2017年 12月 定例議会個人質問
2017.12.13

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目次

1 岡山城主要部における歴史公園整備について

岡山城主要部にある旧内山下小学校跡地、市民会館、NHK跡地等の活用については今年の6月議会において市長の方から「歴史公園という位置づけの中で、将来像をまとめていく、そういう作業に入ることが必要な段階に来たのではないかということで今年度、庁内関係部局で横断的な議論をスタートし、11月を目途に検討体制や進め方などについて取りまとめるよう指示した」とのご答弁を頂いているところであります。 そして本開会時に33年度末までに構想や具体的な整備計画を定めていくとの表明をされました。

1 中心部の活性化、歩いて楽しいマチづくりへ向けて、このたびの歴史公園整備のプライオリティーをどうおかんがえでしょうか?市長のお考え、思いをお聞かせ下さい。

<答弁(市長)>
 旧内山下小学校、市民会館、NHK跡地を含む岡山城主要部は、岡山城・後楽園という本市を代表する観光地の玄関口となる場所であり、また、周辺では石山公園再整備の計画や旭川さくら道の歩行空間整備も進められるなど、中心市街地全体の魅力とにぎわいづくり、回遊性向上の観点から重要なエリアであることから、整備のプライオリティーは高いと考えています。

2 33年度末策定までのスケジュール、その概要についてお聞かせ下さい。

3 来年度から具体的にどのような取り組みをスタートさせますか?歴史公園整備が決まっている中でにぎわい創出のためにどのような機能が必要なのか、政策局としてのイメージを示した上で進める必要があると思いますが、いかがでしょうか?

4 未来へ向けた歴史公園に必要な機能、実現性のあるものの洗い出しについては庁内だけでなく、広く市内外の様々な世代・視点を巻き込んだ重層的な検討懇談会の立ち上げが必要ではないかと考えますがいかがでしょうか?

<答弁>
岡山城主要部跡地の整備については、来年度、庁内関係部局による検討会議を立ち上げ、このエリアに必要な機能について政策局の考えも示しながら検討するとともに、整備等に必要な基礎的な概算事業費についても併せて調査・検討していく予定としております。平成33年度末までの整備構想や整備計画策定の進め方については、その中で具体的に検討してまいります。
また、外部の方からのご意見を伺う手法については、ご指摘の視点も踏まえながら、効果的な形となるよう、今後検討してまいりたいと考えております。

(要望)
市長から歴史公園整備の本市施策におけるプライオリティーは高い、との答弁頂きました。
岡山城・後楽園という観光地にあらたな賑わいを生むために石山公園整備と護岸整備は人の回遊性をつくるため、そして歴史公園整備は滞在拠点としての施設をつくる、というのが都心創生構想のねらいだと思います。政策局におけるその曖昧なスタンスがわかりずらくしてしまっているのではないでしょうか?歴史公園に必要な機能として来訪者の利便施設というのはいわゆる観光拠点になりうる施設と思っていいと思います。具体的なイメージを持って、来年度からの検討会を充実させる必要がありませんか?そうでないと効果的な両建物の調査も出来ないのではないと思います。しっかりビジョンをもって取組んで頂きたい。

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2 石山公園パークマネージメント

岡山城中心部位置する石山公園の再整備並びにパークマネージメントの導入についてです。
これについても今年の6月議会においての答弁にて、石山公園の再整備の内容を提示する必要があり、再整備の設計案については今後活用検討会など市民の皆様にお示し,御意見を伺いながら秋ごろに取りまとめる予定とされ、それに合わせてカフェ事業者の公募要項等を整理し,今年度中にはカフェ事業者の公募を実施していくとの方針を頂いているところです。

