2016年 9月議会 おかやま創政会代表質問
2016.09.17

img_8163

1 市長の将来都市像実現に向けての取り組みについて

1 市長の政治姿勢、大森市政3年間の評価と展望について

大森市政も、早いもので3年を終わろうとしています。この間大森市長は、高谷市政を引継ぎつつも、「さらなる高み」を目指してそれぞれの取り組みを真摯な姿勢でブラッシュアップしてきたと、私どもは認識をしているところであります。具体的には、待機児童の問題をはじめ子ども子育てに関する取り組み、女性が一層活躍できる体制づくり、新市民会館をはじめ中心市街地の活性化への一連の取り組み、そして今、これからの人口減少・超少子高齢化社会を見据えた岡山市のマチづくりを進めるべく、第6次総合計画の中長期計画の策定を進めておられるところであります。

(ア)市長ご自身はこれまでの取り組みを振り返り、成果と課題をどのようにお考えでしょうか?

<答弁>
私は,市長に就任して以来,積極的に情報を発信するとともに,幅広く市民の皆様のご意見をお聞きし,市議会とも真摯な議論を続けながら,市政の透明性の確保を心掛けてまいりました。
これまでの取組についてのご質問ですが,私は,市政を運営するに当たり,岡山市の発展と市民生活の向上のためには,長期構想に掲げる3つの将来都市像の実現に向けた取組が重要であると考えており,それらの取組のうち特徴的なものにいついてご説明したいと思います。
まず,経済・交流都市の実現に向けた取組としては,岡山市の優れた立地条件などの強みをいかした誘致活動を進め,企業の中四国支店数やコンベンションの開催件数を着実に増やすとともに,県との連携により岡山城と後楽園の一体的なPR活動等を行い,入場者数を大幅に増やすことができました。
次に,子育て・教育都市の実現に向けた取組としては,子ども医療費の助成拡充を行ったほか,待機児童の定義を見直し,具体的な政策目標となる待機児童数を明らかにした上で,保育の受け皿整備を進めているところです。
次に,健康福祉・環境都市の実現に向けた取組としては,健康寿命の延伸のために健康ポイント事業を行い,参加者の平均歩数が1日当たり2000歩も増加するなどの効果が上がっています。また,生涯現役応援センターを設置し,高齢者と地域社会の活躍の場をコーディネートし,生きがいづくりを支援しています。
今後とも,これらの3つの将来都市像の実現に向けて,長期構想の柱に沿った施策を着実に実施してまいりたいと考えております。

2 組織横断的な取り組みの充実について

現在の様々な行政課題解決のためには、組織横断的な発想や取り組みが不可欠です。そうした認識をふまえ、高谷市政では縦割り行政の弊害を克服すべく、組織横断的な取り組みの推進と組織のフラット化を目指し、審議監制が導入されました。しかしながら、その発想は良いものの具体的な取り組みがなかなか追いついておらず、実に中途半端で終わっていると、残念ながら言わなくてはなりません。本会議の様々な議論の中でも「関係各局と連携をし…」という答弁がよく聞かれますが、この「連携」という言葉はまさに「言うは易し、行うは難し」だと思いますし、それぞれの課題意識に温度差がある中では、なかなか「こと」が進まないのが現実です。
 この間、中心市街地活性化の「政策パッケージ」策定や内水対策のための下水道河川局の設置などの取り組みがありますが、限定的です。(市長が指示したものは前進するが、そうでないものはなかなか進まない)現在、様々な連携のための会議が行われているようですが、連絡・調整にとどまっている感が強いと思われます。また、審議監会議も十分に機能しているとはいいがたいのが実情ではないかと思われます。

(ア)組織横断的な取り組みをあらゆる分野で力強く進めるために、これまでの取り組みをしっかり検証し改善すべきはきちんと改善や抜本的に見直す作業が必要ではないかと考えます。現状認識と今後の取り組みについて、市長のお考えをお伺いしたいと思います。

<答弁>
高度化、複雑化、多様化する行政課題に対し、効果的な政策展開を図るためには、「政策パッケージ」などの組織横断的な取り組みが不可欠です。本市においては、組織横断的な政策を推進するため、推進本部やプロジェクトチームなどの体制づくりを行っております。先日も、子どもの貧困対策に係る施策を総合的かつ円滑に推進するため、岡山っ子育成局他4局で構成する「岡山市子どもの貧困対策推進本部」を設置し、取り組みを始めたところです。また、審議監制度についてですが、局間調整は統括審議監が行い、局内調整は審議監が行うこととしております。
 このように、様々な仕組みを活用しながら、組織横断的な政策を推進しているところであり、全庁的な視点から、迅速かつ機動的に政策調整できるよう、より一層努めてまいりたいと考えております。

<要望>
「責任の所在の明確化」「市民生活への影響と優先順位」を勘案しながらという答弁を頂きました。現在の中心市街地パッケージや子どもの貧困問題への対応は勿論、否定するものではありません。例えば、今回も質問させていただいた障がいとアート、文化政策とマチづくり等、色々な組み合わせによって面白い発想が出てくるのではないのか?行政の組織体制への多様化が求められる。児童クラブや待機児童についてもそう。現状は「責任の所在」と申しましたが、課による責任転嫁を改善するためにも責任を皆で負うようなシステムづくりが必要だと思います。高谷市政での審議官制度は必ずしも十分な機能を果たしているとは思えません。検証、検討願いたいと思います。

3 岡山市の教育の課題と展望について

9月議会の冒頭、山脇教育長の任期満了に伴い、教育委員長と教育長の権限を併せ持ち市長が任命する「新教育長」として菅野教育長が任命されました。今回の人事は、学校現場からの登用という、他市に例はあるものの岡山市としては近年なかった人事であります。そこには、これまでの総合教育会議での議論を踏まえたうえでの市長の強い意図を感じるところであります。

(ア)市長は、新教育長に何を託したいのか、これからの岡山市の教育についてどのような課題意識を持ち、何を重点的に取り組むべきとお考えか、改めてお示しいただきたいと思います。

<答弁>
我が国では、核家族化や女性の社会進出など世の中が変わってきている中で、(例えば、誰もいない家に児童が帰宅するなど)、子どもの家庭環境は大きく変化してきています。こうした環境(の変化により、子どもたちにしわ寄せが来ているのではないかと、大変心配しているところであり、これに岡山市の教育施策は十分対応できているのか、教師や学校は何の役割を果たすべきなのか、大きな視点を持って考えていかなければならないのではないかと思います。そのためには、教育の現状やこれを取り巻く環境を総点検し、その上で、子供たちにとって何が必要な施策なのか、総合教育会議などの議論を通じて考えていく必要があります。
 こうした中、このたび任命した菅野教育長には、海外を含む教育現場や教育行政での経験を活かし、山脇前教育長の足跡も踏まえながら、従来の枠組みを超えて、新しい発想で、レボリューションのような大きな変化(教育改革)をもたらしてくれることを期待しています。
 菅野教育長には、思う存分ご活躍いただきたいと思いますし、私としても、教育長を信頼し、様々な面からバックアップしてまいりたいと考えております。

2 これからの岡山市の発展に向けて

(1)岡山市第6次総合計画・中期計画策定について

中長期計画については、分野別計画は各所管の常任委員会で、また、区別計画は各区の議員による調査特別委員会が設置されそれぞれ精力的な議論が進められているところです。こうした議論の進め方は議会としてはかなり異例ですし、それだけ議会の側も重きを置いていることの表れだと思います。改めて、議長ならびに議会運営委員長のご英断に感謝したいと思います。個々具体的な議論はそれぞれの委員会にゆだねるとして、総論的な部分についていくつかおたずねをしたいと思います。


ア 区別計画において、それぞれの区の実情を踏まえかなり具体的な課題や取り組みを求める意見が多数挙げられています。これらに対し、必要とあらば分野別計画や市全体の方針にフィードバックさせ、見直すべきは見直すものと考えますが、いかがでしょうか。

<答弁>
 区別計画につきましては、各区の調査特別委員会にたたき台をお示しし、区の実情を踏まえた具体的な課題や取組など、様々なご意見をいただいたところです。
いただいたご意見につきましては、可能な限り中期計画への反映を図るべく、現在、全庁を挙げて検討を進めているところであり、区別計画の必要な追加・見直しに加え、市全体で推進すべき施策や方針に関するご意見につきましては、分野別計画への反映も含め、適切に検討を進めてまいりたいと考えております。

イ 区別計画策定においては、連携中枢都市圏構想や隣接他市町との連携を強く意識すべきだと考えますし、そうした視点で改めて見直すべきと考えます。このことは、各区の発展のためにぜひとも必要な視点であると同時に、連携中枢都市圏構想の充実に資するものと考えます。ご所見をお伺いいたします。

