高松丸亀商店街再開発視察報告

2012.08.18

中心市街地の活性の意義とは「地域の税収確保」の観点がいかに重要か、ということに尽きるのだと理解した。

高松丸亀商店街振興組合理事長である古川さんにお話を伺ってきた。

自治体はこれまで中央集権の庇護のもとで集めた税収の中から運営経費を差っ引いた残りを配分してきた。収入が足りなくなると不足分を国から補填してもらってきた。全ては過去の人口増、経済成長によりそれを支えてきたと言う事である。

ところがその大前提が崩れ去った。人口減、高齢化、経済マイナス成長という未開の時代への突入。全ての世の仕組みがそぐわなくなってきている。

これまでのような情緒的な商店街の活性化論ではどうにもならない。商店主の為だけの事業補助はやめなければならない、というか、そもそも商店街の活性化は皆に期待されているのか?消費者は郊外立地の大型店で満足しているのではないか、、。商店街の活性化を阻害しているのは商店主そのものではないのか、、。

中心市街地の活性化について、まずは、商業者の生活設計だけのための事業であってはならないということ。商店街は公共性に目覚めなければその存在価値を失ってしまうということである。

高松市中心部5km圏は全市の面積比率でいうとわずか5%を占めるに過ぎないがかつては全市収入の75%をあげていた実績があるという。これまでの人口増、経済成長により集積度の高い「コンパクトシティ」がくずれ都市は大きく郊外化により広がってしまった。少子高齢化社会を迎え、自治体はこの広がりすぎた(スプロール化)都市全体を経営するコストが出せなくなってきている。行政コストをみても2005年度で一人当たり中心部で875円郊外部で5127円とその差は歴然である。かつての「コンパクトシティ」をもう一度構築しなければならない。人びとを集積し、寄り添って安全で安心な、かつ過度に車に依存しなくても快適に生活出来る、運営コストがしっかり確保される効率的な「都市経営」の構築こそが急務である。

この、論理の成立を大きく阻害している最もな要因が「土地問題」であった。つまり土地を所有する地権者は当然その土地の使用権を持っている。所有する土地はどのように利用しようが地権者の勝手であり、誰もがこれを制御することが出来なかった。シャッターの下りた商店を放置しようが、野原のままにしておこうが、駐車場にしようが、それらは全て地権者の勝手であった。もう一度居住者を集積させ商業を活性化させ、地域のお金が地域で循環するための新しい仕組みをつくりあげるにはこの「土地問題」を解決しなければならない。

丸亀町はこの土地問題を解決する為に”土地の所有権と利用権を分離”した。地権者は自分たちの共同出資会社である「まちづくり会社」と全員同意で定期借地権の設定を行う事により自分たちの資産である土地を町に現物出資し、一定期間土地の利用権を放棄する事により、その中で商業の活性化(テナントミックス)を図り集積させ、その利益を地代として配当させたのである。土地の所有と利用を分離することにより、無駄な利害調整はいっさいせずに、これからの少子高齢化社会に対応するべく必要な施設・業種を正しく配置するテナントミックスを合理的に行う仕組みを手に入れたと言う事である。全町を7つの街区にわけ面としての開発を行う。各区ごとの役割を持たせ全体を開発短期間に着手できる新しい開発スキーム(小規模連鎖型)。商業を活性化させることが利益を生み、それが地権者に地代として配当され、しかも、税収が正しく確保される仕組みを作り上げたということになる。

丸亀町のテナントミックス選定基準

「歳をとれば丸亀町に住みたいよね。といわれるような街をつくる」

住宅整備、診療所、介護施設、生鮮4品の市民市場、子育て支援施設、ドーム広場に続く市民広場、ホームセンター誘致、町営温浴施設、町営映画館、町営まちバスの路線拡大、町営保育所、町営小学校

とくにマチナカ居住にかかせないのは地域医療の充実

 

幸いなことに、市の中心部は既に公共投資・民間投資の終わったインフラ整備の完了した地域である。ここに巧く投資を入れることにより都市は再生されるだろう。丸亀町の効果事例として、建物の固定資産税だけを取り上げてみても竣工の終えたA地区は開発前は年間約400万円程度であったが、竣工後は3600万円を納税している。つまりは、従前比900%である。また、衰退した商店街では地権者は売り上げを赤字決算で納税出来ていなかったが、土地の所有と分離をすることで新たに配当として地代が入り、ここに課税されることで税収増に繋がっている。これこそが、まさに、中心市街地活性化の必要性と効果である。

個々の利益より全体の利益を優先する時代がやってきたということであり、それがひいては自分たちの生活設計と安全安心な老後を確保する最も合理的な手法であるということに地域の人びとは気づくべきであろう。中心部にかつての賑わいを取り戻すためには向こう100年を見据えたまちづくりをしなければならない。その為には地域の人びとが、地域に対して責任を負う本気の覚悟が必要である。

中心市街地の活性化は時間と労力のかかる事業だが、実現させなければこの国の将来はないといっても過言ではないだろう。

 

高松丸亀町のまちづくり会社と定期借地を活用した再開発の仕組み

『再開発前』 

細分化された土地利用

不合理な店舗配置

老朽化した建物

居住人口の減少

『再開発後』

定期借地により土地の所有と利用を分離

まちづくり会社が商業床を一体的にマネージメント

地権者がリスクを負う変動地代

 

地方都市再生のストーリー

国の財政破綻、人口減、少子高齢化 > 地方分権 > 地方の自立 > 税収確保 > すでにインフラ整備の終わっている中心市街地の活性化 > 中心市街地を阻害する土地問題 > 土地の所有と利用の分離(土地のコントロール) 

 

丸亀町商店街の方々は20数年かけてこれらの再開発プロジェクトを計画実行されてきています。東京委員会(東京で開催するから)(高松丸亀町タウンマネジメント委員会)を設立し都市計画、流通、法学、経営、都市計画建築、金融、政策に精通した大学教授6名と銀行マン2名、コンサルティング1名の東京スタッフと丸亀商店街から3名の計12名から構成され、毎月一回の委員会を年12回開催し10年続けられたそうです。ちなみに予算はナント1回200万かかったそうなので総予算2億4千万ですね。しかし、それもたいした金額ではないと理事長は仰っておられました、、。これぐらいの大局観をみれる人物が岡山は表町商店街にも出て来なければ。あと、再開発法第110条全員同意型にもっていけたことに心からの敬意を。すでに70%の同意は取れていたが(土地の定期借地に関して)100%でないとコミュニティが壊れる、とのことでさらに4年の月日を費やしたとのこと。

表町商店街も町営で何かできないのか?これから20年かけて取り組むための委員会を立ち上げなければ、、。

う〜む、とにかく何から何まで素晴らしいので気後れしてしまいますが、、これ一切自治体に頼ってないんですよね、、。商店街運営の駐車場が原資なんですね。毎年2億の売り上げでそこからイベントホールや巡回バス、カード事業や各種イベント、いわゆる不採算事業を賄っておるそうです。

まずは、近いうちに岡山市中心市街地である表町商店街へ古川さんをお招きして商店街や地域の皆さんと話をしてみないとですね。