大人たちが一体となって取り組む特別支援体制について
学校には、支援を必要とする様々な子ども達がいます。いわゆる障がいがあって、特別支援教育に関わる子ども達もそうですし、家庭のことや勉強のことなど、いろいろなことで困っている子ども達がいます。
そういった子ども達を支えるために、各種の対策や制度が作られるわけですが、出来てしまうと、既存の制度を前提としてしか考えられなくなり、対策はしているけれど、現実の子ども達の十分な助けになっていない、という本末転倒な状況も起きがちです。
本当の支援とは何か?それはシンプルに「ただただ子どものために」ではないのでしょうか?障がいの有る無し、家庭環境の善し悪しでもない。まずは担 任と保護者、そして学校や関係機関が一丸となって、子どもたちを支援し育てるために、本市においても、今一度、あり方を検討するべきだと感じます。
そのような思いを持ちながら、私自身も、知的に障がいをもつ子どもの親としての実感も踏まえながら、大きく3つの視点から発達に障がいのある子ども達の支援のあり方について、質問させていただきます。
(1)学校と保護者が一体となれる支援体制について
特別支援教育を進めていく際に、保護者が、抵抗感なくスタートできるかどうかは非常に重要です。支援の必要な子ども達には、保護者の協力は絶対不可欠で あります。しかし、発達障がいや特別支援教育に抵抗感のある保護者に、支援の必要性をうまく伝えられない担任の例はたくさんあります。実際、はじめにこの 話し合いがこじれて、支援が上手く進まないケースが多いのが実情です。
保護者の抵抗感をなくすために、学校が先行して支援を検討するという従来のスタイルをやめ、最初の段階から保護者と一緒に検討して行く体制が必要、ということでうまれたのが、堺市日置荘小学校の「教育相談から始まる子ども支援委員会」の取り組みです。
少しご紹介させていただきます。まず、校内の教育相談システムとして設置されているのが大きな特徴です。個人懇談などで、担任と保護者で子どものこ とを話し合う中で、思いが一致すれば、一緒になって校内の支援委員会へ相談する、という形をとることが多いそうです。最初から保護者を巻き込み、一緒に相 談に行って考えましょう、というスタートであるため、保護者の抵抗感は少ないといいます。
もう一つの大きなポイントは、この教育相談において、担任は保護者と同じ「相談者」であるという事です。相談する際も、保護者と担任が横に並び、向 かい側に相談を受けるコーディネーター二名が対応するので、自然と保護者と担任が協力しあう関係になると言います。1時間程度、生育歴も含めて丁寧に話を するので、一緒に頑張っていこう、という雰囲気になるそうです。そして、信頼関係が出来た上で、子どもの発達検査を勧める。保護者も、じっくり話をして、 理解が深まっているので、検査の必要性を納得しており、スムーズに了解するそうです。
検査をした後で、支援委員会が開かれ、教育相談で聞き取った内容や検査結果をもって、検討し、支援方針が立てられます。その上で、再度担任と保護者 に、検査結果と支援方針が説明されます。家庭内、学校内、両方についての具体的な支援案を出して、あくまでも学校と保護者が協力して取り組む姿勢で臨んで いるそうです。
支援委員会のメンバーは、管理職、特別支援教育コーディネーター、生徒指導主任、それから各学年代表で、この学年代表が入るのもポイントです。支援 の必要な子がこの学年にもいる、ということに通常の学級の担任が気づき、それを全教員で共有し学び合う、という意識レベルの統一が図られ、結果として学校 全体での支援レベルが向上しているといいます。支援委員会の会議は毎月一回開催されています。
工夫と努力で特別支援教育への抵抗感をなくし、学校内の意思統一を図った結果、保護者とのトラブルも減り、円滑な学校運営がなされているそうです。
具体的には、平成18年度から始めて、年間30名を超える教育相談があり、そのほとんどが発達検査を受け、提示された支援方針に保護者が同意した上で、7割から8割の子ども達に通級指導教室での個別支援を行っています。