1 近況報告をお聞かせ下さい。

答弁
石山公園の再整備におけるデザイン等については、平成28年度に実施した市民ワークショップにおいて市民の皆様のご意見をお聞きしながら検討を進めるとともに、パークマネジメントの導入に向けては、地元町内会やNPO等の利用団体、学識経験者等による「石山公園活用検討会」において、石山公園の観光拠点としての機能を向上させるための試みとして「観光ボランティアによる観光案内」を実施するなど、検討・検証を進めているところです。
事業の実施時期については、これまで、公園の再整備は平成30年度ごろの工事着手、カフェ事業者の公募は今年度中とお示ししてきたところです。一方で、現在、庁内において岡山城主要部跡地の将来的な活用方針について検討を進めていくこととしており、それにより石山公園に導入する機能等への影響も考えられます。このことから、その検討状況を踏まえるとともに、岡山城周辺の歴史文化ゾーンを会場として平成31年秋に開催予定の「岡山芸術交流」との調整も図りながら、事業を実施してまいりたいと思います。

(要望)
これまでの工期スケジュールは来年度からスタートし31年度秋にはリニューアルオープンでした。それが31年秋芸術交流以後、31年度秋工事スタート年度末にカフェ事業者公募のスケジュールになるということですね。歴史公園整備とのバランスをとるということでリスケジュールされましたが、いずれにしても出石・石関町における護岸整備事業との歩調はあわせて回遊性整備に取組んで頂きたいと思います。

3 コミュニティビジネスの創出について

議会初日に市長から、中山間・周辺地域活性化のために地域振興基金35億を来年度から10年を目途に活用し、多様な主体によるコミュニティビジネス立ち上げの仕組みづくりに力を入れたい、との表明をされました。市長の思いある表明に驚き、そして大きな期待を感じたところであります。

「佐賀県を活動拠点にしませんか?」をキャッチコピーにした「地域活性化のための県外CSO誘致事業」というのがあります。CSOとはCivil Society Organization(市民社会組織)の略で、佐賀県はNPO、市民活動、ボランティア団体に限らず、自治会、町内会、婦人会、老人会、PTAといった組織団体を含めて「CSO」と呼称し地域課題を一緒に解決する取り組みをされています。県外で活躍するCSOを誘致し人材の流入や雇用を生み出すとともに、県内CSOが誘致CSOとの交流やノウハウの提供を通して多様なマチづくりに向けた人材、チームの育成がねらいです。実際の誘致業務は都内の民間企業に委託し首都圏での情報発信や、移転資金調達に関する相談支援、事業戦略のアドバイスを担わせています。CSO提案型協働創出事業やNPO等指定寄付のふるさと納税(95%が指定NPOへ寄付)の運用など応援体制も充実。これまでの企業誘致だけでなく、人や市民活動団体の首都圏からの誘致、という発想は面白いと思います。

1 多様な主体によるコミュニティビジネス立ち上げのエンジンとして、佐賀県の取組まれる新しいノウハウ誘致「市外CSO事業」についてのご所見下さい

2 コミュニティビジネスを応援するためのふるさと納税活用は考えられませんでしょうか?

<答弁>
佐賀県で行っている県外CSOの誘致については、地域外のNPO法人等がそのノウハウ等をいかして県内で活動し、交流することにより、地域内の団体のスキルアップにもつなげるもので、地域の課題解決の推進を図るものと把握しており、佐賀県における今後の事業実施状況も含め、今後の検討の参考とさせていただきたいと考えております。また、ご指摘いただいた、ふるさと納税を活用したコミュニティビジネスの支援については、継続的な活動を支える資金確保といった視点から、今後、他都市の事例も研究していきたいと考えております。