<答弁>
 区別計画のたたき台でお示ししている施策の方向性のうち、特に歴史・文化や観光分野に関する項目につきましては、広域的な視点に立ち、近隣市町や県等と連携することにより、高い相乗効果を発揮でき、区並びに市全体、さらには広域圏の発展に寄与することができるものと考えております。
 このため、区別計画のたたき台について、これらの分野を中心に、周辺市町等との連携など広域的な視点が抜け落ちていないか、改めて検討し、必要な追加・修正を行ってまいりたいと考えております。

ウ 分野別計画の中で、特に観光振興、産業振興、農業振興などは、県や他市町・他県との連携の中で考える必要があると思います。そうした視点はしっかり反映されているでしょうか。ご所見をお伺いいたします。

<答弁>
 観光振興では,岡山城と岡山後楽園との連携をはじめ,真庭市・吉備中央町と連携した岡山型ヘルスツーリズム拠点化事業など,連携中枢都市圏の自治体や瀬戸内海でつながる地域と連携し,地域全体の魅力向上を図ることとしています。
 産業振興では,岡山県と共同で空港南産業団地を整備し,企業用地を確保するほか,ヘルスケア産業の創出・育成や企業立地の推進等の施策に関して,連携中枢都市圏の市町との連携も想定しているところです。
 農業振興では,生産基盤の整備や就農希望者への対応等において県との連携を図るほか,地産地消や鳥獣被害対策について,連携中枢都市圏の市町との連携も想定しているところです。

(2)区政推進について

区別計画策定ののちは、計画の実行や議論の過程で出された取り組みについて鋭意進めていかなくてはなりません。そのためにはそれなりの仕組みが必要です。

ア 区別計画策定後は、計画の進行管理をはじめ、区長の権限や計画推進のための事業予算の確保の仕組みづくりなど、区政に関する検討が必要と考えます。どのようにお考えでしょうか。

<答弁>
区役所は、市民に身近なサービスを提供する総合出先機関、区の特性を生かした地域振興を図る拠点として設置しており、区別計画策定後も、その基本的な考え方に変わりはありません。区長の権限についてですが、人事や組織に関しては他の局長と同じ権限を持っています。
また、区のまちづくりに係る予算につきましては、一定の枠組みを設け、区から直接予算要求できる仕組みを取り入れるなど区長の予算権限を拡充してきており、区が主体となって、地域に根差した身近なまちづくりや地域課題の解決、区全体の活性化に取り組むことが可能となっております。
こうした中、区別計画策定後は、各区が計画の進行管理に一定の役割を果たすことも想定し、各局区で行う事業の進展に合わせ、適切に対応してまいりたいと考えております。

(要望)
大区役所制の定義も色々ありますが、実際はそうはなっていないのではないか(保健福祉局も市長直轄になっていますし、区長の予算、人事権についてほぼない状況)。政令市移行8年目にもかかわらず依然としてその実感がないのは、身近な行政が出来ていないからではないでしょうか?市民目線より区民目線での行政をこれからの構想で目指し区民感覚の醸成をつくるべきではないでしょうか?そういったビジョン実現のために、区への権限譲渡のためのルール、仕組みづくりをし、とくに中区、南区が歴史が浅いということもあり区を感じる象徴的な事業がありませんから、北区で展開する(全市と区イベントの両輪)形を各区へ広げていくべきではないでしょうか?区長の選び方、執行権、予算権限の拡充のためのルール整備への取り組みをお願いしたい。

イ 現在各区において「区づくり推進事業」が進められています。これは、各地域活動の活性化に資するものでありますが、区全体の区づくりや活性化に直接つながるものではないと思います。区別計画策定にあたり、現在の事業はそのまま継続させつつ、区全体の活性化などに直接つながる事業を新たに設定するなど、事業体系を見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。

<答弁>
区全体の活性化につながる事業については、各区で行う事業の進展等に合わせ、必要に応じ区長会議等で本庁と区役所の役割分担や予算など、各区の意見調整を行うとともに、本庁の関係部局と協議するなど、支援してまいりたいと考えております。

(3)「新岡山市行財政改革大綱」と「職員採用中期計画」の見直しについて

「新岡山市行財政改革大綱」と「職員採用中期計画」は第5次岡山市総合計画を受けて策定されており、当然、第6次総合計画策定を受けてそれらを見直さなければなりません。

ア このことについて、現時点でどのようにお考えでしょうか。それぞれの策定のスケジュールも含めお示しいただきたいと思います。

イ また、現在の大綱・計画は策定当時の厳しい財政状況が色濃く反映されたものですが、財政状況をはじめ社会状況は当時とは異なっています。それぞれの策定にあたり、特に留意すべき点や視点、方向性について、現時点での考えがをお示しください。

<答弁>
本市では、「新岡山市行財政改革大綱」による改革を推進してきた結果、財政指標は改善傾向がみられる一方で、少子高齢化の進展に伴う社会保障関係費の増加、公共施設等の老朽化への対応など多額の経費が見込まれており、都市経営の面から都市の持続的発展を支えるためには、不断の行財政改革が必要です。
新しい本市の行財政改革の方針は、前大綱の成果を踏まえながら、また、第六次総合計画前期中期計画のたたき台の政策30「将来世代に責任を持つ自主・自立的な行財政運営」の中で、現時点で「健全で持続可能な財政運営」、「公共施設等のマネジメントの推進」、「効率的・効果的な市民サービスの提供と公民連携」、「組織力の向上」、「透明性の高い開かれた市政運営」という政策をお示ししていることを踏まえながら、現在、平成28年度中の策定を目指し、庁内で具体的な検討を行っているところであり、作成にあたっては、適宜、議会や審議会のご意見をいただきながら、進めてまいりたいと考えております。

職員の採用につきましては、現在、平成27年度から28年度の2か年の定員管理の方針を策定し、施策の重要度・優先度等を勘案しながら、行政の合理化・能率化を図りつつ、適正な管理に取り組んでいるところです。
今後の定員管理については、平成32年度までの計画とする新たな方針について今年度中の策定を目指し、現在、各局からヒアリングを行っているところです。
 新たな定員管理の方針の策定にあたりましては、組織力を最大限に発揮できるよう、人員を必要な分野にメリハリをつけて配置していくことを基本としながら、複雑・高度化する行政課題に的確に対応し、質の高い市民サービスを提供できるような体制となるよう、今後、関係部局と協議、調整しながら進めてまいります。
(定員管理の方針案がまとまりましたら、議会にご報告させていただきたいと考えております。)

(4)岡山市公共施設等総合管理計画(仮称)について

この度、岡山市公共施設等総合計画(仮称)が計画の構成が示されました。これは、急速に進む人口減少・超少子高齢化とあわせ、「右肩上がり」の時代に多くつくられた公共施設等が一斉に老朽化する中、適切な対応を促す国の方針に基づくものです。老朽化した公共施設の対応については、漫然と対応していたのではいけません。その点で、計画の趣旨は理解できますし重要な課題であるとも思います。

ア 岡山市第6次総合計画をふまえ、それぞれの公共施設にどのような施設機能が必要になってくるのか、また、どの施設にどのような機能を複合化できるのか・すべきなのか、さらに、そうした施設機能の適正配置はどうなのか、これらの課題意識についてお伺いしたいと思います。

イ 早急に具体的検討を全庁的に行い、方針等を決定すべきと考えますが、ご所見をお伺いしたいと思います。

<答弁>
公共施設等総合管理計画につきましては、少子高齢社会において市民サービスを今後とも継続して提供していくためにも、総量の抑制を行わなければならないと考えており、そのため施設の複合化は有効な手法の一つと考えています。
一方、個別の施設において提供する市民サービスは、多種多様であり、また、施設設置の経緯や地理的条件なども様々であることから、画一的に複合化の組み合わせや配置を決めることは困難な状況であります。
市といたしましては、当該計画を策定したのち、この方針を全庁に徹底し、各施設管理部署において適切に進めて行くこととなります。

<要望>
施設機能とその適正配置について、所管課・局で今後「計画」をもとに検討。これでは、前に進まないのではないかと思います。これからの時代に則した市民サービスの提供・向上のために必要な市有施設の機能については、これは、全庁的に行うべきだと考えます。「行革」での扱いがふさわしいのではないか。

(5)空屋対策の総合的な推進について

増え続ける空き家に対して、国の法施行を受け、本市においても空き家対策が進められています。しかしながらその取り組みは、空家の把握と特定空家への対応という非常に限定的な取り組みにとどまっているのが現状です。また、危険な空家への対応にしても「私権」や相続の問題などにより、なかなか手がつかない状況です。危険な特定空家への対応はもとより、空家を活用しての住居整備や地域の活性化に資する活用が求められます。そのためには、さらなる法や条例の整備が必要です。また、地域の活性化に資する空家の活用には、柔軟な発想や斬新なアイデア、官民の連携が必要不可欠です。

(ア)こうしたことを考えたとき、現在の体制のまま取り組みを進めるのは困難ではないでしょうか。この際、空家対策を総合的に進める体制を構築すべきと考えますが、いかがでしょうか。