(ア)まず、本市における現在の支援の開始のあり方について、どのような課題があると認識しておられ、その解決のためにどのように取り組んでおられるのか、おたずねします。特に、保護者の抵抗感を解消するための取り組みがあれば、成果と併せて、具体的にお聞かせください。
(イ)ご紹介した堺市日置荘小学校の「教育相談から始まる子ども支援委員会」の取り組みについて、どのように認識し、評価されているか、お伺いします。また課題などがある場合は、併せてお示しください。
(ウ)堺市日置荘小学校の取り組みは、保護者の抵抗感の解消や、学校の支援レベルの向上などにおいて成果を上げており、平成24年度には、公益財団 法人博報児童教育振興会の表彰を受けるなど、高く評価されていると聞いております。本市においても、同様の取り組みを行ってはどうでしょうか。ご所見をお たずねします。
<答弁>
支援が必要な場合には,担任や学年担当者を中心に,保護者との連携を密にしながらより効果的な支援のあり方を検討するようにしていますが,その必要性や 方向性につい保護者と学校の考えが異なることもあります。その解決には,特別支援教育コーディネターや関係機関の専門家などが間に入って,調整するように しています。また,通常の級に在籍している特別な支援が必要な子どものために,個別の指導計画や個別の教育支計画を必要に応じて作成し,その内容について 保護者と一緒に考える取組を進めているころであり,学校と保護者の信頼関係が深まることで,抵抗感も少なくなると考えておます。特別支援教育コーディネー ターの力量を高めつつ,担任が保護者に寄り添いなら,子どもにかかわるという日置荘小学校の取り組みは参考となるものであり,日置荘学校に限らず,今後も 様々な先進的な取組を本市の特別支援教育の充実に活かしてまいたいと考えております。
平成18年6月の学校教育法の一部改正に伴って、新たにLD(学習差異)、ADHD(注意欠陥・多動障がい)などの発達障害の児童も通級指導の対象 と定められたことなどから、今後、通級指導教室のニーズが高まることがは間違いありません。平成24年7月に文科省初等中等教育分科会において「共生社会 の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」のなかで、「基本的な方向性としては、障害のある子どもと障害のない子ども が、できるだけ同じ場で共に学ぶことを目指すべきである。その場合には、それぞれの子どもが、授業内容が分かり学習活動に参加している実感・達成感を持ち ながら、充実した時間を過ごしつつ、生きる力を身に付けていけるかどうか、これが最も本質的な視点でありそのための環境整備が必要である。」とうたわれて おります。
教育委員会さんはあらゆる質問に対して、課題は承知しているが、予算上取り組みは困難と終始されます。予算権限については現状、岡山県教育委員会が持って いるからです。しかし、ついに、29年度から県費負担教職員の給与等に関する税源及び事務の税源全ての権限が市の教育員会に委譲されます。あと3年後で す。もう言い訳は出来なくなります。
26年度アクションプランのなかのストップザ学校問題ー学びの場充実事業ーがあります。スクールカウンセラーの配置、不登校児童生徒支援員配置、い じめ専門相談員派遣、学校問題解決サポート事業、岡山市問題行動等検討委員会の設置などなど、多岐・様々な事業・施策ありますが、やはり、これ形式ばかり が積上っているようにしか感じないんですよね。実情を把握していないのではないか、、。特別支援教育についてはまだまだ発展途上で、だからこそ、児童生徒 の困り感に、なぜそうなってしまうのか?と生徒には勿論、先生自身にも向き合っていくなかで、勇気を持って、トライ&エラーを繰り返し、改善していくもの なのだと思うんです。マニュアルのある世界ではない。そうした先生方の熱い取り組み、その姿が保護者にも伝われば、また、雰囲気も変わってくるのだと思う んです。しかし、その困難に向き合うためには、担任だけの対応では限界があるんです。
