2026年07月 新アリーナ建設の賛否を問う住民投票条例の制定について
2026.07.30

7月9日に住民投票条例請求が市役所へ提出されました。

まずはじめに住民投票条例を請求すること自体は市民にとって、とても大切な権利ですから、最大限の尊重をするべきだと考えました。一昨日の本会議における住民投票条例を求める8名の方々からの意見陳述も聞かせて頂きましたが、いざ、目の前にそれぞれの思いのたけを目の当たりにすればその通り、と思うところもありました。兎に角、皆さんをはじめ多くの方々が街頭やそれぞれの地域で奮闘され大変なご苦労をされて署名を集められたことに、私もわずかですが思いを馳せる事ができ、心からの敬意を感じざるを得ませんでした。だからこそ、尊い住民からの直接請求にある条例案中身についての議会審査・可否判断はこれまでにないような緊張とやはり正直に当局、会派を超えて議員間でも度重なる議論を致しました。

条例原案にはいくつか疑問がありました。

1 議会制民主主義と住民投票

住民の直接請求は間接民主主義(議会制)の欠陥を補強するものですが、これまでの議会審議経過(特別委設置、今年の6月議会時には5分の4の賛成での可決等)を踏まえ、欠陥補強が必要な状況にはないと思いました。もし、議会が割れていたりすれば、直接請求の必要がある場合もあると思いました。加えて、様々な指標(メディアのアンケート等)がありますが、署名であればアリーナ建設推進署名(市内42472筆)が請求署名(21009筆)を上回っている事にも考慮が必要だと思いました。

2 子どもの参画権

18歳以上のみの投票は昨年制定された岡山市子ども権利条例に反します。投票権のない子どもや将来世代の最善の利益を損なう懸念があります。市のアンケートでは10代の8割が期待をしています。アリーナ受益者の多くは子ども若者にもかかわらず、その人々の意見を尊重、反映できないことは子ども条例の反する条例提案だと思いました。

3 事業延期の財政影響

住民投票をやることで生じる事業延期(約1年超)による財政影響(コストの増大)の懸念。

4 投票率等の成立要件の不備

低投票率だった場合それをどのように市民全体の意思とみなす事ができるか?設計が必要です。

5 対象事業の不特定性

「新アリーナ建設の是非」のみで、場所・規模・総事業費・財源等が特定されていないこと。何に対しての投票になるのか。この度の署名にはアリーナ賛成・反対・どちらでもないという様々が混在している背景もあるようです。

6 多様な民意の未反映

住民投票では賛成か反対かの二者択一です。規模見直しや財政負担懸念といった多様な市民の意見を反映することができないのではないか?これまで4年あまり議論調整してきているなかで、まさに今年事業者からの要求水準(建設費や運営費等)の具体が挙がってきて、さらに細かい議論をしていかなければならない段階前において、白か黒かというのはあまりに乱暴だと思います。

7 住民投票における広報体制の不備

第13条で市長に「客観的・中立的な広報」を義務付けていますが、第三者検証機関の規定がなく、執行性に疑義があります。

8 投票時期設定の不合理

統一地方選挙(来年4月)と同日実施とする合理的な理由が不明。ここが本当によくわからない。なぜ9ヶ月後なのか?統一選挙と同日ならば選挙予算が5000万と安く済むから、という理由がありましたが、単独開催での2億5千万の費用は民主主義の適正なコストだと思います。ここで値段が安いから、というのは理由には値しないと思います。アリーナ建設事業内容が具体化(今年度)する前に投票を決めるのは不適切だと思います。さらに同日実施には法的なリスクがあります。住民投票運動(公職選挙法に定めるものではない)が公職選挙法違反(市議会議員選挙は公職選挙法上)と推定される恐れがあります。インターネット・SNSでの運動規定もなく、市民が意図せず違法状態に陥る可能性がわずかでも前提にあるものを行政が執行することは出来ないと思います。

長々と書きましたが、まとめますと

  • 条例案の成立要件(最低投票率・開票要件等)の不備
  • 事業特定(場所・規模・総事業費・財源・整備手法)の明確化が必要
  • 広報の客観性・中立性を担保する第三者検証体制の案作成
  • 住民投票期日の再検討(統一地方選との同日回避を含む)
  • 住民投票コスト試算(同日・別日それぞれ)
  • 事業のリスケジュールにおける財政影響
  • 子どもの参画機会を確保する仕組みの検討

私は特に、子どもの権利(人権)を尊重しない条例提案には多く不備があることから、私は住民投票条例提案について否決を致しました。

今回、岡山市初めての住民直請求は大変意義のあるものでした。市役所、議会はさらに気を引き締めてアリーナ建設について進めないといけないし、アリーナ設置だけを目的とせず、これを契機に北長瀬駅周辺の街づくりを思い切って、たとえば子ども若者が遊び休める等の場所づくりをビジョンに考えてもよいのではと思いました。とにかく子ども、若者たちのための政治、これを市民一体となってともに考える「おかやま子どもの休日ビジョン」みたいなもの。

もしも、今回の住民直接請求の代表陳述人8名が子ども、若者たちで「なぜ、私たち将来世代の意見を聞かずに大人たちだけで決めているのですか?」と、そのまっさらでみずみずしい声をその想いをその場で拝聴させていただけたなら、私は賛成、反対かかわらず、間違いなく応援していたと思います。