2013年 6月 定例議会個人質問

2013.06.12

report_201306

 

1 これからの劇場・ホール再生のための自治体文化戦略

昨年の6月27日から「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」が施行されています。いわゆるこの「劇場法」には全国の劇場や音楽堂(ホール)の活 性化について、国や自治体に責任があることを明記されておりますが、劇場や音楽堂にはこれまで根拠法がなく、施設が本来期待される役割を発揮していないと 指摘されてきた。図書館には図書館法というのがあり、博物館や美術館には博物館法というのがあって、司書とか学芸員という、そこに働く人々の規定もあるわ けですが、日本ではこれまで劇場に関しては何をもって劇場とするかという法律はなく、法律がないまま拠点助成という多額の資金が公共ホールに向けて出され ているというのが現状でした。

本年3月29日に出された指針において、設置者又は運営者の取り組みに関する事項にて主に「質の高い自主事業」「専門的人材の養成・確保」「経営 の安定化」また、自治体の取り組み事項にも地方公共団体は「環境の整備」、「財政上の措置」、「人材養成」等に適切に対応を行なうと明記されております。 劇場や音楽堂には芸術監督とか専属プロデューサーというものが設置基準になっていると思います。演劇や音楽などの実演芸術にかかわる事業や、実演家ら人材 の養成などを行うものとし、国や自治体が財政面などで必要な環境整備をするよう促しています。「劇場というものをきちんと規定して、制度化し、支援の体制 を整えていこう」というのが劇場法の趣旨だと思います。

これまでの文化行政や義務教育過程においての「芸術」は、あまりにも技術偏重であり創造性をたかめる芸術としての可能性をなおざりにして来たよう に思います。芸術文化は学校教育においては主要科目に含まれず、職業人に求められる基本的素養としては認識されず、余暇時間を過ごすための趣味娯楽として 捉えられる事が多かったのではないでしょうか。この劇場法を受けて、芸術のもつ本質的な公共性、使命について再認識する必要が求められています。現状に蔓 延する他の政策領域よりも優先度が低いという、不要不急のあり方を変革しなければなりません。1980年半ば以降は「ゆとりと豊かさ」の象徴として、「カ ネと暇のできた豊かな日本人の為の飾り」として扱われてきたと思います。いまこそ、現代社会において、芸術文化は単なる「お飾り」ではなく、人びとの営み において、本質的に重要な価値があることを明らかにしていかなければなりません。2001年に成立をした「文化芸術振興基本法」にもありますが、「人びと は生まれながらにして文化芸術を創造し享受する権利」があります。医療・福祉の観点からも、芸術文化のあり方は、人間の尊厳に関わる事であり、またこれか らの持続可能な社会をつくるためにも芸術文化は地域、民族のアイデンティティ、コミュニティのためになくてはならないのです。

更に、これからは国内外における都市間競争時代を迎える(もう既に入ってますが)にあたりまずもってはひとりひとりの岡山市民の「生活の質」の確 保による生産性(GDP)の向上は急務であります。また、社会を捉えるためにも日常生活において社会批判機能を持つ事も必要でしょう、ここで芸術家の鋭い 感性と表現は必要で、なくてはならないものだと考えます。都市計画においても、うつくしい町並み、快適な空間づくりにおいても同様であります。産業におい てもデザイン感覚が求められるのは民間においては当然至極であり、美的、文化的センスは「読み」「書き」「そろばん」と並び、産業発展等についても不可欠 なリテラシーとなっております。

公共劇場・ホールの外部環境の激変は、指定管理者制度、公益法人改革、そしてこの劇場法と、厳しい競争の時代であり、激烈な淘汰の時代に入ってい ると思われます。戦わざるものは撤退を余儀なくされる時代です。芸術団体もまた、競争と淘汰の時代にさらされ、生き残るためのサバイバルを生き抜くことが 求められるのが、時代の趨勢ではないでしょうか。舞台や団体への評価はひとまず置くかたちの「護送船団方式」の芸術支援には終止符を打たなければならない と考えます。「生き残る」のであって、「生きながらえる」であってはならないと思っています。公共劇場・ホールも、芸術団体も、激しい環境の変化の中にい ることをまずもって知らなければなりません。外部環境の変化に対しては、自らが変化することが必要です。