(再要望)今こそ、各学校内において、そこに居る先生・職員みんなで方針を定め自主的に動いていくべきだと思います。教育委員会や他部局との連携は その次であると思う。これら課題の解決をしていくための参考事例として、日置荘小学校における先進的な取り組みである「教育相談からはじまる子ども支援校 内委員会」についての研究・検討をしてみるべきだと思います。
(2)学校内の支援体制の整備について
発達障がいのある子ども達の数は、全国的に増えており、文部科学省が平成24年に行った調査では、全国の公立小中学校の、通常の学級に在籍する児 童・生徒の内、発達障がいの可能性のある子どもは、6.5%に上るとされています。推計で、約60万人であり、40人学級だと、1クラスに2~3人の割合 ということになります。そういった現状に対して、対策もまだまだ十分でなく、また、新しい問題であるために、意識の面でも追いついていないところがあると 感じています。
本市においても、今年度より、中学校における通級地域拠点教室を二カ所増やされました。しかし、実際は早期支援の必要性の観点からすれば、小学校における通級指導教室の増室、校内における先生・職員による受け入れ体制づくりが急がれます。
(ア)小学校におけるこれからの通級指導教室の整備の必要性についていかがお考えでしょうか?所見願います。
<答弁>
本市では,通級による指導を希望する小学校児童が年々増加傾向にあることから,今年度,小学校に1教室を増設し,現在6小学校,15教室で通級指導を実施しています。
通級による指導で,コミュニケーション能力や対人関係能力を身につけることにより,在籍する学校や学級でうまく適応できるようになるなど,顕著な成果が得られています。
今後も,通級による指導を希望する児童の数や居住地,設置可能な学校施設等を踏まえて,通級指導教室の整備を検討してまいります。
(再質)3年後の税源移譲を見据え、やはりここで一度、本市における特別支援教育・子ども支援のあり方ついて再考のタイミングに来ていると思いま す。中重度の障がいをもった子どもたちの学級が支援学級であって軽度の発達障がいの子供達は通常と通級で支援することが望ましいとしているんですね。実 際、通級指導教室に通う子供達の課題は通級そのものにあるのではなくて、在籍する通常の学級でのコミュニケーショントラブルであったりします。通常と通級 のあり方も捉え直すべきだと考えます。とりわけ、特にマンモス校においての通級指導教室の増室、放課後や土曜日における通級の追加、また担任や支援員の特 別支援教育への理解は勿論、スキルアップのための研修の質・量での改善等が必要であると考えます。共生社会実現のためのインクルーシブ教育を国が方針をつ けていますが、本市としてお考え、聞かせて下さい。
<再答弁>
通級指導教室の在り方については,他の自治体の状況等も調査しながら,特別な支援を必要とする子どもの個々の状況も踏まえて考えてまいります
発達障がいのある子ども達が増える中で、全ての子どもが適切かつ十分な支援を受け、成長していけるためには、支援に関わる、特別支援教育コーディ ネーター、支援学級の担任、支援員はもちろん、通常の学級の担任も、特別支援教育についての理解を深め、共通認識をもって子ども達と接することや、通常学 級に在籍する、発達障がいの可能性のある子ども達に、専門的な知識に基づく指導を行うことが必要だと考えます。
(イ)現在の校内研修について、内容や頻度を含め、どのような課題があると認識しておられるでしょうか。解決のための取り組みを進めておられるのであれば、併せてお聞かせください。
<答弁>
支援が必要な場合には,担任や学年担当者を中心に,保護者との連携を密にしながらより効果的な支援のあり方を検討するようにしていますが,その必要性や 方向性につい保護者と学校の考えが異なることもあります。その解決には,特別支援教育コーディネーターや関係機関の専門家などが間に入って,調整するよう にしています。また,通常の級に在籍している特別な支援が必要な子どものために,個別の指導計画や個別の教育支計画を必要に応じて作成し,その内容につい て保護者と一緒に考える取組を進めているころであり,学校と保護者の信頼関係が深まることで,抵抗感も少なくなると考えておます。特別支援教育コーディ ネーターの力量を高めつつ,担任が保護者に寄り添いなら,子どもにかかわるという日置荘小学校の取り組みは参考となるものであり,日置荘学校に限らず,今 後も様々な先進的な取組を本市の特別支援教育の充実に活かしてまいたいと考えております。
