2018年 6月 定例議会個人質問
2018.08.20

1 町内会のこれからを今考え、今はじめる。〜町内会のリノべーションこそ、地方創生のはじまり〜

私の住む内山下地区には岡山中央小学校、中学校があり、この学区には地区連合町内会単位として内山下、深柢、弘西、南方、出石の五つがあり、単位町内会数は?になります。とりわけ内山下、深柢地区については学区の南エリアにあたりますが、岡山城や表町商店街、中央町・田町を有した、歴史文化の集積する旧城下町エリアであり、四六時中眠らない商業地でもあり、さらには高層マンションも密集し、これから当該地において新しい文化芸術施設や岡山城歴史公園の整備等を控える、まさに多様性ある人口の多い賑わい拠点であることは間違いありません。さて、地域コミュニティ、町内会の状況はどうでしょう。この両地区においては昨年より『いつまでも住み慣れた地域で暮らすために』をテーマにされた集まりを連合町内会が主催し社会福祉協議会、地域包括支援センター等との共催によりこれまで二回開催されています。私は二回目の会議に地元住民として初めて参加しましたが、ここで驚くべき「町内会の廃止」という言葉を耳にしました。岡山市72万都市の中心市街地における「町内会の廃止」、それが故の「廃止」、なのでしょうか。この地区においてどのようなことが起こっているのでしょうか?町内会のこれからについて質問します。

(1)まずはじめに「町内会の存在意義」、何のためにあるのか?当局からこれを明確に打ち出す必要があると思いますが、いかがでしょうか?

(2)本市と町内会の関係性についてお聞かせ下さい。

(3)町内会の「役割」と「機能」についてお示し頂き、現状課題、その解決へ向けた取り組みについてお聞かせ下さい。

<市民恊働局答弁>
町内会は、まちづくりの活動主体として重要な役割を果たしている団体の一つであり、協働のパートナーであると認識しています。
町内会は会員相互の親睦を図りながら、住みよい豊かな地域づくりを目指して任意に設立された団体であり、その運営も団体の自主性に委ねられていますが、一方で地域と行政をつなぐ役割も果たしています。岡山市は、岡山市町内会名簿に掲載されている町内会に対して、広報紙等の配布や各種の調査、及び民生委員やリサイクル推進員の推薦などをお願いしており、これらの協力に対するお礼と自主的な活動の支援として自治振興報償金をお支払いしています。また、町内会運営の課題としては、平成28年8月に実施したアンケートの結果として、「住民・役員の高齢化」「役員のなり手がいない」「住民の関心の低さ」が上位となっています。そのため、町内会の運営に役立つ情報として、活動事例や会則の例、岡山市の支援内容等を掲載した【岡山市町内会ハンドブック】を岡山市連合町内会と協働で作成し、平成30年3月に各町内会長へ配布いたしました。

(4)町内会の結成、廃止、または合併の数について、ここ数年の推移をお示し頂き、それぞれの判断理由、進める上での課題についてお聞かせ下さい。また、各申し出について市の立場としてどのような対応をされているのか、方針があればお聞かせ下さい。

<市民恊働局長答弁>
岡山市町内会名簿への新規掲載及び掲載取下げの申し出等の件数は平成27年度 新規3、掲載取下げ1、合併1平成28年度 新規3、掲載取下げ6、合併0平成29年度 新規1、掲載取下げ0、合併0 となっております。新規掲載の理由は、申出書に記載を求めていないため分かりませんが、掲載取下げや合併の理由としては、社宅の廃止、住民減少による活動困難などがありました。これらの取下げや合併をすすめる上での課題については承知しておりませんが、これらの申し出はそれぞれ町内会の自主的な判断に基づいてなされたものであることを確認し、名簿に反映したところです。

(5)町内活動の過疎化について、当局はどのような対応をされますか?その定義(例えば年次総会出席が10人未満)について設定し、今後の対策を考える必要はないか?

<市民恊働局長答弁>
町内会活動については、町内会が任意に設立された団体であり、その運営は団体の自主性に委ねられていることから、それぞれの団体における活動や取り組みはさまざまであるというふうに考えています。

内山下・深柢地区についてお聞きします。近年多くの再開発事業(主に高層マンション)があり、これからも多く控えています。多様なライフスタイル(生活様式)が存在するエリアで、近年では外国人の観光客や住民も増加しています。多様であり複雑ががゆえの混在した課題を抱える地区であるといえます。

(6)両エリアにおける町内会環境は他と比べどのように認識されていますか?課題と解決へ向けたお考え、取り組みイメージをお聞かせ下さい。

(7)両地区においては全市的に最も人の賑わいが求められるエリアであります。町内会マターだけで考えず、マチづくりの視点、例えば地域の未来づくり推進事業で活用されるコミュニティビジネスという手法も考えながら、町内会活動を盛り上げる新しい仕組みを探るためのモデル事業として考えてみてはいかがでしょうか?