<答弁>
今年度から、建築指導課と住宅課が協働で、老朽危険空家の除却や空家の利活用など空家対策に取組んでいるところですが、これらの取組みをより効率的、効果的に推進する必要があるとの認識のもと、どのような執行体制の構築がのぞましいか関係部局と協議を進めているところです。

3 中四国をリードし、活力と創造性あふれる「経済・交流都市」に向けて

人口減少が急速に進むことで地域経済が縮小していく厳しい環境の下「交流人口の拡大による地域活性化(観光振興による地域づくり)」が重要な政策課題となってきています。

1瀬戸内ツーリズムの実現に向けて

瀬戸内は温暖な気候に恵まれ、古くから遣唐使、朝鮮通信使、北前船の海路であり、我が国の文化と経済はもとより、アジアとの交流の発展を支えてきた大動脈であります。かつて、瀬戸内を旅した欧米人は、多島美に魅せられその希少性を紀行文に残しています。こうした背景を踏まえ、瀬戸内において世界に発信可能な資源については「多島美」「自然景観・まちなみ」「現代アート」「食文化」等が挙げられると思います。観光のあり方も「他律型」から「自律型」へ移行している今、既存の地域固有の文化等を生かしていくことが求められます。瀬戸内のもつ可能性として、文化の道である「海の道」を世界的な資源として発掘していくべきではないでしょうか。
瀬戸内においての広域的なマチづくりの取り組みを単なる観光スポット巡りに主眼を置くのではなく、歴史的・芸術的・社会的な共通性や関係性をひも解き、広域な視点で地域を捉え直すと言う眼差しが必要だと考えます。

(ア)従来の観光地域づくりの推進体制とその課題について市長はどのようなご認識を持たれておられますでしょうか?また、「瀬戸内ツーリズム」「瀬戸内海ブランディング」についても市長のご所見を頂きたいと思います。

<答弁>
従来、各広域観光協議会等を推進組織とし、観光資源を広域にPRしてきているところですが、地域固有のアイデンティティの形成が不十分な面もあると考えています。そこで、今回、地域で共有できるテーマごとに各資源を結びつけるストーリーを創出し、ドラマティックに演出することを目的に、作家のあさのあつこさんに物語の執筆をお願いしたところです。
また、議員ご指摘の「瀬戸内ツーリズム」「瀬戸内海ブランディング」については、日本版DMOであるせとうち観光推進機構が、国に認定された広域観光周遊ルート「せとうち・海の道」の形成により、瀬戸内の一体的なブランド化を推進しており、本市もその拠点都市として、現在、中国運輸局と連携し、「せとうち・海の道」へのさらなる誘客促進のため、外国人個人旅行者向け宿泊促進キャンペーンや、外国人観光客向け観光PRツールの作成を行っているところです。
 また、瀬戸内4県都市長会の事業として、7月に広島市長、松山市・高松市両副市長とともにマレーシアへ赴き、物産フェアや観光セミナーを行い、盛況を博しました。これも各都市が単独でなく、4都市連携で行うことにより、瀬戸内というブランド力が加わり、大変意義があったと感じております。
今後も、ストーリー性をもたせた広域的な周遊観光ルートの造成を推進し、地域固有の歴史・文化等に根差した観光資源を情報発信してまいりたいと考えております。

日本版 DMO(destination management organization)『 観光地(地域・観光資源)のマネージメントとプロモーション(ブランディング)を担い、観光集客をはじめ、資源管理やサービスの品質(安全)管理、観光戦略の立案や事業計画のマネージメント機能を有する組織 』が各都市で注目されていますが、コミュニティ・ソーシャルビジネスとしての組織が地域の観光集客の核となり、その周辺にスモールビジネスが生まれることで地域全体が活性化されるという構造を生み出すというものです。

(イ)このDMOという組織による「観光マチづくり」からの地域産業の活性化についてご所見をお聞かせ下さい。

<答弁>
 日本版DMOは、地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに、地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役を担う法人とされています。
現在、真庭市と吉備中央町と共同して取り組んでいる「岡山型ヘルスツーリズム拠点化事業」は、先月設立した岡山型ヘルスツーリズム連携協議会を推進主体とし、農業・農村体験や郷土芸能・日本文化・軽スポーツ等の地域資源をいかした体験メニューを観光資源化しようとするものです。
これにより、芸能・文化等の継承による地域コミュニティの活性化や農業振興における新たな取組を促すとともに、ハラル対応による地域産業の活性化にもつなげるなど、DMOの理念にも通じる総合的な観光地域づくりに資するものであると考えております。

<要望>
広島に拠点をおくDMOは瀬戸内ブランディングについて岡山市を拠点都市とされているようです。今後も拠点都市としての取り組みを期待します。

従来の受け地として培われてきた体制から、多様化と個性化が進む旅行者マーケットに柔軟かつ的確に対応できる体制へ転換を図ることが求められています。

(ウ)本市においても新たなプラットフォーム型の「観光マチづくり」や「人を呼び込む」ための体制整備を検討するべきではないでしょうか?とりわけ移住定住、インバウンド、観光コンベンション、芸術スポーツによる情報共有等の連携がなされていないのはもったいないと感じます。時流を捉えた横断的なプロジェクトチームが必要ではないでしょうか?

<答弁>
 現在、岡山芸術交流実行委員会及び同幹事会、また、スポーツコンベンション誘致推進プロジェクトチーム等の庁内連携の場に経済局も参画して、誘客に向けた情報共有等を行っているところです。
また、先月、東京・新橋のアンテナショップ「とっとり・おかやま新橋館」で行った岡山市のPRイベントは、移住定住・新規就農、観光・物産、岡山芸術交流のPRなど、岡山市の魅力を、部局横断的に情報発信することを目的として開催したものです。
こうした連携体制をフルに活用しながら、今後とも岡山に人を呼び込む取組を推進していきたいと考えております。

2 東京事務所のあり方について

今まさに自治体が「地方創生」という文脈で、様々な政策を打ち出していこうとするとき、やはり主戦場は地元と「東京」であります。人、情報、そして投資も、東京から呼び込みたい。東京事務所が「活動拠点」「情報の収集・発信拠点」として地元のニーズと東京のリソースを上手にマッチングすることが出来れば、非常に心強いです。これからの「東京事務所」という機能は、どんどん存在感を増していくはずです。例えば北九州市は、東京での活動を省庁や国会議員との情報交換だけでなく、より幅広く特産品、観光、コンベンションや企業誘致を含めてPRを行っていくため、2008年に東京事務所の名前を「首都圏シティープロモーション本部」に変え、積極的な情報発信基地に切り替えています。首都圏の小中学生に対する環境修学旅行の誘致や地元Jリーグチームの首都圏で行われるアウェイゲームの応援団を結成するなどの活躍されています。

シティーセールスは、単なる宣伝ではなく、地域の未来をどれだけうまく人々の心に伝えられるかにかかっていると思います。都市間競争時代の今、都内における各自治体の出城による群雄割拠を勝ち抜く為に、本市は移住定住で注目される今だからこそ、出城の機能強化をするべきではにでしょうか?

(ア)戦略的なプロモーションによる都市ブランド確立について施策でうたわれています。どのような取り組みをされますか?東京事務所を「首都圏での活動」「情報収集・発信」の拠点化としていくことが、プロモーション戦略確立の切り口になるのではないかと思いますがいかがでしょうか?

<答弁> 
東京事務所は、首都圏での情報収集や発信の役割を担っており、中央官庁等から情報収集を行うとともに、定期的にイベントを開催、企業訪問、マスコミや旅行会社への働きかけにより、岡山市の取組やイベント情報などの情報発信を行っているところです。
首都圏における情報発信等のプロモーションは、今後さらに重要になるものと考えており、東京事務所としては、主体的あるいは各部局と連携して情報発信を行い、岡山市全体のプロモーション活動がより効果的なものとなるよう取り組んでまいりたいと考えております。

<要望>
取り組みをされているのは承知していますが、新時代に向けては物足りないのではないか?と思っています。質問で北九州市の例をあげさせて頂きましたが、新潟市においても関係省庁100人以上の訪問先確保と重点事業などの説明機会の確保や、首都圏の70社程度の企業を訪問し、6社の企業誘致というような目標を設定されて動かれています。(最近の新潟市のマチづくりは特色あり面白い)首都圏でのシティプロモーションを積極的に行うことができれば、今まで以上に交流・移住定住の人口の拡大につなげる効果が期待できると思います。都市ブランドの確立は外へ向けた取り組みですから岡山からだけではなく双方向からの仕掛けが必要だと考えます。本当に、今の東京事務所の状況で足り得ているのかどうか?東京の拠点強化という戦略は必要ないのか?東京事務所のあり方についての検証・検討をお願いしたいと思います。

3 新たな雇用と活力を生む多様な産業誘致について

徳島県神山町の地域振興の取り組みの始まりは「企業誘致」ではなく「ひと」の誘致からでした。国内外から芸術家を誘致することで「ひとの循環」を形成する。また、徳島県の施策として広域的に整備されたIT環境を背景に、企業のサテライト・オフィスを誘致する取り組みもありますが、これも人材誘致に他なりません。佐賀県では、県外で活躍するCSO、NPO、NGO等を誘致し人材の流入や雇用を生み出すとともに、ノウハウ提供等を通して地域の課題解決に資するよう「地域活性化のための県外CSO誘致事業」を実施されています。このたび、CSO誘致第1号として、平成27年8月に佐賀市に進出した特定非営利活動法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティが実施する「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」(暗闇での対話によるワークショップ)がこの秋に教育委員会と連携し開催されます。

(ア)企業誘致と同じように、これからは人、人の関係性であるソーシャルキャピタル、あるいはサテライトオフィスのような多様な企業・NPO等の誘致にも積極的に取組む、そんな時代であるとも思えますが、いかがでしょうか?

