2012年 11月定例議会個人質問
2012.11.12

report_201211

 

市民ネット・ニューワールドパーティ モリヤマコウジ

本議会からインターネット中継も導入されました。若い世代の投票率向上に向け選挙戦においての規制緩和、さらには投票にまで近い将来実現出来ていけ ばと思います。先に行われた市長提案理由説明でも仰られておりましたが岡山における教育力の再生については最重要課題かとおもわれます。

一問一答により質問させて頂きます。

1 地域文化、学校文化の回復のために
~コミュニティ・スクールについて~

地域における地縁血縁的なつながりの希薄化、個人主義の浸透などによる、いわゆる「地域の教育力の低下」が指摘されている。また、学校現場では、学校が多種多様な問題を抱えることによる、教員の教育活動以外による業務量増加が問題となっている。学校をはじめとするかつての組織体がそれまでの権威を失い、それにつれて、よくも悪くも子どもたちの行動を制約していた伝統的な地域力が弱まっている。その中で、子どもたちの生活環境も意識も大きく変わりつつある。そのような社会の変化に、教育行政システムが追いついて行けなくなったのではないかと思われる。社会の変化に沿って、これまでにない、新しい形での教育改革が始まっている。

ひとつは、学校に「競争」と「評価」と一定の「結果責任」を求める、つまり、教育に市場におけるような競争原理を導入することで学校を活性化させ ようという「外から」の改革アプローチである。もうひとつは、「地方分権」「学校の自立と自律性」、「住民参加」を実現しようという、つまり、学校を中心 にしつつ地域連携を促進することで「内から」の変化を作り出そうというアプローチである。コミュニ
ティ・スクールは「内から」のアプローチ、つまり「教育を分権的にする」「学校の自律性を高める」「地域連携を促進する」を促進しながら、学校や地域の自主性(および、一定の責任) を求めるという、2000年以降の教育政策の変化の象徴である。

コミュニティ・スクールとは保護者や地域住民が一定の権限と責任をもって学校経営に参加する仕組みである。市区町村教育委員会が「学校運営協議 会」を設置し「この学校はコミュニティ・スクールだ」と指定することで発足する。国や都道府県が主導するものではないという意味で、非常に分権的な制度で ある。保護者や地域住民が参加することが法律で定められている学校運営協議会は、校長から提出される学校の基本方針を承認すること、および、教員採用につ いて任命権者(人事権をもつ機関)に対して正式に意見を表明することができると法律に定められている。任命権者は「その意見を尊重すべきである」と規定さ れている。 その一方で、学校運営協議会メンバーは校長とともに学校経営を担うことの責任も負っている。

平成24年4月1日現在全国で1183校がコミュニティ・スクールに指定。これは昨年比394校増加していると文部科学省が発表しています。ま た、これまで未導入だった15道府県のうち、新たに6道府県で指定されており、さらに、文部科学省が今年の1月23日に発表した報道によれば、コミュニ ティ・スクールの指定を24年度から28年度の間で約5倍の3000校にふやすことを目標に具体策の検討に入っ
ている方針を報道しました。地域全体で学校や家庭教育を支援し、地域ぐるみで子どもの教育を推進し、地域の教育力向上などを図る取り組みを急がねばならない。

それでは教育長へお聞きしてまいります


(1)現在岡山市において指定は何校区、何中学校区ですか?またモデルまたは推進校の存在はありますか?
(2)地域との連携による学校づくりは、今なぜ必要なのか?また、目指すものは何か?いくつかの現場における現状報告をふまえお願いします。
(3)37年までには全中学校区に取り入れるということですけれど、その設定年の根拠と実現に向けての道筋をお示し下さい。

<答弁>
地域協働学校については,子どもが愛されていると実感できる家庭,学校園,地域
社会の実現や,市民協働による「自立する子ども」の育成を目的に,全学校園の指定を目
指 して取り組んでいるところです。この地域協働学校の取組は,文部科学省の研究指定
を受けた岡輝中学校区の取組を原 型に,平成16年度から,石井,中山,福田の3中学校区を対
象とするモデル事業を実施 し,平成17年度には,岡輝中学校区を正式に指定いたしまし
た。その後,指定校を拡大 し,本年10月現在,27中学校区,140校園を指定しています。

再 まだ、取り組みに入っていない中学校区についての推進についてはどのようにされておりますか?