そもそも指定管理者という制度は総務省から出て来たもので、地方文化会館など文化施設を統括しているとお考えの文化庁とすれば、いろんな意味であ れこれ言いたいことがあったのだろうと推測されます。劇場法は、導入されてすでに久しい指定管理者制度の問題点を突き崩していくひとつの法律的な根拠に出 来るのでは?という考えは常々あったのではないかと、、。少なくとも文化庁は、この劇場法運用指針で「指定管理制度は財政コストカットのために導入された わけじゃないんだよ」と明らかにされております。

さあ、これから各地方自治体、議会はどう動くか、問われている訳なんですよね。

各地方自治体も体質改善を求められるところでありますが、この法については「しなければならない」という努力規定であるため(そもそも網をかける性質のものではない為)に行政サーヴィスとして文化享受権や地域間格差問題が出てくるのは必至であります。
質問に入ります。

(1)「劇場法」を受けてのこれからの自治体文化戦略、そして、劇場・ホールのいわゆる「ハ コモノ」を地域の文化拠点形成としていく為にどのようなお考えをお持ちでしょうか?特に、カルチャーゾーンにおいては県との連携はなくてはならないのだと 思います。市民会館、市民文化ホールは建て替えが控えており、これから議論するに好機だと考えますが。ご所見をお聞かせ下さい。

市長
(2) 岡山市としての指針をつくるお考えはありますでしょうか?
(3)市民会館や市民文化ホール、シンフォニーホールの運営や芸術文化事業への評価について、今後どのような仕組みにおいて対応されようとお考えでしょうか?
(4)特に、市民文化ホールについては、地域にしっかりと根を下ろし、先進性や創造性、また国際性をもった公共劇場にしていかなければならないと思います。現在、直営で運営をなさっておられますが、劇場法を受け、今後についてはいかがお考えでしょう?

<市民局長 答弁>
一括してご答弁します。
「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」いわゆる劇場法は、劇場、音楽堂等の活性化を図ることにより、我が国の実演芸術の水準の向上等を通じて実演芸術の 振興を図るため、劇場、音楽堂等の事業、関係者並びに国及び地方公共団体の役割、基本的施策等を定め、もって心豊かな国民生活及び活力ある地域社会の実現 等に寄与することを目的に制定されております。昨年作成した本市の文化芸術振興ビジョンの中で、「文化施設は、市民に鑑賞機会を提供するとともに、市民や 芸術文化団体の創作・参加・交流の場としての役割が期待される」としています。
劇場法の一定の内容については、現在の文化芸術振興ビジョンに示しているものもあり、ビジョンとの関係等も十分研究しながら、指針の必要性についても研究してまいりたい。
また、現在、岡山シンフォニーホールにおいては、岡山フィルハーモニック管弦楽団を活用した定期演奏会、第九演奏会や青少年のためのアウトリーチ公演等多 彩な自主事業を実施するなど、芸術文化の振興や人材育成に一定の役割を果たしております。また、国の指針にも示されておりますが、先日岡山大学との包括的 連携・協定を締結し、大学との連携・協力に取り組むこととしています。
岡山市民会館と市民文化ホールにつきましては、両館とも現在貸館業務が中心になっておりますが、市民会館においては、指定管理者において自主事業を行うとともに、全国公立文化施設協会のホール運営に関する研修会等に参加するなど人材育成に努めております。
なお、市民会館と市民文化ホールにつきましては、今後のハード面の検討に並行する形で、法の趣旨を踏まえた運営方針や文化芸術振興策について検討してまいりたいと考えております。
また、芸術文化事業の評価のあり方としましては、現在、各種事業の実績報告を求めているところですが、国の指針に示されている、事業の適切な評価基準を設定するなどの留意点を踏まえ、今後、評価の方法等について研究してまいりたいと考えております。

<森山>
劇場・ホールについてきちんと規定、制度化し、支援体制を整えていこう!というのがこの劇場法の趣旨だと思いますので、しっかりと取り組んで頂きたいと 思います。特に、今後は、カルチャーゾーンの文化政策においては県市連携は必要不可欠になるのではないかと考えます。大阪市では、大阪府とともに、文化施 策を推進する新たな仕組みとして、行政と一定の距離を保ち、芸術文化の専門家等による評価・審査等を行う、「大阪アーツカウンシル」の平成25年度からの 導入されております。様々な他都市の取り組みの研究をお願い致します。これは要望です。