都市部から過疎地への一定期間移住して活性化に取組む「地域おこし協力隊」への参加者が2017年度に5千人規模となり、16年度から約2割の増加となる見通してあるということが先月共同通信による自治体アンケートでわかりました。受け入れ先の全自治体は1788のうち約6割にあたる1000程度だといいます。人材確保に苦慮するケースが目立ちはじめています。岡山県内では16年度124人、うち本市においては4人にとどまっています。人口減少等が著しい地域において、地域外の人材を積極的に活用し、その定住・定着を図り、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とした地域おこし協力隊ですが登用については自治体の中で二極化が進んでいるのが実情です。10人、20人の地域おこし協力隊が活動している自治体がある一方、多くの市町村では募集をしても優秀な人材がなかなか集まっていません。本市においても今年度の犬島での募集がうまくいかなかったことは課題を残しています。

地域おこし協力隊を当初から活用している先発自治体は、先輩の地域おこし協力隊が活動し、また住宅や仕事、地域のサポートなど受け入れ態勢が整っているため多くの人材が集まる傾向にあります。後発で優秀な人材を登用するためには、地域での役割を明確にし、自分の経験・能力・人脈を存分に生かすことができそうだと、応募する人にしっかりイメージしてもらうことが大切です。誰でもいいから来てくださいでは、誰も来てくれないと思います。来てくれたとしても本人にとっても地域にとっても効果が期待出来ないと思います。全国の市町村で募集が過熱しています。

3 本市は現在、後発組としての強みをどのように捉え、また、情報発信していこうとお考えでしょうか?現状課題とその解決に向けた取り組みもあわせてお聞かせ下さい。

4 本市はどのような人材が欲しいのか、明快な採用基準が必要ではないでしょうか?

<答弁>
岡山市では、地域おこし協力隊を、地域との調整・協議の上で、平成28年から導入しておりますが、後発組としての強みは、他の自治体の募集の方向性や事例を参考にできる点であると考えられます。その視点から見ると、これまでの課題として、募集に際して、隊員に取り組んでもらいたい活動内容を明確に示す必要があると考えております。
このため、今後は、求められる人材や活動内容が地域の要望によって異なることを踏まえ、地域との話し合いの下で採用基準を定め、地域での役割をより明確にしたうえで情報発信し、効果的な募集活動を行っていくよう努めてまいりたいと考えております。

5 任期満了した協力隊への就業・定住に向けて、移住者や協力隊を受け入れることが出来る地域商社(マチづくり会社)のような組織の必要性についてご所見願います。

6 後発組として特色あるお題は必須です。特別交付税とは別に任期中後の起業支援メニューがあっても良いのではないでしょうか?

<答弁>
地域商社は、魅力ある地域産品や観光資源を使い、市場開拓を行うなど地域の稼ぐ力を強化する組織であると捉えており、ご指摘いただいた、地域おこし協力隊の受け皿になる可能性があると考えられますので、今後、他都市の事例を研究してまいりたいと考えております。
また、地域おこし協力隊の任期満了後の起業に関しましては、現在、岡山市で地方創生交付金事業として認定された「中山間・周辺地域」等稼ぐ力創出プロジェクトにおいて、コミュニティビジネス等の起業に対して、アドバイザーの派遣やセミナーの実施など、様々な分野の専門家によるサポートを予定しているところであり、地域おこし協力隊の起業を行う際の支援ができるものとして考えております。

(一括要望)
これからの時代、地方暮らしはキャリアダウンではなく、むしろキャリアアップです。そういう趣旨での募集を募らなければいけないと思います。都会で培った能力・経験・人脈を十分に生かすことができる!地域おこし協力隊の存在はいわば地方創生の右腕登用として捉えるべきだと思います。

現状の協力隊の業務内容をみると隊員に専門性があっても実際には業務が多岐に渡り力を発揮しきれていないケースがあるのではないでしょうか?業務を明確にすることもポイントだと思います(長島の例)。役場の臨時職員と勘違いした運用になってはもったいないし、募集も難しいと思います。これでは地域との繋がりも生まれにくく、外からの視点や人脈も生かしづらい構造になってしまう。わざわざ首都圏から作業にきてもらってもしょうがない。

