を超えたといいます!市は7月、不況で正規雇用の道が閉ざされ、現在も非正規で働く人が多い36~45歳(20年3月末現在)に安定した働き場所を提供しようと、今後3年間、新卒や社会人採用とは別に、事務職として高卒以上の3人程度を採用する方針を発表。今月19日に募集を始めたところ、北海道から沖縄県まで郵送や持参による応募が殺到した事がニュースになりました。政府は6月、就職氷河期世代への支援策を作り、正規雇用を3年間で30万人増やす目標を設定しいます。

1 本市においても就職氷河期世代への支援策を考えるべきだと考えますがいかがお考えでしょうか?

<総務局長>
30歳代半ばから40歳代半ばの就職氷河期世代のみを対象とした採用試験は、現在、行っていませんが、民間企業等の職務経験者を対象とした採用試験(主に技術職)は、30歳から59歳の方が対象であり、任期付職員の採用試験(事務)は、年齢制限がないため、同世代の方が受験可能となっています。今後につきましては、国等の動向を注視してまいりたいと考えています。