(5)本法指針には、「学校教育現場においても実演芸術を鑑賞し、又はこれに参加することが できるよう、これらの機会の提供その他の必要な施策を講ずること」と明記があります。音楽やダンスや演劇によるワークショップを通じて、まさに学校教育に 求められる「コミュニケーション教育」向上のためにも、また、日本の実演芸術の底上げについても学校現場での受け皿は非常に重要だと考えます。ご所見をお 聞かせください

<教育長 答弁>
迫力や臨場感がある実演芸術にふれることは,児童生徒の感性や発想力を豊かにするとともに,伝え合う楽しさや喜びを味わうことによるコミュニケーション力の育成に役立つととらえております。
本市におきましても,劇団四季等の演劇鑑賞や,児童生徒が芸術家と舞台で共演した り,主体的に劇や音楽に関わったりしながら鑑賞や表現を楽しむ等の取組を行っております。

2 いまこそスクールソーシャルワーク事業の活用を

学校、教員、児童生徒に関わる課題が、かつてないほど山積、深刻化している中で、最近、教育職以外の専門職の導入が進められています。最近注目さ れているのがスクールソーシャルワーク(SSW)で、日本スクールソーシャルワーク協会では、「子どもたちが日々の生活の中で出会ういろいろな困難を子ど もの側に立って解決するためのサポートシステム」と説明しています。スクールソーシャルワークが導入され
たのは 20年度で、文科省が研究事業として開始し5年が経っております。同省はスクールソーシャルワーカー(SSWer)の仕事として、「問題を抱えた児童生徒 に対し、当該児童生徒が置かれた環境に働きかけたり、関係機関等とのネットワークを活用したりするなど、多様な支援方法を用いて、問題解決への対応を図っ ていくこと」としている。

関西の自治体の中には、独自のスクールソーシャルワーカーの採用が増え、確実な広がりをみせています。その活動は、「学校に配置」、あるいは「教 育委員会に配置し学校に派遣」することで、児童生徒の「最善の利益」という視点で、個別事例への対応、福祉知識・方法による学校組織の改善、教育行政との 協働などによって推進されている。

大阪府立大学が19年度から3年間、文部科学研究費「日本におけるスクールソーシャルワークの実証的研究―福祉の固有化の探究」の助成を受けて実 施した調査(対象は大阪府内の小・中学校教員約8千人)で、興味深い結果が出ています。それによれば、「課題を抱えた生徒」を担当した教師は約9割、保護 者との関係で苦労したのは約8割にのぼるなど、〝学校の困りごと〟が顕著になっていることから「家庭への支援が必要。そのためにも学校に福祉の力が必要」 としている。また教員へのサポートの必要性を強調、「教員が保護者対応の技術研修をするためにも福祉的視点に関する知識が必要である」とし、さらに、家庭 への支援体制構築の必要性から「支援人材、特にスクールソーシャルワーカーが有効だ」としている。その上で「学校にスクールソーシャルワーカーが入ったこ とで、家庭を理解する立場の人間が学校に入り、学校、家庭、地域社会などの仲介、調整、連携などをし、子ども、家族の代弁をするなどして、学校のコンサル テーションの大きな役割を果たす」と述べている。

いま学校教育は、教育職以外の専門職の知識、技術などを必要としています。

質問します

(1)現在、福祉部局において、こども相談主事の方々がスクールソーシャルワーカーに近い仕 事をして下さってます。ワンストップ事業として教育から移管され3年程経っていると思いますが、事業検証はこれまでなされているでしょうか?数値指標をお 示し下さい。また、課題解決に向け今後どのような取り組みを目指されますでしょうか?

<岡山っ子育成局長 答弁>
子ども相談主事は、学校園に関連した、子どもや家庭の抱える問題に対して、教育面だけでなく、福祉的視点からも支援することを目的として、各福祉事務所 地域こども相談センターに配置しております。現在、252学校園を対象に各センターあたり2人の計12人で業務を行っており、相談を受けた件数は、平成 22年度7,168件、23年度6,614件、24年度6,808件となっています。
学校園へのアンケート結果からは、子ども相談主事の助言や活動が問題解決に繋がったとの評価を多くいただいております。今後とも、子ども相談主事の活動・相談体制についての周知や、有効な活用に繋がるためのスキルアップを図ってまいりたいと考えております