佐賀のCSO事業や地域おこし協力隊、これらは首都圏からのアイディア・ノウハウを呼び込む、これに尽きます。そしてその新しい受け皿としての多様な主体性からなるコミュニティビジネスを担う地域商社(マチづくり会社)に向けて、市内外の岡山を応援したいというみんなでマチをつくっていく、そういう制度設計のなかでふるさと納税の活用や地域振興基金35億を有効に検討してもよいのではないかと考えます。

そして最後に、隊員の約80%は30代以下の若者と言われています。募集においてターゲットを絞ったメディア活用が出来ているのでしょうか?例えば、インターネットの大手求人サイトビズリーチ社のサービス「スタンバイ」等を活用して町に必要な人材を広く募集してみても良いと思います。(ビズリーチの「スタンバイ」は、完全無料で使いやすい、見やすいサービス)

4 ジェンダーフリー、LGBTフレンドリーなマチづくりに向けて

民間リサーチ会社が20〜59歳の全国9万人にインターネットで尋ねた調査では、自らの性に違和感がある人、同性に対して愛情を感じるなどの回答をした人が約8%にあがるとの結果でした。十三分の一、これは左利きのひとの割合とほぼ同じです。社会制度や行政サービスにおいて存在が明確になっていないために、悩みをかかえ、生き難い人々がこの国には多く存在するということです。東京都渋谷区が全国で初めて同性カップルに対し、結婚に相当するパートナーシップを認める証明書を交付してから2年がたちました。こうしたパートナーシップ制度を作ったのは全国で6自治体に上り、九州でも福岡市が導入を検討中です。制度導入したのは他に東京都世田谷区、三重県伊賀市、兵庫県宝塚市、那覇市、札幌市。10月末時点で、全国で134組が制度を利用しているといいます。本市においても民間団体のプラウド岡山さんらの協力を得て市民や職員・教職員向けのパンフレットも作成されていることは一歩を踏み出していると思います。今後も更なる取り組みをお願いしたいと思います。

1 さらなる取り組みとして窓口・電話や学校での対応、施策のあり方等を捉え直すための対応指針や支援マニュアルガイドラインの作成や研修が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

<答弁>
性的マイノリティの方々への窓口や電話での適切な対応のためには、まず、職員が理解を深めることが重要であり、「岡山市の職員が知っておきたい 性的マイノリティ(LGBT)の基礎知識」を作成し、周知を図っているところです。性的指向や性自認の思いの強さや受忍の程度は一人ひとり異なるため、職員には、相手の意向を汲むコミュニケーション能力が求められます。また、場面ごとに配慮すべき内容が異なります。職員が性的マイノリティの方々のよき理解者となり、適切に対応するためには、対応指針、支援マニュアル、研修を含め、どのような手法が有効か検討してまいります。

2 各自治体においても男女参画センターをベースに直接的支援(電話相談窓口)や普及啓発・推進(LGBTアライ応援、コミュニティスペース、イベント開催等)に取組まれています。本市においても男女共同参画社会推進センター「さんかく岡山」を活動拠点として取組むお考えはありませんか?

<答弁>
「さんかく岡山」では、性別にかかわらず、自分らしく個性や能力を発揮できる社会を目指して、性の多様性についての理解を促進するシンポジウムの開催や、関連図書の紹介などによる啓発に取り組んでいます。また、男女共同参画相談支援センターでは、DVやセクハラなど、さまざまな相談を受けるなかで、LGBTの当事者の方や家族などの相談も受け付け、必要に応じて関係機関を紹介するなどの対応をしております。今後さらに市民や民間団体、大学などとの連携を深めながら、啓発イベントや情報発信、相談事業などを継続して行うことにより、性の多様性についての取組みや理解を広げてまいりたいと考えております。

(要望)
「さんかく岡山」は多様性をちからに変えるマチづくりのセンターとして機能しなければなりません。現状の取り組みをさらに充実させるよう民間団体だけでなく大学との連携も模索しながら、引き続きの取り組みをお願い致します。