<市民恊働局長答弁>
議員ご質問の町内会を含め、市内全ての町内会をと比較するということは想定しておりません。いずれにいたしましても、各町内会の課題と解決に向けた取り組みについては、個別の相談に応じて、市としてどのような支援ができるのかを一緒に考えていきたいというように考えています。

<森山要望>
内山下、深柢地区において、特に深柢地区においては町内会の過疎化問題は深刻です。高齢化人口減少だけでなく、更に、マンション住民との関係の希薄さは拍車をかけています。ある町内会では約185世帯参加していますが、うち175世帯がマンションで、住民は10世帯、そのうち実際は老人ホームへ行かれたり、共働きなどもあり、実質集まりに集まるのは5名ほどといいます。地区内には1世帯の町内会も存在しますし、未加入町内会、町内会にもならない地域、もあるほどです。

内山下・深柢地区においては歴史文化公園整備、新しい文化芸術施設、現代アート事業等、様々な大きな施策が控えます。これから人の賑わいが求められるこのエリアにおいて、同じように内山下・深柢地区の「地べたの地域活動の再開発」も必要ではないでしょうか?地域の「人」を支えるのが町内会だと思います。その支えなくして、賑わい事業は成り立つのでしょうか?「地域の未来づくり推進事業」はまさに「コミュニティに価値を見いだし、それをベースにビジネスをつくる」取り組みであると理解致します。ソーシャルビジネスから、これからはまさに市長のおっしゃる地べたに着目した“コミュニティビジネス”の創出は待ったなしであります。中心部にもみえない過疎化があることをご理解いただきたいと思います。これは市長への要望とさせて頂きます。

さらに申しあげると両地区においては小学校が廃止された地区でもあり、さらに深柢地区においてはその後の用地における事案で地区は分断をされたままになっています。廃校後の地域へのフォローについて、これも今後の課題であると感じます。

<森山再質問>
市民恊働局長から「町内会は重要な役割を果たす大切なパートナーであり、地域と行政を繋ぐ役割も果たしています。今後も伴走支援をやっていきたい」とのご答弁頂きました。
町内会は任意団体であるので、自主自発性を尊重したい。その通りだと思います。28年8月に報告されたアンケート調査では運営の問題点として「住民の高齢化」「なり手不足」「住民の関心の低さ」ときて「行政からの依頼が多すぎる」とあります。負担として、「広報誌配布」「ゴミステーション管理」「祭り・運動会等の行事」「地域の苦情相談」と結果が出ています。最高裁判決にて町内会加入は強制ではないとされています。であればその役割はボランティア内で完結する必要があるのではないかと考えます。それ以上の労務については税金で対応するなど検討が必要ではないか?役割の棚卸し(住民、行政、民間委託の役割分担)を、これは市民恊働局だけでなく、全市的な議論を展開する必要があるのではないでしょうか?

<市民恊働局長再答弁>
現在もいろいろな部署で町内会に対しては協力をお願いしていますが、お願いする際には、もちろん各部署がその必要性というものをしっかり検討した上で、町内会の方にも一定のご理解をいただいた上ですすめさせていただいているものと考えています。
しかし、そういった協力、お願いというものが、町内会にとって過重な負担とならないようにということは、今後も考えていかなければいけないことだと思っておりますので、市民協働局を窓口として、そういった町内会のご意見もお聞きしながら、整理すべきものはどういった方向がいいのかということについて考えてさせていただきたいと思います。

<森山要望>
町内会の負担感のある役割として広報誌の配布があげられます。役割市の広報紙の配布は市の責任だと思いますが、インターネットも各家庭に普及されてきています、必要に応じて配布するなど、今後多様な取り組みが必要だと思います。

<森山再質問>
住民自治を進めて行く上で、プライベート(個人)/パブリック(公共)というテーマは常に横たわります。今回はその核心をなすと言っても過言ではない「町内会」をテーマに議論させて頂きました。「コミュニティーと自由」この両者を相反させず、良好な関係にするには「コミュニティー意識」の醸成がポイントだと思います。これが地域への愛着や誇りに繋がるのではないでしょうか?これまでの「町内会」という器があり、その「役割」を時代、地域性に合わせ棚卸し機能を回復させるために多様な担い手を模索する。町内会を考えるを「コミュニティをデザインする」という大きな視点から考えた方が相乗効果も実込めれるかもしれません。結局、よそ者、若者、バカ者の創造力が必要なのではないかと思います。最後に町内会のこれからについて市長のご所見をお伺いして終わりたいと思います。