<答弁>
本市では、製造工場をはじめコールセンター等の都市型サービス産業、企業の総務経理や研究開発部門等本社機能や中四国支店等の広域営業拠点について誘致に取り組んでおり、例えば、製造工場については敷地面積5000㎡以上、固定資産投資額2億円以上、新規常用雇用者10人以上など一定規模以上の要件を満たす企業を誘致対象としています。
議員ご提案のサテライトオフィス等については、民間の企業活動に委ねているところです。

<答弁>
優れたNPOのノウハウの移転や活用は、地域課題解決をすすめるために有効であると考えます。岡山市の課題解決をより効果的に進めるため、協働のパートナーを広げていく観点で研究してまいりたいと考えています。

4 魅力と賑わいのある中心市街地の創出について

カルチャーゾーンにふさわしい新しい市民恊働拠点整備を
恐らく、ここ20年ほどの間、この「中心市街地の活性化」というお題目がありつづけていますが、あらためて、今一度、原点に立ち返って考えないといけないのは、いかにハコモノを投下し、ハード整備をしたところで、人のこころを動かすことは出来ない、ということです。賑わいの本質は「そこに棲みなすもののこころなりけり」であります。マチナカには昼夜問わずの多様な人の営みが存在しますが、ハードとしてのその受け皿たる「場」の存在がありません。これまでの活性化の柱であった商店街支援だけでなく、地域の教育、生活文化力を繋ぐ包摂感ある「恊働の場」がそもそも必要なのではないかと思います。

(ア)中心部、中央中学校区における、必要な機能はなんだと感じていますか?公民館等の恊働の拠点整備の必要性の検討についてご所見を頂きたいと思います。また、現在市役所内にあるESD市民恊働推進センターを恊働の拠点として今後中心部に整備する必要があると思いますがご所見を。

<答弁>
地域の学習活動や市民活動の拠点である「地区公民館」は、それぞれの地域課題の解決向けた活動拠点としての役割も担っており、公民館活動は市民協働のひとつの形であると認識しているところです。地区公民館である「旭公民館」につきましては、平成28年6月議会において森山議員の個人質問にお答えしたとおりですが、公共施設マネジメントの観点や住民の方々の利用のしやすさといった観点から、引き続き幅広く検討してまいりたいと考えております。

<要望>
中央中学校区は13年前小学校の統廃合がありました。廃校小学校はそれぞれスポーツクラブや病院となり、残りは旧内山下小学校のみになりました。そしてこのたび教育財産でもっていた後楽館跡地も民間利用が決まりました。学校教育の役割が終わったとはいえ、「教育」の役割までこれ以上終わらせてしまっても良いのでしょうか?中心部なのに、いや、だからこそ(マンション乱立による)地域の繋がりの希薄がそこにはあります。限界集落は山間部だけではありません。地域教育、生涯教育施設としての教育の歴史を受け継ぐことに対して、教育委員会はその矜持をお願いしたい。

中央中学校区の公民館について、これは、設置場所はかなり限られているんですね。旧後楽館跡地は民間売却が決まりました。内山下小学校は方針が決まっていない。教育長は先程、スピード感をもって取組むと仰った。是非とも早急な取り組みをお願いしたい。

ESD・市民協働推進センターは、多様な主体をつなぎ、協働を推進するコーディネート機関であり、現在は、市役所内部に設置することで、行政と市民との協働を生み出す機能を発揮しているところです。中心市街地の活性化にも、市民協働が有効な手法のひとつであると考えますが、協働の拠点整備につきましては、協働推進施策を進める中で、市民の皆様のご意見もいただきながら、どのような機能が必要なのか研究してまいりたいと考えています

5 新しい文化芸術の推進体制について

ポイントは、34年開館予定の新しい文化芸術施設の機能、マチとの有機性にあると思います。持続可能な経済交流都市をつくるためにも文化芸術政策の充実は必須です。この5年で立地地域である表町商店街南エリアは勿論、岡山圏域の文化芸術のプラットフォームにするために、今、考え、取組んでいかなければならないのは、本市における文化芸術政策推進体制の構築だと考えます。

(ア)本市は今後一貫した理念を持つ文化政策を進めるにあたり、どのような視点に配慮した体制づくりをお考えでしょうか。

<市長答弁>
本市の第六次総合計画長期構想では、「歴史と文化が薫り、誇りと一体感の持てるまちづくり」を基本方向の一つとし、子どものころから文化に親しみ、新しい文化を創造し、それを国内外に発信することなどを挙げており、本市の文化政策もその方針に基づいて推進していくことになります。
昨日の公明党を代表されての田尻議員への答弁の中でも申し上げましたが、文化芸術施設の視察を通じ、文化芸術施策の推進には、「人」が重要であると感じており、今後の新しい文化芸術施設における事業展開も視野に入れ、文化事業の企画運営や地域と連携した取り組みができる人材を配置するなど、本市の文化振興を推進していくための体制を検討していく必要があると考えております。

文化庁は今年度、地方自治体を対象にアーツカウンシル設置など文化施策推進のための補助制度を新設し、公募で新潟市や横浜市など5自治体を選ばれました。これを活用して、新潟市では今秋をめどに「アーツカウンシル新潟」を市の芸術文化振興財団内に設置し、専門の職員を配置し充実した内容での文化プログラム実施を目指されます。

(イ)本市にも専門家をいれ、団体への補助だけでなく、研究分析し政策事業提言もする。本市においてもこのようなアーツカウンシルという仕組みの導入を試みる必要があると思いますがいかがでしょうか?本市における現状の課題、分析、解決に向けたお考えも加えながらお聞かせ下さい。

<答弁>
本市の文化振興事業を推進し、また、新しい文化芸術施設の開館に向けた準備を進めていく中で、国際的な視野での事業展開、多様化・高度化する文化事業に対応できる専門性、事業の継続性をどのように確保していくかが課題であると認識しております。
現在、文化庁が推進しているアーツカウンシルは、文化に関する専門機関であり、専門的な人材を配置し、文化活動の支援、事業の審査や評価を軸に、助成金の支給や人材育成、調査研究、政策提言などの役割を担うものとして、文化関係の財団法人の中に設置される傾向にあります。
現在、本市では、公益財団法人岡山シンフォニーホールと公益財団法人岡山市スポーツ・文化振興財団において、文化施設の管理や文化事業の実施、市民の文化活動支援や人材育成の事業などを行っておりますが、幅広い分野への対応や文化に関する専門的な見地からの研究調査などは、現時点では行えていない状況にあります。
こうした状況を解決していくためにも、議員ご提案のアーツカウンシルの仕組みをどのように活用していけるのか、今後、研究してまいりたいと考えております。

<要望>
文化振興財団の役割とは何か? なぜ、アーツカウンシルなのか?これを確認したいと思います。これからの劇場は国際化も求められている等、文化行政に関わる専門人材の不足、業務の高度化による職員の負担増、ノウハウ・ネットワークの散逸(人事異動)この課題が庁内にあり、現状の文化振興財団も指定管理業務が主であるために限界がある。よって文化振興機能も限定的にならざる得ない。本市として一貫した理念をもって文化施策を進めるために「文化振興財団の専門分野の多様化」の必要性についてしっかり研究願いたい。

6 中心部1kmスクエア南東角のエリアデザインについて

カルチャーゾーンと表町商店街の回遊性向上はかねてからの懸案事項です。未だ、具体のビジョンがないのが現状です。新しい文化芸術施設をとらえ、今こそ、施設周辺エリアの徹底したデザイン、マネージメントが必要であります。この5年で人の回遊性をつくり、準備万端でホールを迎え入れなければいけません。前時代型の商店街活性化策では何も変わりません。事実、表町の現状がそれを物語っています。そんななか、全国各地の商店街ではアーケードの撤去が相次いでいます。 アーケード付きの商店街は戦後から昭和の時代、日本のあちこちに登場しました。雨でも濡れることなく買い物ができ、当時は「近代的」「おしゃれ」 の象徴でもあったようです。それが一転、今ではアーケード付きの一部商店街は「シャッターを閉めたままの店が多い」「昼間でも薄暗い」といった不評が付きまとうことも。