<森山 再質問>
(1)まず、この事業はこれからもニーズが増えることはあっても減る事は確実にないと思うんですよね。さらに課題と言われた周知に力をいれれば尚のことです。

1 市内全域252校園においての主事の配置数が12名というのはあまりにも少なすぎると思います(実際に現場の担当者の方にお聞きしましたが)。3年活動してもまわりきれていないと、、。

2 12名の主事のうち、大半が学校の退職教員である事実。これは心の問題ですから専門性をもった第三者の関わりは必須だと思います。研修しますと言われますが、単年度で人の入れ替わりが激しい状況もお聞きします。

3 そもそも、国の事業であることから、スクールソーシャルワーカー事業を活用すれば他都市との課題を共有し連携が図れることや、なにより、補助金の活用ができるわけですから財政メリットがある。
やはり、この事業の主体はやはり「学校現場」であることは間違いないんですね。そもそも、この子ども相談主事というのも教育がもっていた、これまでも学校 アドバイザーなど、名前をかえながらもこの職は歴史を積み重ねてきていた。が、3年前に福祉部局へグリップが移された。試行しているが、現実にはなかな か、上下左右においての連携がうまくいかない。という現状だと思うんですよね。

、スクールソーシャルワーカー事業を教育に戻す事で、 福祉部局とのこれまでの3年間の連携実績がさらなる推進に繋がるかと思われますが?現場の先生方や子ども、保護者のためにも更なる強化を図って頂きたいと思います。ご答弁願います。

(2)激しい社会変化のなかでは義務教育段階のスクールソーシャルワークばかりでなく福祉、 教育を学ぶ大学生がボランティアで学校や家庭へ派遣されるという実践をされている自治体、大学も存在します。幅広く課題共有することで周知啓発にも繋がる のではないでしょうか?大学を巻き込んでいくべきだと考えますが?

<教育長 答弁>
本市では、教育・福祉の分野で大学生が活躍しており、教育委員会では学校支援ボランティアとして活動してもらっています。 スクールソーシャルワーカーとして大学生が活動することについては、将来の支援者育成の観点から重要と考えますが、心理・福祉等の高度な専門的知識と経験 が求められ ることから現段階では課題が多いと考えます。

3 そろそろ旧内山下小学校活用について着手を

前回の2月議会の私の代表質問にて、とりかかりとして「将来に備えるための活用」から始める事をを考えても良いのではないか?地域コミュニティ活 動やNPO等の公的機関が行う一時的事業など有効かつ効率的な活用を続けながら、「様々な事例の集積をし、将来の需要に繋げて行く」そのための環境整備が 必要ではないか?という
質問をさせて頂きました。この地においては、これまでの既存の団体利用に加え新たにNPO法人等の利用も増えております、また、県内外から重要文化財目当 ての観光客の方々もお見えになっております。つまり、実際は不特定多数の人びとが利用している。にもかかわらず、安全、清掃管理、運営等について不十分で 曖昧であること指摘せざるえません。

(1) 都心創生まちづくり構想素案も出されました、今年度中には校舎の耐震調査の結果も出ます、そろそろ「廃校跡地の活用するため」のビジョンを作成にとりかか られてもよいのではないでしょうか?まずもって、目の前の課題である管理運営改善について早期に取り組む事をお願いしたいのですが?

<政策局長 答弁>
旧内山下小学校跡地活用については、このたびお示しした都心創生まちづくり構想(素案)の中で、旧内山下小学校を含む西の丸地区について、庭園の復元も 含め全体を歴史公園として整備することとしています。その整備にあたっては、岡山城天守閣を望む新スポットとなることも考慮し、来訪者のための利便施設設 置の検討を行い、また、校舎については、文化財的価値を考慮し、存続を前提に、広く市民や観光客が利用可能で、かつ歴史公園と調和の取れた活用方法を基本 として検討を進めていくことをお示ししたところです。
跡地活用の検討にあたっては、こうした方向性を基本に、また、本年度行う予定としている耐震診断の調査結果も踏まえ、引き続き関係部局と連携し検討を進めていきたいと考えております。

<教育長 答弁>
旧内山下小学校については、教育委員会として維持管理に努めてまいりましたが、敷地内にある重要文化財を訪れる方もいらっしゃることから、その周辺の環境整備については迅速に対応してまいりたいと考えております。