(ウ)教育委員会が実施している研修は、年に特別支援教育コーディネーター研修2回、特別支援学級担当教員研修3回、特別支援学級新任担当教員研修 3回、特別支援教育支員2回と数も少なく、内容面でも、十分なスキルアップにはつながっていないという声多く聞きます。現場からも、専門的な技術や知識を 身につけたいという要望は強いようすし、量と質の両面からの改善が必要だと思います。ご所見をお伺いします。
<答弁>
現在,特別支援教育に関する研修は教職員のニーズが高く,多くの学校で特別支援学校や大学の教員など,外部の専門家を講師として校内研修を行っておりま すが,障害種別や診断内容による特性の理解や,児童生徒の情報交換のみに研修内容が偏るなどの課題もあります。こうしたことから教育委員会では,特別支援 教育に関する最新情報や先進的な取組について情報提供するなどして,各学校の校内研修の充実を図っているところです。
また,教育研究研修センターにおいて,特別支援教育コーディネーターや特別支援学級担当者を対象とした研修や,担当者以外でも希望すれば自由に受講でき る研修を設けたり,初任者研修などの経験年数別研修で特別支援教育の内容を取り入れたりして,研修機会の確保にも努めているところです。今後とも,受講者 アンケートの結果を参考にして,より受講者のニーズに応えるための講師の人選や内容を工夫するなどして,研修の充実を図ってまいりたいと考えています。
(再質)
先生への特別支援教育研修についてですが、もちろん研修は行っていただいているんですが、保護者はじめ、福祉関係者からもその成果が伝わっていないのが現 状です。とりわけ、支援員の研修制度は急がれます。平成15年からまずは支援員を増やそうということで当時35名(小中)の支援員が10年経った今は幼小 中高で約10倍の323名に登ります。これからは質の向上のために、資格要件のない支援員の研修は必須ではないでしょうか?発達障害者支援センターさん が、今年の7月から支援者に向けた特別支援教育研修会を毎月開催頂ける、という大変に踏み込んだ取り組みを決断して下さいました(大変感謝致します!)。 これに教育さんにおいてはしっかりと連携をお願いしたいです。支援員の採用要件や今後の校内研修において、今後どのように取り組んでいかれようとお考えで しょうか?
<答弁>
特別支援教育支援員は,子どもを直接支援するために配置しており,学校外での研修などを増やすことは難しいと考えております。
また,特別支援教育支援員は,支援にあたっての担任やコーディネーターとの意見交換とともに,日々の支援の実践を「有効な手立てシート」や「勤務報告書」等の文書に残すようにしており,これらの取組を充実させることで,支援の質を高めていきたいと考えております。
(エ)障がい特性をもつ生徒に対して切れ目のない支援をするためには個別の教育支援
画と個別の指導計画書は必須であると思いますが、学校によってはそれが活かされてい
いところもあるようです。どのように周知、徹底されますでしょうか?
<答弁>
特別な支援を必要とする子どもの「個別の指導計画」と「個別の教育支援計画」の作成と活用は大変重要であり,教育委員会はそれらの作成と活用に関するマ ニュアルを作成・配付して,学校に周知するとともに,研修等でも利用してまいりました。今後も特別支援学校の協力を得ながら,それぞれの計画の作成の意義 を周知し,その充実を図ってまいりたいと考えております。
支援学級には、様々な障がいがある子ども達が在籍しています。それぞれに障がい特性が違う子ども達に寄り添い、適切な支援を行うためには、支援員 の十分な配置が必要ではないでしょうか。具体名を挙げて恐縮ですが、例えば、中央小学校では支援学級の数7に対して、支援員は5名です。実際に、日々の支 援の中で、きめ細かい対応が難しいという声も聞いております。(他の小学校の体制は?)