(4)コミュニティ・スクールを学校改善のツールとして効果的に活用する上で核になる学校運営協議会についてお聞きします。

ア コミュニティ・スクールの推進とは学校、家庭、地域社会の恊働が必要だと思うが、適任としてリーダーシップ、コンダクター(仕掛人)はどの立場の人がふさわしいと考えられますか?

イ 具体的方策を企画・実践する為の委員会、部会の設置ならびに活動報告をお願いします。

ウ 運営協議会から教育委員会に対してこれまでどのような意見等が寄せられて来てますでしょうか?

再 取り組み推進も責任者は校長先生ということでよろしいでしょうか?
校長権限と学校運営協議会権限の明確化が必要だと思われますがいかがでしょうか?

エ 運営協議会の地域住民や市民に対しての活動報告はどのような形でなされておりますか?

<答弁>
学校運営協議会は合議制の機関であり,校長は,そこで協議・承認された基本方針をもとに教育活動を展開していくことになります。 部会については,「学校教育部会」,「家庭教育部会」,「地域連携部会」を置いて,学校,家庭,地域それぞれの役割を明確にして活動している中学校区もあ れば,「広報部会」を 置いて,中学校区でスローガンやシンボルマークを作成し,「あいさつ運動」に取り組む など,機能面から部会を置いて取組を推進している中学校区もあるなど,それぞれの特徴 を生かしながら取組を進めています。また,運営協議会の活動状況や成果については,それぞれ広報紙を発行したり,学校 便りで家庭や地域社会にお知らせしたりしているところです。なお,運営協議会から教育委員会へは,特色ある教育の充実に向けた教育委員会の積 極的な支援が欲しい等の意見が出ております。

オ 最もイノベーティブなのは「教職員任用に関する事項ついての意見を述べることができる」ことであると思われますが、これについての実例をお聞かせ下さい。

<答弁>
今まで出された意見としては,例えば,特別支援教育が堪能な教員の配置や教職員のリーダーとなる教員の配置などについての要望がありました。 教職員の人事については全市的な観点で行っており,実現できない場合もありますが,各学校の運営協議会からの意見は尊重し,実現に向けて努力しているとこ ろです。

カ 運営協議会委員の任命において岡山市の条文において国の方針にはない「特別職の地方公務員の身分を有する」の一文を明記したことについてご説明下さい。

キ 学校運営協議会は、これからの学校のあり方、地域のあり方について、学校と地域と共に恊働し実行していく機関であります。その 為にはPTAや学校評議委員会等の機能や役割を十分に尊重しつつ、目的達成のために変えてはならないもの、そして改善しなければならないものを整理する必 要があると思うが?ご所見を

<答弁>
地域協働学校の目的達成に向けて取り組むに当たって,PTAや学校評議員などの各種団体と連携を大切にすることは,変えてはならないことと考えています。 地域によって実情は様々であり,取組を進めるにあたって課題が生じた場合には,学校運 営協議会で十分話し合うことも大切であると考えております。


再 まず、お聞きしますが、これまでの学校評議員制度や学校関係者による評価委員会、あるいはPTA等学校支援組織などが機能している場合について、学校運営協議会への移行することへの判断材料についてお聞かせ下さい。