アーケード商店街は、これからどうなるのでしょうか。近年、近隣自治体では福山、倉敷、津山、玉野、新見、備前などの各市でアーケードが消え、今後の予定をみても、松山市、北九州市など多くの都市で商店街のアーケードで取り壊され、明るく、オープンな「青空商店街」に姿を変えていくようです。アーケードを撤去する商店街は、同時に歩道や舗装、商店の外観統一などの事業も同時に行われています。「暗い」「さびれた」から「明るく」「にぎやか」への転換を図ろうというわけです。

(ア)社会インフラ老朽化時代にあって、アーケードを維持出来なくなる商店街が増えていくのは間違いありません。さらに、このアーケード維持負担が新規出店の疎外要因になっていることもまた事実なのです。見解をお聞かせ下さい。

<答弁>
 商店街の組合員数が減少し組合費や維持管理費などが減少すれば、将来的にアーケードの維持管理が困難となってくる商店街組合が増えてくることも考えられます。
 アーケードの維持管理費の負担だけが直接の阻害要因というわけではないと思いますが、商店街への出店を検討する際に、テナント料のほかアーケードの維持管理費など固定費を総合的に検討した結果、出店を見合わせる事業者もいるということはお聞きしています。
 しかしながら、快適な商業空間の創出にアーケードが寄与し、メリットがあると考えている商業者もいると認識しております。

(イ)街路整備事業と連携してアーケードを撤去(改修)し、空間や舗装のデザインで、観光客の多いカルチャーゾーンとの繋がりを再構築する。5年後を目途に1kmスクエア南東角のエリアデザインを描くべきではないでしょうか?

新しい文化芸術ホール開館に関連したエリアイノベーションが求められるのは京橋エリアであり、特に東西中島の新しい活用であることは間違いありません。それはなぜか?このエリアはホールより歩いて5分、路面電車駅からは2分という近接に加え、なにより岡山の庶民の営みによる歴史文化の記憶が詰まった場所であるからです。レトロと貫禄を見せる京橋。これは大正6年に竣工しているので足掛け100年、架け替えも行われず昔のまま。その元に流れる旭川。水面に映える輝きは営営たる証し。そして特筆すべきは東西中島という「島」の存在。趣き深く、あの頃の面影を放つ、貴重な資源であることは言うまでもありません。京橋南側には岡山県里程元標が立っています。これがあるという事は「ここが岡山の中心でした」という意味と同等で、東京で言えば日本橋みたいなもの。橋の北側にはここに岡山市役所があったという石標が。鉄道網が発達していなかった昔は海運の都合が良い川沿いにマチが開けていたという名残りです。京橋の上を走る岡電の専用軌道、橋を渡る路面電車、在りし日に、ここが「行こか戻ろか思案橋」だったことに想いを馳せます。そして、この界隈で有名な毎月第一日曜日に行われる京橋朝市は今もなお、多くの人で賑わいを魅せます。岡山城・後楽園から瀬戸内海へいく中継ポイントとして、アートと自然環境を生かした国内外の人を惹き付ける観光・交流の推進にこれほどまでのポテンシャルをもったエリアがあるでしょうか。

(ウ)戦後においても京橋の下手から、小豆島などの島や内海沿岸を結ぶ小さな船が発着していたといいます。京橋エリアを核に、岡山城や後楽園と瀬戸内へ向かう船の活用についてどのような課題があるのでしょうか?

<答弁>
 京橋付近から船を就航させる場合の考えられる課題としては、係留施設等の整備の必要性、船の喫水と水深の関係、また、精査の必要はありますが、障害物の位置や規模を含めた航路の安全性の確保、漁協との調整などが考えられます。
 また、上流の岡山城方面に向けては、新堰もあることから船の大きさ等も考慮する必要があります。

(エ)国際的に開かれた多文化共生ゾーンを念頭に、例えば、東西中島を若者やアーティスト、外国人が集う広場へ、というビジョンを切り口としてこの京橋エリア全体の歴史文化の魅力の掘り起こしに繋がるような施策の展開をお願いしたいと思いますがいかがでしょうか?

<答弁>
(イ)(エ)一括してお答えします。
この1kmスクエアの南東部エリアについては,新しい文化施設が入居する市街地再開発事業の動きも見られており,民間によるまちづくりが進んでいる状況にあるとともに,京橋エリアは京橋水管橋(きょうばしすいかんきょう)など地域の歴史資源に恵まれたエリアであると考えております。これらの歴史・文化資源を有効に生かすことができるよう,商店街振興・市街地整備等の関係部局と連携し,新しい文化施設を核としたまちづくりを進めて行きたいと考えております。

<要望>
本市は劇場を1kmスクエア南東角に誘致したからには、当該エリアの活性化について、これは義務ではなく使命だと考えます。カルチャーゾーンから劇場までの導線の改善をするためのハード整備や、かつての賑わいのあったエリアの時代にあった新しい賑わい創出へのアイディア出しを考えていかなければいけません。このエリアで突出した魅力ある歴史文化を持つのが東西中島を含む京橋エリアであることは間違いありません。島の空き家や島内25%にのぼる市有地の活用、その元を流れる旭川での船等の活用。観光インバウンドとして瀬戸内海へ通じるプラットフォームとしても期待が出来るのではないでしょうか。政策的な位置づけについて宜しくお願いしたいと思います。

7 岡山城のリノベーションについて

歴史・文化といえばやはり本市としての本丸は岡山城なのだと思います。全国のお城の管理者に聞いたというサイト「攻城団ブログ」によると、2015年の全国のお城有料部門のランキングの1位は、”平成の大修理”を終え、2016年3月27日にグランドオープンを迎えた兵庫県の姫路城。来城者数は日本の城として過去最高の286万7,051人を記録したといいます。2位はインバウンド観光でにぎわう大阪府の大坂城で、来城者数は233万7,813人。3位は沖縄県の首里城、4位は熊本県の熊本城でした。そして我らが岡山城については約29万2260人でランク外。お隣の後楽園がインバウンド効果により81万7000人といわれておりますが、この開きその差50万人はなぜ岡山城へはいかないのでしょうか?

(ア)まず、岡山城の運営や経営について、なぜ、城の中で備前焼なのか?なぜ、飲食店やお土産屋が有料スペースである城のなかにあるのか? 歴史遺産のパネルのレイアウト等の空間演出についても随分時間が経ち時代遅れは否めません。そもそも本丸にコンセプトがないことに問題があるのではないでしょうか?

(イ)城域の維持管理についてですが、これもこれまで指摘させて頂いておりますが、やはり、南口からのアプローチの状況はよろしくないと思います。中区維持管理センターの配置、長年にわたる発掘調査の工事現場(3年後の活用は?)。お城は本市における最大の観光地であるという観点から、隅々にわたる配慮が必要だと思いますが、当局の所見願います。

<答弁>
中区維持管理センターは、平成23年4月にこれまでの道路維持事務所等類似事業所を統合・再編したもので、それまで現在の場所にあった公園管理事務所の施設を使用しておりますが、 多くの観光客が訪れる烏城公園内にあるということは景観の面からも好ましくないと考えております。
 現時点では移転の計画はございませんが、今後どのような対応ができるか検討しているところです。烏城テニスコート跡地については、教育委員会が平成30年度末を目途に史跡地としての保存整備事業を実施しています。発掘調査の成果をもとに、江戸時代にこの場所にあった鉄砲蔵など建物跡の表示、傷んだ石垣の修理、解説板の設置などを順次行っており、完成後は市民に公開することにより岡山城の歴史を学ぶ場所として広く活用していただきたいと考えております。

岡山城城域においては市民会館の移転先も決まり、これからは歴史公園としての整備に向かわれることと思います。さらに、今動きがある廃校小学校の活用、石山公園のハードソフトの再整備、ミズベリング等の事業も進行しています。しかし、本丸である岡山城はじめ、そもそもの岡山城と城域の縦割りのコンセンサスがうまくとれていないのが実情です。「個々がそれぞれにやっています」という状況で、本市で一番の観光地としては物足りないのではないでしょうか。

(ウ)この気運を捉えて、岡山城・城域を観光のシンボルとするための組織のリノベーションが必要だと思います。所見願います。

(ア)(ウ)<答弁>

一括して答弁いたします。
岡山城天守閣の再建50年を契機に、岡山城の魅力向上と誘客促進を図ることを目的として、現在、天守閣での歴史展示、体験メニュー、コンベンション利用、空間演出のあり方や櫓門の活用方法、烏城公園本丸一帯内のバリアフリーやイベント活用の方向性など、他の城郭との比較検討も含め、ハード・ソフト両面から調査を行っているところです。
この調査結果等を分析した上で、議員ご指摘のコンセプトについて検討するとともに、組織のリノベーションの必要性、即ち岡山城全体の管理運営のあり方についても関係部局と協議してまいりたいと考えております。