(オ)一人一人の子ども達に合わせた支援を実現するため、支援員の充実、さらには学
支援ボランティアの活用の推進を提案しますが、ご所見をお聞かせください。
<答弁>
現在,特別支援教育支援員を対象とした研修は年2回実施しており,障害特性や支援の実態についての研修を行っています。また,学級担任や特別支援教育 コーディネーターと情報交換を行う際に,特別な支援を必要とする子どもの言動に関する見立てや,落ち着いて学習に取り組めるようにするための具体的な手立 て等について,学ぶ機会を持つようにしています。「学校支援ボランティア」については,特別な支援を必要とする子どもについて,授業の補助などの要請が学 校園からあった場合には,地域の方や大学生などを学校園へ派遣しております。
学校内の体制という面では、通級指導教室や支援学級の、校内での位置づけも重要です。開かれた存在であれば、通級・在籍する子ども達の頑張りが、他 の児童・生徒に伝わりやすく、一方、閉じていれば、通級に在籍していることでレッテルを貼られる、ラベリングにつながり、小学校でも高学年になると、本当 は行きたくても、周囲の目を気にして行けない子が出てきてしまいます。そういった現状の下では、いわゆる「交流」も、支援学級から通常学級へ「交流」に行 く事はあっても、通常の学級から支援学級へ行く事がなく、根拠のない上下意識などを生み出している場合もあり、お互いが交わるという、本来の交流になって いない実態もあるのではないでしょうか。
(カ)特別支援教育に対する校内の位置づけや、教職員および児童・生徒や保護者、さらには地域住民の意識のあり方について、どのような課題があると認識しておられますか。その解決のためには、どのような取り組みを行っているのか、併せておたずねします。
<答弁>
学校では,特別支援教育を重要な柱と位置付け,全ての教育活動において,特別支援教育の視点を大切にしています。一方,教職員,児童生徒,保護者,地域 住民の個々の知識や意識には差があり,様々な機会に特別支援教育への理解を進める必要があると考えます。例えば,児童生徒が特別支援学校や障害のある方が 入所する施設を訪問して交流活動を行ったり,教職員やPTAの研修で特別支援教育に関するテーマを取り上げたり,学校において学校便りやホームページで特 別支援学級の取組や作品等を紹介したりするなど,全ての子どもたちの健やかな学びを保障しようとする意識を高める取組を行っています。
(3)関係機関が一体となった相談・支援体制について
発達障がいについては、成長段階に応じて、各分野からの、適切な支援が必要です。保健、福祉、教育、医療、労働など、様々な分野からの支援が求め られるわけですが、子どもや保護者からすれば、相談したり、支援を受ける先が、あちこちにあると分かりにくく、新たな部署に行く度に、改めて経緯を説明し たり、担当者との信頼関係を築いていかなければならないという大変さもあります。担当部署にとっても、情報共有ができにくく、部署が変わることで、支援が 途切れることにもつながりかねません。
そういった問題意識から、総合的な支援機関として、発達障害者支援センターが創設され、本市においても、「ひかりんく」が設置されました。
全国的にも、一般市においても、福祉や教育を中心に、相談や支援を一元的に行う機関を設置する例が増えています。部局を超えて、専門職を含めた手厚 いスタッフ配置を行い、チームによる一体的な支援に当たっている例も多いようです。当事者を中心とした支援のあり方を形作っていくことは、本市においても 重要な課題だと考えます。
(ア)本市の発達障害者支援センター「ひかりんく」は、開設3年目を迎えました。一元的な窓口として、また各関係機関との調整役として、十分な役割を果たせているでしょうか。これまでの実績や課題について、ご認識をお伺いします。
<答弁>