<市長答弁>
難しいですね、、。
町内会にできるだけ負担にならないように、市として考えていくとか、連携をとりながらとか、抽象的な言い方ならいくらでもできると思うんですけど、具体に本当にこれからどうやっていくかというところは、今、アイデアはありませんけれども、実験的なことをやっていく必要があるような気もいたしますよね。これは、市議会の皆さんのご意見なんかも参考にしてやっていかなければならないというように思います。
ただ、私ね、最後に森山議員おっしゃった、そういう「コミュニティ意識」っていう話ありましたよね。そこは重要なんじゃないかなと思うんです。7月1日から、児童家庭支援センターを設置します。24時間365日で、子どもに関しての相談を受け付けますっていう話を申し上げました。その時に、今まで児童相談所とかに、どんな悩み事がきているのかというのを担当から教えていただいたんですね。一番多いのが、「うちの子は夜泣きがすごい」とか「どうやって躾けていったらいいか」とか、子どもを育てたら必ずあるようなことを、誰にも相談ができずに、そういうところに相談に来ているということがあって、住民同士の絆と言いますか、コミュニティ意識がやはり相当希薄になっているという気がいたします。これは価値観を変えていかなきゃいかん。私は岡山市だけじゃなくて我が国全体にとって必要なことなんじゃなかなというように思っております。町内会もそういう意味では絆の一つだろうと思うわけで、その存在意義って言いますかね、そういったものは私も非常に高いものがあるんだろうと思います。
行政との広報紙の話ほか、さまざまなところについての核論はこれから議論 させていただくとして認識としては、そんな認識でいるところであります。以上です。

民生委員について

地域コミュニティにおいて民生委員、児童委員と呼ばれる方がいらっしゃいます。これは法にもとづいて厚生労働大臣から委嘱された非常勤の地方公務員になります。民生・児童委員の役割は主に地域住民の生活や福祉に関する相談を聞き、行政に繋げる仕事をして頂いています。創設から100年、発祥の地は岡山であります。この間介護支援制度等様々な制度が確立するなかで、整理し仕組みも考え直す必要があるのではないかと思います。

(8)現状、市内民生委員の定員1229名うち1202名の登録で、27名の欠員ということです。この状況をどのように評価されていますか? 本市にとっての民生委員の今日的な課題についてお聞かせ下さい。

<保健福祉局長答弁>
高齢でも就労を続ける人が増加していることなどから、民生委員・児童委員のなり手が少なくなっていることが大きな課題となっているため、民生委員・児童委員の年齢要件の引上げなどを行いました。平成28年12月1日に行われた民生委員・児童委員の一斉改選では、岡山市の充足率は96.9%で、政令指定都市の平均である95.4%より高くなっています。この後も、欠員の補充が行われた結果、平成30年6月1日現在で97.6%となっております。課題解決のため、民生委員制度の理解者やなり手となる地域の人材を増やして行けるように、民生委員制度の周知を図ってまいりたいと考えております。

<森山要望>
経済格差が広がり、子どもの貧困、独居老人、障がい者などの社会的弱者を見守り把握し、必要であれば行政へ繋いで行く、という非常に尊い仕事であります。最近のニュース等で感じるのはやはり、地域のセーフティーネットは法ではなく身近い人の「ふれあい」「信頼」なのだと思います。だからこそ、守秘義務が課せられた民生委員さんの存在が大切ですし、広く周知することは勿論ですが、これも、福祉の世界だけではなく、恊働の視点で検討する必要があると考えます。町内会のこれからを考えるテーブルに一緒にのせ検討をしていくべきだと思います。
昨年は地域福祉支援の仕組みとしての岡山発の民生委員創設100年、本市における民生委員の役割やその機能についての実態調査をし、検討会議の立ち上げをお願い出来ませんか?これから100年の計を、再び岡山モデルとして発信しようではありませんか!要望とします。

町内会とゴミステーションの管理運営について

町内会の負担が大きいのがゴミステーションの管理運営です。昨年度本会議において公明党松田議員の質問への解答として、ゴミ出し支援としてのふれあい収集がありますが、対象が今年度は要介護2、次年度からは要介護1まで緩和されることが明らかになりました。環境省は、全国の自治体で導入が増えている、高齢者世帯への「ゴミ出し支援」制度の実態把握に初めて乗り出します。65歳以上が人口の3割に迫るなか、集積所までごみを運べないお年寄り世帯が増えており、支援へのニーズが高まっているためです。支援制度を導入する自治体の増加を受け、国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センターが2015年に全自治体にアンケート (回答率約65%)したところ、2割を超える自治体が制度を持っており、制度のない自治体でも4割近くが導入を検討したいと答えたそうです。

(9)国においても過渡期を迎える町内会とゴミ出し支援についてですが、本市においてはいかがでしょうか?持続可能な地域のゴミ処理方針について、民間、地域を巻き込んだ議論が必要ではないでしょうか?