<要望>
岡山城・城域についてもこれまで再三質問しておりますが、市民会館の移転先も決まりましたのであらためて聞かせて頂きました。とにかく、本丸入場者数が後楽園とくらべて少ないというのが気になります。毎年約50万人を逃しています。本丸をどのようなコンセプトにしていくのか?そもそも、有料にする必要があるのかないのか?色々検討するべきだと思いますが、いずれにしても、今後、歴史公園の整備、旧内山下小学校の跡地利用は政策局、石山公園のハード・ソフトの再整備は都市整備局、本丸は経済局、文化財は教育委員会という縦割りのなかで、いずれにしても明確なビジョン、責任をもった「城の経営」していくには、現状の縦割りのままでは難しいのではないかと考えます。

8 自転車道路整備について

晴れの国そして平坦な平野を有する岡山はまさに自転車を活用すべき都市であります。通勤、通学時の主たる交通手段が自転車である割合が20.8%と政令指定都市で3番目に高い状況でありますが、市民アンケートでは自転車利用環境の満足度は高くないのが現状です。一例では歩道に自転車レーンがあったり車道を走らなければいけなかったり整備、理解についてまだまだ不十分だと思います。

(ア)今後の自転車道のハード・ソフトの両整備についての展望をお聞かせください。

<答弁>
自転車走行空間の整備については、平成24年8月に策定した「自転車先進都市おかやま実行戦略」に基づき、短期施策として自転車利用の多い都心部での面的整備を進めているところです。
 整備内容については、車道側での走行空間確保を優先的に検討し、幅員構成や交通量、歩道の有無など、道路状況等を勘案し、警察とも協議を行い、最適な手法で整備を進めているところです。
 一方、本年7月に、国土交通省と警察庁が連携して作成した「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」が改定され、「自転車は車道通行を基本とした整備を積極的に活用すること」や「路面表示の仕様の標準化」が示されたところであり、今後は、このガイドラインを基本に、警察とも協議を行いながら、自転車走行空間の整備を進めて行く事になると考えています。
また、自転車走行に関するルール・マナーについても、例えば、小学校においては自転車運転免許証の交付、中・高等学校へはルール・マナー啓発パンフレットの配布や、交通安全運動週間には、先生方のご協力もいただき、街頭啓発などを実施しているところです。
 これからも、自転車運転中の携帯電話による通話や画像注視の危険性も含め、関係機関と連携して、自転車ルール・マナーの浸透を図っていきたいと考えています。

9 外環状線工事の促進

市内には通勤時間帯をはじめとして慢性的な渋滞が多くみられるのが現状です。その対策が強く求められています。

(ア)慢性的な渋滞個所の主なところと、その改善対策(計画)の概要ならびに計画完了年等についてお示し下さい。

<答弁>
岡山市内には42箇所の主要渋滞箇所があり、その内、外環状線の内側においては、古京交差点や桜橋東詰交差点など34箇所の主要渋滞箇所があります。
このことから、現在、中・外環状線の整備、県道岡山児島線や岡山牛窓線などの主要幹線道路については、バイパスの整備、さらには現道のボトルネック交差点における右折レーン等の設置など、渋滞解消のための対策に取り組んでいるところです。
 これらの事業は多くの費用と時間を要することから、完成時期をお示しすることは困難ですが、早期に効果が発現するよう鋭意事業推進に努めてまいりたいと考えております。

岡山には大きな川が吉井川、旭川、高梁川等があります。特に外環状線として道路については計画されていますが、橋については桜橋と旭川大橋間には橋がありません。そのため東山に行くルートは渋滞が激しい状況です。新しい橋の建設、また岡南大橋についても設計当時より交通量が増加しているため慢性的渋滞となっています。このほかにも橋がネックとなり渋滞している地域があります。

(イ)渋滞解消のための取り組みとしては橋梁の新設や拡幅が有効と考えます。橋梁整備の計画についてご所見をお聞かせください。

<答弁>
議員ご指摘のとおり、旭川や笹ヶ瀬川など大きな河川における橋梁数の不足や、既存の橋梁の車線数の不足が中心部の渋滞の主な要因の一つとなっています。
 このことから、現在、中環状線の一部を構成する都市計画道路下中野平井線において、桜橋と旭川大橋の間に旭川を横断する橋梁の新設、また、外環状線の一部を構成する市道藤田浦安南町線において、笹ヶ瀬川を横断する橋梁の新設、県道岡山吉井線においては新大原橋の拡幅など、橋梁の整備を進めているところであり、できるかぎり早期の完成を目指し、事業推進に努めてまいりたいと考えております。

4 誰もがあこがれる充実の「子育て・教育都市」に向けて

(1)岡山市の教育の重点課題と今後の取り組みについて

菅野新教育長におかれましては、学校現場からいきなり教育長ということで、ご苦労も多々おありだと思います。同時に、岡山市の教育の充実に向け決意を新たにされていることと思います。私どもといたしましても、岡山市の教育の充実に向け、支えるべきはしっかり支えるとともに、建設的な提言を積極的にしていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 
さて、岡山市の教育については大きな転換点を迎えていると思います。教育大綱の策定、来年4月の県費教職員の給与の税源移譲の問題、「学校問題」と言われる諸問題が提起する課題解決の取り組み、教職員の多忙化の解消、岡山型一貫教育や地域協働学校の取り組みの構築と充実、校舎の耐震化やエアコン設置などの施設整備。図書館や公民館、オリエント美術館の整備や充実、また、文化財保護と活用の課題。教育委員会として取り組むべき課題は大小さまざまあり、いずれも子どもたちのみならず岡山市の将来に向けて重要な課題ばかりです。それぞれの諸課題については、これから教育委員会内部での検討、また、総合教育会議の議論を通して鋭意取り組みが進められるものと思いますし、具体的な議論は今後しっかりさせていただきたいと思います。

ア 先ほど述べましたように、教育をめぐっては様々な課題がありますが、その中で、教育長が特に力を入れて取り組みたいこと、また、早急に取り組みたいと思っておられることはどのようなことでしょうか。現時点でのお考えをお聞かせください。

<答弁>
学校教育においては,子どもたち一人一人の学力の定着を着実に図ることであり,岡山市学力アセスの実施が特に重要と捉えております。教育委員会と学校が一体となり,学力向上に向けた教員一人一人の主体的な取組を推進してまいりたいと考えております。
また,グローバル化が進む中,将来世界で活躍する人材を育成するには,異文化を理解することや人権感覚を高めること,郷土を愛する心を育てることと,英語を使ったコミュニケーション能力の育成が不可欠であると考えます。
あわせて,税源移譲に伴い,様々な権限が県から市に移行しますが,その権限を適切に活用し,岡山市の実態に応じた教職員の配置に努めてまいります。
社会教育においては,学力向上や問題行動の未然防止に向け,大学生等にグループで力を発揮していただく学校支援ボランティアのモデル事業を間もなく開始しますが,教育委員会を挙げてこの取組を推進してまいりたいと考えています。
また,地区公民館の機能の充実や計画的な施設改修などにより,社会教育環境の充実にも努めてまいりたいと考えております。

イ また、学校現場の感覚がしっかりおありだろうと思いますが、学校現場から見ての教育委員会の取り組みを見直していただける、つまり、学校現場のモチベーションが高まり、学校現場が活性化するための取り組みの進展を期待するところでありますが、この点についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。

<答弁>
学校現場では,効果的な学校経営を進めるために,校長から一人一人の教職員に丁寧に校長の経営方針を語りかけた上で,教職員一人一人が知恵を出し合ったり,意見を交換する場を設けて,課題や目的意識の共有化を図っています。
規模は大きくなりますが,教育委員会の施策や事業をより効果的に推進していくためにも同様の取組が必要と考えており,教育委員会の意図が教職員一人一人に伝わっていくよう工夫していくとともに,教職員が主体的に関われる場をできるだけ多く設けるなどの取組を進めてまいりたいと考えております。

ウ 岡山市の教育行政の長として、どのような点に留意し(大切にし)教育行政のかじ取りをしていこうとお考えか、お示しいただきたいと思います。

<答弁>
 教育行政のかじ取りについては,自民党を代表しての二嶋議員にお答えしたとおりですが,教育長として,リーダーシップを発揮しながら,スピード感を持って教育行政を推進してまいりたいと考えています。

<要望>
中区の図書館、中央公民館のこれから、公民館の整備計画、教育センター、オリエント美術館の展望、文化財の活用などなど、今日までは決めないといけないところでいつも乗り遅れてしまっているのがこれまでの状況ではなかったかと思います。これからは学内だけでなく、学外における教育行政において迅速ある取り組みをお願いしたいと思います。

エ 学校で「早寝早起き・朝ごはん」ということがよく言われます。これは教育ではなく教育の前提となる生活支援ですが、それを避けて通れない現実があります。また、「子どもの貧困」への対応も重要かつ喫緊の課題となっています。学校や教職員が、子どもたちの生活支援や「子どもの貧困」問題についてどうかかわるのか、課題意識を含めご所見をお伺いしたいと思います。