本市発達障害者支援センターは、発達障害のある方や、そのご家族から、日常的に関する様々なご相談をお受けし、それぞれの内容に応じた情報提供や助言を行 うとともに教育現場などで実際に支援にあたっておられる支援者(教諭等)に対して、児童等に対する接し方についての助言なども行ってまいりました。件数的 にも平成24年度の相談支援の延べ件数は1653件、25年度は2521件と、周知は進みつつあると理解しておりますが、センターについて、もっと多くの 皆様に知っていただき、活用していただくことが課題と考えており、引き続き、広報誌やパンフレットの配布、講演会などの普及啓発活動を通じて、発達障害の 理解と支援が充実するように努めて参ります。
(再質問)発達障害者支援センター「ひかりんく」についてですが、開設3年目で所長3人目、という状態のなか、昨年の2月の私の代表質問において、 運営ビジョンがないのならこの際、運営を民間に任せていけばよいのではないか?公で運営する意義についてお聞きしました。それから1年少しか経っていませ んが、本日の答弁にもある通り、今後は直接支援であるプレ療育や相談支援、支援者への研修会や教職員にたいするコンサルテーション等を増やしていかれると のことです。これはドンドン加速させるべきだと思います。こうした、発達支援に関わる多様な人々が研修会を通じて知り合っていけることの積み重ねによっ て、結果として、各関係機関連携のハブになり得ていくのだと思います。今回の質問は学齢期に絞って質問させていただいておりましたが、学齢後の障がい手帳 を持たない人たちをどのように支援していくのか?就労支援も含め、子どもから大人までの切れ目のない支援についてもビジョンをもってしっかりと取り組んで 頂きたいと思います。
ひかりんくの大きな課題は相変わらずその存在が市民に知られていないということです。
市内における一番の発達障がい相談窓口になるためには、各関係機関との研修やコンサルテーションを通じての人による口コミは勿論ですが、開所におけ る土日休日夜間対応であったり、これ重要だとおもうのですが立地・室内環境に問題があると思うんですよね。どうも、入居建物自体がこう、老朽化のせいなの かどうなのか、なんか、こう、思い空気感ですね、、これ、否めないんですよね。場所についてもわかりずらく、説明しにくいんですよね。それぞれに悩みを抱 えた人々が集う場所ですから環境については大きな配慮が必要だと思うんですよね、直接支援であるプレ療育や相談支援もニーズが多いということで待ちの状況 が続いていたりと、施設自体も手狭ではないのでしょうか?
ご所見願います。
<再答弁>
土日等の対応については利用者の利便性を図るうえで、重要な課題と認識しております。そのため土日等に市のイベントがあれば、そこに窓口を設けて相談機会 の拡大ができるよう努力してまいりたい。センター自体の存在については広報やパンフレットの配布などの普及啓発を通じてもっと知っていだだく。移転につい ては関係部局との協議が必要。ご指摘があったことを研究課題とさせていただきたい。
(イ)「ひかりんく」の運営については民間に任せず、公で担っておられますが、今後、本市の発達障がい者支援の充実のために、どのような取り組みを 進めていかれるのでしょうか。乳幼児から成人まで、一貫した支援を受けられる機関となるよう、スタッフの配置も含め、体制を整備していくべきではないかと 考えますが、ご所見をお聞かせください。
<答弁>
本市センターは直営で運営していることから、教育、保健、福祉などの行政部門との連携を図りながら、発達障害の早期発見を行うことができるメリットがあり ます。また、民間の医療機関・事業所等との連携も、より強化して参りたい。現在、本市センターには、児童精神科医、臨床心理士など14名の専門職が配属さ れていますが、これらの職員が研修等を通じて積極的に支援技術の向上を図る事で、体制の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
(ウ)関係機関による連絡協議会が発足されておりますが、まだまだ広がりが足りないように思います。今後どのように発展させていくのか、具体的な内容やスケジュールをおたずねします。