(10)5年、10年後を見据えたゴミステーションの管理運営についても様々な議論が必要だと思います。町内会の実態をつかみ、地区に応じた支援体制を検討して行くべきだと考えますが、いかがでしょうか?

<環境局長答弁>
一括してお答えします。
急激な高齢化を背景とするごみ出し困難世帯の増加や、ごみステーションの管理運営の課題につきましては、現在、町内会に対してアンケートを実施しており、その中で町内会でのごみ出し支援の状況や、ごみステーション管理についての現状や課題についてお尋ねしております。まずは、町内会ごとの実情や、地域あるいは市全体の状況把握に努めてまいりたいと考えています。

<森山要望>
ゴミ出し支援や管理運営についてのアンケートを町内会へされているとのこと。結果を受けて様々な視点ある検討会へ繋げて頂きたいと思います。町内会には地域性、特性があるますからそれに沿った対応を宜しくお願いしたいと思います。

<町内会について参考資料>

行政社会学者の中川剛

「日常的、身近でさしたる労役でなければ無理なく出来ない。それ以上の参加が求められれば、共通の利害、目標によって結ばれた集団にならざるを得なくなり、地域の枠を超えてしまう。また、無理のない範囲での活動を上回ると、強制によらなければ実施出来ない。」

「町内会の重要な機能は、意識の面で市民的連帯感情を提供するところにある。町内会の些少な活動や行事は、むしろそのための手段である。町内会活動が過重な負担となり、参加が半義務化してはならないのは、自治意識の生成という貴重な目標が損なわれるからである」

若者を巻き込んでいくための「心地よさ」とは? そのための「親睦」づくりとは。
行政にも企業にもNPOにも出来ない、町内会として本当にやる意義のあるものとは?

貧困や定職不安が社会問題となる近年、人を支える地域コミュニティーの大切さはいうまでもありません。

2 大学生まちづくりチャレンジ事業について

若者が地域に住み続け、活躍できるマチづくりを進めるために取組まれています。このチャレンジ事業も今年で2回目になります。事業のねらいは若者が卒業後も定住し、活躍するマチづくりです。(長岡市の「ながおか・若者・しごと機構」を参考)

(1)チャレンジ事業が本当に若者の定住を目指し、活躍するマチづくりを進めるのならば、長岡市の「ながおか・若者・しごと機構」のように若者が主体かつ継続的に関われる事業と推進するためのプラットフォームをつくりが必要ではないでしょうか?若者政策は若者が考え若者でつくる。その制度設計を大人たち(長岡は市内29産学金と行政機関)がつくらなければいけないような気がします。10年20年先を見通した仕組みづくりの必要性についてご所見願います。

(2)まちづくりチャレンジ事業を高めていくためには、やはり、議会の存在は外せません。なぜなら住民自治の根幹は地方議会にあるからです。議会に親しんでもらうために今後「若者議会」も提案したいと思っていますが、まずは、このチャレンジ事業のプロセスにおいて議場を活用することを考えてみてはいかがでしょうか?

(3)大学生のマチづくりへのチャレンジ環境を推進するための方策として単位認定の推奨を各大学へお願い出来ないでしょうか?その場合、大学のメリットを市として考えることができないのでしょうか?ご答弁お願いします。

<政策局長答弁>

大学生まちづくりチャレンジ事業は、大学生が主体となってまちづくりに参加し、柔軟な発想を活かして地域の様々な課題の解決を目指すとともに、地域の団体等との協働を通じて地域への愛着を深め、市内への定着を図ることを目的として実施するものです。

本事業は、今年度、2年目を迎えたところであり、対象大学を拡充するなど、まずは、事業の質を高めながら、着実な推進を図っております。今後、事業の継続や発展に向けた環境づくりに何が必要かを検討する際には、ご紹介いただいた長岡市のプラットフォームのような事例も参考にしてまいります。

また、ご提案のチャレンジ事業のプロセスにおける議場の活用につきましても、本事業の目的・趣旨や参加者の意見を踏まえて、必要性を含め考えてまいります。
単位認定の推奨につきましては、昨年度の大学生まちづくりチャレンジ事業では、ゼミの活動の一部として参加しているグループもありましたが、単位の認定は大学教育の基本的部分に関わることでもあり、まずは、大学のお考えをお聞きしてまいりたいと考えております。

<森山要望>
今年度で二回目の事業になり、担当の皆さんも力をいれて下さっています。地域課題解決のために若者のちからは必要不可欠です。地域課題解決のために若者が自ら考え、若者が実行する、若者が真にマチづくりのエンジンになりえる仕組みづくり、引き続き宜しくお願い致します。聞くところによりますと、中区役所が就実大学、山陽学園大学と包括協定を結び連携事業をされはじめているそうですが、元々は学区とのやりとりがあったと言います。学区と大学との連携も今後検討していきたいと思います。