<答弁>
 子どもの貧困の問題は,単に経済的な問題というだけではなく,児童虐待や家庭内の不和,学力の未定着や長期欠席等の問題と複雑に結びついています。
このような状況をふまえ,学校では,就学援助による経済的な支援はもちろん,教職員による毎日の子どもや保護者との関わりの中で,子どもの変化やサインを早期かつ的確に捉え,必要に応じて,子ども相談主事の活用などを通して,福祉機関とともに,早期支援に取り組むことが重要であると考えております。

(2)学校教育におけるマネジメントについて

ア 岡山市第6次総合計画策定にあわせ、教育大綱の策定がされるわけですが、当然岡山市教育振興基本計画も改定されるものと思います。まず、この改定のタイムスケジュールとポイントについてお示しいただきたいと思います。

<答弁>
 現在策定を進めている岡山市教育振興基本計画については、岡山市の教育理念や現状と課題、目指す教育の姿などを示した骨子案がまとまり、8月の市民文教委員会にお示ししたところです。今後、11月をめどに、施策の方向性や内容等を加えた素案を作成し、その後、議会や市民の皆様などからの意見をいただきながら、今年度内の策定を目指しております。
また、改定のポイントとしては、市民協働による自立する子どもの育成がより一層推進されるよう、岡山市の目指す教育の姿を明確にするとともに、次期学習指導要領改定に向けた中央教育審議会の議論も踏まえながら、検討を進めていきます。

イ この度、岡山市教育委員会の事務に関する点検・評価報告書が提出されました。これを見ると丁寧な分析・評価が行われていると思いますが、岡山市の教育の目標に対して政策・施策・事業体系が妥当なものか、それぞれの事業や施策が全体最適となっているかどうか、ということがいまひとつわかりにくいと思えてなりません。この点についてはどのように認識されておられますか。また、どのように改善されますか?

<答弁>
この点検・評価は,それぞれの事業の評価を踏まえつつ,岡山市の教育目標である「自立する子どもの育成」に向け,政策・施策ごとに行っています。
今後,さらに政策・施策体系に基づく評価方法の充実を図り,市民の皆様によりわかりやすいものとなるよう改善してまいりたいと考えています。

ウ 学校現場の「多忙化の解消」が大きな課題となっています。学校現場では様々な活動が行われていますが、スクラップ・アンド・ビルドではなく、ビルド・アンド・ビルドとなっているのではないでしょうか。一度学校で行われている様々な取り組みの「棚卸」をしてみる必要があるのではないでしょうか。そのことではじめて「多忙化の解消」の道筋が見え、ひいては学校の活性化につながるのではないでしょうか。この点についての認識をお答えください。

エ 学校現場が岡山市の示す教育の実現に力強く迫るためには、教育委員会がしっかり学校現場に対しマネジメントすべきだと考えます。ご所見をお聞かせください。

<ウ、エ答弁>
 学校は,次年度の計画を立てる際,児童生徒の実態や学校の状況に応じて,学習内容や授業時間,行事等の見直しを図っております。しかしながら,様々な教育課題がある中で,教育委員会は負担軽減を行っており,具体的には公明党の代表質問で田尻議員にお答えしたとおりです。
学校の運営は校長を中心に,学校が主体的に取組むものであり,教育委員会は,全力で支援してまいりたいと考えています。

(要望)
学校での取り組みの「棚卸し」の提案を致しました。これについてお答えがありませんでしたが、先程の教育長の学校教育を巡るご答弁でも様々な取り組みの必要性が示されたところです。それを行うのは学校なんです。だからこそ、これまでの学校での取り組みを「棚卸し」が必要で、なんのためにそれをしているのか?、目標に対しての効果的な展開への検証する必要があるのではないのか?これがマネージメントなのだと。今後の取り組みに期待します。

(3)学生の力をいかしたマチづくりについて 

ついに本市においても大学への期日前投票所の設置がこの秋の県知事選挙から実現の見込みとなりました。

ア 投票所の設置をきっかけに、若者の投票率向上が狙いだと思いますが、これを機に学生が政治に対して主体的に関われるような仕掛けも必要だと思います、何かお考えはありますでしょうか?

<答 弁>
若者の政治や選挙への関心を高めるため、岡山大学でのワークショップの開催等に取り組んで参りました。こうした取組のひとつとして、10月の岡山県知事及び県議会議員補欠選挙に向けて、大学構内に期日前投票所を設置して大学生を中心に運営したいと考え、岡山大学と協議をしているところです。また、先般の参議院議員通常選挙から学生アルバイトを増員し、本人の主体的参加と周囲への波及効果を期待しているところです。
今後も、大学生による投票の呼びかけや学生の投票事務への参画等、若者への選挙啓発を進める中で、選挙を通じてより一層政治に関心をもってもらうためには、どのような取組ができるのか、大学やNPO等と連携しながら研究して参りたいと考えております。

主権者教育とは、地域にある活動を知り、それに関わる大人の存在を空間的近さで知ることなのだと思います。学生たち自身が地域に役立っているという実感が得られる環境が必要です。昨今の学生によるボランティア参加は多い。それは実感が得られるからです。地域に語り合え交流できる場をつくる、これが必要です。

イ 選挙前だけでなく、日頃から小学生から大学生までがマチづくりにかかわれるような、彼らの声をマチづくりに積極的に取り入れていくという姿勢が必要であると思います。場づくりを始まりとしたこれからの政策、施策展開をどのようにお考えでしょうか?

<答弁>
将来、主権者となる子どもたちが、地域の課題などに日頃から関心をもつことは大切だと考えます。そのためには、子どもたちが実際に地域に出かけ、地域の大人とふれあうことが必要であり、総合的な学習の時間等における地域をテーマにした学習やESDの取組、キャリア教育の一環としての職場体験等の充実を図っているところです。「協働のまちづくり条例」では、協働推進施策として「教育機関、行政機関等と連携し、地域の社会課題解決に関する取組を担う人材の育成に取り組むこと」が規定されています。

現在、協働推進計画に盛り込むその具体的な施策について、協働推進委員会で議論をいただいており、大学生が地域に関わることのできるしかけが必要であるとか、小学生、中学生の時から地域に学び、地域活動に関わることが大切であるなどのご意見をいただいているところです。
今後、関係機関と協議を行いながら、地域活動への参加の促進と人材育成を進める施策について検討してまいりたいと考えます。

ウ およそ地元の学生の6割は進学で県外へ、県外から大学進学で来た学生の6割は卒業後再び県外へ流出しています。この事実を受け、本市は大学の存在をどう捉え、これからの大学との連携をどのように考えていますか?

<答弁>
大学は、一般教養をはじめ、専門知識を学び、次代を担う人材を育成する教育機関であり、地元大学の学生が、市内の企業に就職し、活躍していただくことは地方創生を推進する上で、非常に重要なことと認識しています。
このため、本市では、市内大学のキャリアセンターと連携し、学生の就職ニーズを把握するとともに、市内中小企業の企業情報を開拓し学生に提供するほか、市内中小企業等の合同企業説明会を開催し、市内企業と大学生との雇用マッチングを進めています。
また、学生の地元定着を図るために、県内の9大学、自治体、企業、経済団体等が連携して取り組む「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業」(通称COC+)に、岡山市も参加しています。これは、各大学が、学生の岡山への愛着を醸成し、未来を拓く人材育成のためのカリキュラムを実施するとともに、学生の地元企業への就職機会を拡大するための雇用マッチングシステム等を開発するという事業で、行政や企業等は、これに協力することとしています。
 今後とも、大学との連携を図りながら、大学生の市内企業への就職を促進してまいりたいと考えております。

5 全国に誇る、傑出した安心を築く「健康福祉・環境都市」

1 地域包括ケアの構築

厚生労働省は団塊の世代が75歳以上となる2025年へ向けて、高齢者が”住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができる”地域包括ケアシステム”という介護の将来像を掲げています。これは医療や介護サービスの施設配備や補助金による支援というフォーマルなケアだけでなく、地域の見守りネットワークや近隣住民との交流などのインフォーマルな支援も含んでいます。その両方が達成されて初めて冒頭の目標が達成できる地域資源の確立、ということになります。後者のインフォーマルな地域での支援とは、いったい私たちは何をすればいいのでしょうか。今の日本では、地域の人に迷惑をかけるのは憚られる時代になってきているという流れもあります。世にはびこるリスクマネージメントの作用もあり、お互いに無関心・無関係でいることが正解のようにも感じられます。暮らしの困ったところのみをを支える施設や事業所のケアをいかに地域特性にあわせた「自治」のなかに組み込んでいけるのかがこれからの課題になると考えます。今期(第6期)岡山市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画については、岡山市保健福祉政策審議会による全6回の会議で策定されています。パブリックコメントもされたとは思いますが、まだまだオープンな市民参加型の議論の場にはなっていないと思います。こうした審議会は、どうしても団体の長が参加することが多いですが、この場をオープンにして、福祉現場の若手の職員やマチづくりに関わるNPOなど多様な層から意見を聞く場を設けることで、もっと柔軟かつ実践的な意見が出るのではないでしょうか。