<答弁>
(平成23年11月の)センター設立後、平成24年度に発達障害者支援センター連絡協議会を立ち上げ同年度に1回開催しております。翌25年度は各支援機 関をその支援対象者の年代に着目し、就学前の子供を対象とする支援機関と成人期を対象とする支援機関の2つのグループに分け、2回開催しました。関係機関 との有機的な連携を一層図るためには、会議等への招集のみならず、日々の個別ケース支援を通じての連携、さらには、センターの主要な機能の一つでもある支 援者に対する支援を通じての連携も大切であると考えます。今年度は連絡協議会の開催はもとより、従前から実施している支援者向け研修会を内容・回数とも拡 充し、7月から毎月1度、計8回の実施を予定しております。
(エ)教育委員会とひかりんくの連携事業・施策はどのようなものがありますか?現状においての課題、解決に向けた取り組みについてお聞かせ下さい。
<答弁>
教育現場では発達障害に起因する不登校や学級・学習への不適応など様々な課題がありますが、センターが教育部門と密接に連携をしながら、その専門性を活か して教育現場の支援に関わることが重要だと考えています。センターでは、機関コンサルテーションや先生方への研修等を実施していますが、今年度からの試み として、発達障害のある児童を理解するためのステップ型の研修を予定しており、教職員研修のひとつとして活用していただくことを考えております。
(オ)お隣倉敷市には総合療育相談センター「ゆめぱる」が設置され発達障害者支援センターとともに地域連携の中心機関として機能を果たされてておりますが、岡山市において総合療育相談センターについてどのような所見をお持ちでしょうか?
<答弁>
岡山市においては、プレ療育等の発達支援の実施を行うなど、民間療育機関と役割分担し連携を図りながら、早期発見から早期支援へつなぐ体制の充実を図っている。
今後もその支援体制の一層の充実を図るとともに、身近な地域での療育支援を担う児童発達支援事業所等への高度な専門的支援も行ってまいりたいと考えております。
平成24年4月施行の改正児童福祉法により、それまで障害者自立支援法に基づくサービスであった児童デイサービスが、「児童発達支援」、「放課後等 デイサービス」に移行し、障がい種別に関わらず、発達障がい児についても身近な地域の指定事業所において、支援を受けることが可能となった。しかし、発達 障がい児の支援についての専門的知識や支援手法のノウハウなどが十分に普及していないのが現状ではないでしょうか。
本市においては「児童発達支援」「放課後等デイサービス」の事業所がここ数年、急激に増えている状況を踏まえ質問致します。
(カ)「児童発達支援事業所」及び「放課後等デイサービス事業所」における発達障がい児の受け入れ状況、支援内容及び課題を調査し、把握・分析はなされているでしょうか?
<答弁>
発達障害者支援センターとして各事業所の実状の把握等を試みるべく、今年度アンケート等の方法で実施する予定です。
(再要望)アンケートの実施頂きありがとうございます。 特に学齢期においては、放課後等デイサービスが障がい児の受入れに一定の役割を果たしているため、児童が障がいの特性に配慮した支援を受けられ、安心して 過ごすことができるよう、センターは基礎的な支援手法の普及を図っていく必要があると思います。また、事業所からも、発達障がい児の受入れにあたって不足 する要素として、知識・経験・情報・研修等が間違いなくあると思いますので、今後研修等を開催する際には、事業所のマンパワー不足の状況も踏まえ、事業所 の職員が参加しやすい時間帯や身近な会場で開催していくなど、事業者が支援の質の向上に取り組みやすくなるような工夫をお願いしたいと思います。
また、アンケート項目についてですが、発達障がい児の受入れ状況、支援の実施状況、アセスメント方法、研修の実施状況及び不足要素・課題等をお願いしたいと要望致します。