(ア)H27の介護保険改正では「マチづくり」の重要性が提起されており、これからの地域包括ケアの推進には自治とケアの連携が重要であり、医療・福祉分野の関係者だけで、検討するのではなく、自治の仕組みを踏まえて、検討することが重要であり、自治体内においてこうした手法を参考に進めることが重要ではないでしょうか。次期(第7期)岡山市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の進め方について、お考えをお示し下さい。

<答弁>
地域包括ケアシステムは、自助、互助、共助、公助がつながることによって機能を発揮しますが、介護保険サービスなどの公的な支援に加え、ボランティアなどによる支援、地域住民の取組みなどのインフォーマルサービスについても重要であると考えております。
第6期計画策定の際には、NPO法人や被保険者、認知症の人と家族の会などからのご意見を伺っているところであり、第7期計画策定に当たりましても、こういった現場の関係者からのご意見を伺うことを検討してまいりたいと考えております。

<要望>
国は2017年度から認知症見守りの広域強化として、認知症高齢者の連絡先の登録や行方不明のひとを探す訓練やボランティアによる自宅訪問などの事業に補助をだすようです。本市においても縦割を排除し、リスクマネージメントを恐れず、柔軟に対応できる体制づくりをお願いしたいです。

介護保険制度においては、介護予防、日常生活支援総合事業が創設されました。本市においても平成29年4月からの事業開始に向け、制度設計が行われています。本事業の開始にあたって、予防給付のうちの訪問介護と通所介護が総合事業に移行し、岡山市の事業として実施されます。今後は要介護認定に加え25項目からなる基本チェックリストを用いた申請も行われることとなります。しかしながら本人の主観的判断となる要素が多く、サービスの選択においては客観的な基準やその判断を経る仕組み等をつくる必要がある等の課題も浮かび上がっています。

(イ)本市における制度運用についてはこの点どのようなご所見をお持ちかお示しください。

<答弁>
総合事業移行後のサービス利用は、その方の状態像やサービス利用の希望などの相談内容に応じて、基本チェックリストで対応する場合もあれば、要介護認定申請をおすすめする場合もあります。要介護認定の場合は、現行と同様に認定調査と医師の意見書等を基に、介護認定審査会を経て、要介護認定を受けた上で、ケアマネジメントを行いサービスにつなげます。
 また、ご本人の状態像や希望するサービスの内容によっては基本チェックリストを用いたうえで、ケアマネジメントを行いサービス利用につなげる場合もあります。
どちらの場合も、サービスの提供に際しては、ケアマネジャーがアセスメントを行ったうえで、利用者本人の状態像に合わせたサービスを提示する、これまでの介護予防ケアマネジメントと同様にすることとしています。
なお、ケアマネジャーに対しては、サービスの選択肢も増えるため、ケアマネジメントの基本的な考え方や流れ等について研修会を行い、周知徹底してまいります。

本年度から子ども医療費助成の対象が拡大されました。今後しっかりその効果を検証しながら、子どもたちの健康支援を進めていただきたいと考えています。しかし一方で、地方単独による子ども医療費助成制度の創設にあたっては国による国民健康保険の国庫負担減額調整措置が行われ、その早急な廃止について多くの都市から声が上がっているところです。

(エ)今後の本市の対応についてお聞かせください。

<答弁>
岡山市の政策提言や市長会等を通じ繰り返し要望しているところですが、本年6月2日に閣議決定された「ニッポン1億総活躍プラン」で「見直しを含め検討し、年末までに結論を得る。」とされており、国の動向を注視してまいりたいと考えております。

2 障がい者の自立支援と社会参加の促進について

いわゆる健常者にくらべて、障がい者にとっての不幸は、少なくとも私たちの国の文化水準が、いわゆる健常者本位にできているために、その持ち味を創りだし、出番を得る機会が充分に保障されていないということです。現状では障がいのある人の働く場を提供する企業がまだまだ少ないのが実際です。そうしたなか、県下において障がい者雇用を推進していこうという民間企業の方々の活動が始まっています。岡山県中小企業家同友会では、障がい者問題委員会を立ち上げられて毎月勉強会や見学会を開催されています。倉敷市では倉敷障がい者就業・生活支援センターが中心となり地元企業で「チームプラス」を立ち上げ勉強会や情報交換を行っておられます。企業人ばかりでなく、支援学校や定時制高校の先生、国立のリハビリセンターや行政のスタッフも参加されており、ざっくばらんな、しかし熱の籠った議論に圧倒されました。事業所での困りごとや悩みをぶつけあい、障がい者雇用に本気で立ち向かわれています。

(ア)本市としても、障がい者の就労について、企業を巻き込んだ多種多様なチームづくりに向けての体制づくりに取組むべきではないでしょうか?

<答弁>
本市では、岡山県中小企業家同友会障害者問題委員会の方には、岡山市障害者自立支援協議会就労支援部会に参加いただくとともに、就労移行支援事業所等を含めて年2回の懇談会を開催するなど、障害者就労について話し合いを継続しております。
その他には、市主催の就職面接会への参加、障害者就労支援施設の商品開発・改良事業への参画や仕事の発注など様々なご協力をいただいております。
また最近、岡山障害者就業・生活支援センター等を中心に、岡山版チームプラス設立に向けた動きが始まっており、本市も連携・協力することとしております。
今後とも、これらの企業とのつながりを活かし、障害者就労支援事業を推進してまいりたいと考えております。
本当に困難な問題は、一般企業やA型事業所に就労ができない人たちの自立支援だと考えます。
現実としては、障害者年金に頼らざるを得ない状況のなか重度の障がいがあり企業に就労できない人の支援は、B型事業所での作業や在宅就労となるが、収入が低く自立した生活は難しい状態であります。収入を上げるには、市場で受けるプロダクトとしての品質が必要となります。当たり前のことですが、売れるものを作らないと商売にならない。近年、作業所での製品を事業化できないかと多くの人が模索しています。今、そこに企業が参画することでビジネスとして成り立つ事例が少しづつでありますが増えています。「作業所」を「工房」としていくためにはクリエイティブ、アートの視点が必要だと感じます。障がいのある人たちの未知の能力や才能を引き出すことができれば自立も夢ではないと思います。

(イ)本市において文化芸術イベントも多く開催されるようになっていますが、福祉とアートをテーマにした演目や、あるいは、クリエイティブ産業とのマッチング等、積極的な取り組みの検討をお願いしたいのですが?お考えをお聞かせ下さい。

<答弁>
本市では昨年度から、デザイナーと障害者就労施設が協働して商品を開発・改良する事業を実施しております。この中でアートと福祉と企業が連携できる仕組みや取組について研究してまいりたいと考えております。
また、本市における文化芸術イベントの中で、障害者アートを取り上げていく取組につきましては、関係部署と連携しながらどのようなことができるか研究してまいりたいと考えております。

3 災害時の水道施設・管路の強化について

阪神淡路大震災や東日本大震災において多くの市町村で断水被害が発生し、ライフラインとしての水道の重要性が再認識される中、水道局では岡山市水道事業総合計画「アクションプラン2007」において災害に強い水道づくりとして水道管路の更新に合わせて耐震化を進めています。そして、今年度は次期計画にあたる「アクアプラン2017」を策定しているところであり、平成28年熊本地震の教訓から、また南海トラフ巨大地震などの大規模災害を想定し、更なる管路の耐震化推進の重要性を鑑み、来年度以降も事業を推進することとされています。

(ア)「アクションプラン2007」での耐震化は、計画通り出来ましたか。進捗状況はどうなのでしょか。

<答弁>
アクアプラン2007では、施設の計画的耐震化と配水管網の耐震化を進めています。平成26年度時点における耐震化率は、配水池が目標値の43.4%に対し実績値57.9%、ポンプ場が目標値30.8%に対し実績値44.0%、基幹管路が目標値29.0%に対し実績値40.4%と、目標値を上回る結果となっており、順調に進捗しておりますが、他の政令市との比較においては、なお低い状況にあり、引き続き計画的に取り組んでまいります。

(イ)来年度からも実施する計画では、災害時に拠点となる施設へ至る道路の耐震化について、平成38年度までに49施設を完了することとしています。しかし、管路の更新は、年1%の更新率で実施するとありますが、計画どおりにいかに進められるお考えでしょうか?

<答弁>
管路の更新は、老朽度や重要度を考慮し管路機能評価に より優先順位を決めて実施しておりますが、現在布設する管路はすべて耐震管を布設しており、老朽管の更新と同時に耐震化することができています。さらには、災害時に拠点となる施設へ至る管路の耐震化については、管路機能評価による布設替の路線も考慮しながら、優先的に進めることとしています。