再 コミュニティー・スクールの導入において最大のポイントは設置を契機に、これまでの学校機構改革や課題の明確化にあると思います。学校評議員制 度は校長の求めに応じて個人の立場で学校経営などに関する意見を述べるにとどまる権限しかない、大半があて職であるということと、そこからの評価/アドバ イスがすべて最終責任として教職員にあるということに閉塞があるのではないか?また、PTAについても単年度で終わる役員構成のあり方やシステム等の検証 などであると考えますが、これにつ
いて再度ご所見をお願いします。

再 学校運営協議会と学校評議員の関係について、文部科学省では 「学校評議員は、校長の求めに応じて学校運営に関する意見を個人として述べるものであるのに対し、学校運営協議会は、学校運営、教職員人事について関与す る一定の権限を有する合議制の機関であるなど、その役割が異なる」とありますが目的達成の為に最も必要なのは学校運営協議会についての「評価と支援」だと 思います。まず評価については二通
り考えられます。 一つは、「学校の運営状況等に対して、学校運営協議会が行なう評価」であり、もう一つは「学校運営協議会の活動・運営状況等に対して、その他の機関が行なう評価」あります。現状についてお聞かせ下さい。

再 「文部科学事務次官通知」に「学校運営協議会を置く学校については、学校運営協議会においても学校の運営状況等について評価を行うなど、十分な 自己点検・評価に取り組む」とある。衆議院・参議院の附帯決議で「学校運営協議会制度の実施状況について、継続的な評価を行い、その成果と問題点を明確に することにより、この制度の在り方も含め、学校運営のさらなる改善に努めること。」という事項が付されており、また、「文部科学事務次官通知」にも「教育 委員会としても学校運営協議会を含めた学校の運営状況等について定期的な点検、評価を行い、その際、第三者評価について積極的に取り組む必要があること」 としている。

岡山においてもこのコミュニティスクールの導入は10年近くなります。更なるステップとして、まずは教育委員会 による学校運営協議会活動評価を、更には、然るべき第三者による評価/支援体制についても、今後、試験的にでも取り組んでいくことが求められるのではない かと思います。ご所見を。教育長

(5)地域コーディネーター事業は、学校と地域ボランティア、あるいはボランティア間の連絡調整を行い、地域による学校支援の実質的な運営を担う重要な存在となっております。学校と地域をつなぐ役割である地域コーディネーター、地域ボランティアについてお伺い致します。

ア 現在地域コーディネーター事業をしている所はありますか?また、現在市域において何人のコーディネーター、ボランティアがいらっしゃいますか?多い学校、少ない学校それぞれお答え下さい。

<答弁>
現在、地域コーディネーター事業は、7中学校区、29校園で実施しております。
地域コーディネーターは、合計で18人おり、1中学校区で、多いところでは5人、
少ないところでは1人配置しております。 また、学校支援ボランティアは、10月末現
在、合計で6,999人となっております。全市登録となっている大学生を除き、多い中学
校区では863人、少ない中学校区では28 人となっております。

イ 地域コーディネーターやボランティアの方々への教育システム、また人材確保については誰がどのように行っておりますでしょうか?現状と課題について教えて下さい。

<答弁>
教育委員会では、年6回、専門家や先進的な取組を行っているコーディネーター、ボランティア活動を行っている方々を講師に招いて、実践例や体験談の発表を していただい たり、参加者同士が意見交換したりするなどの研修会を開催し、資質の向上、育成に努め ております。また、中学校区においても交流会などの意見交換、情報共有の場を設けてお ります。しかし、学校ごと、地域ごとに状況がそれぞれ違うため、研修で学んだことを参考に、 いかにしてその地域における実践に結びつけるかということが大切であると考えておりま す。なお、人材確保については、原則学校が行っておりますが、特に、様々な社会経験や知 識が求められるコーディネーターについては、人材の発掘や後継者の育成が課題となって おります。

ウ 学校と地域の考えや意識というものを共有する為のハード面について環境整備について教えて下さい。

<答弁>
コーディネーターが、教職員やボランティアとの打合せなどを行うため必要な
拠点となる専用スペースがあるのは1校、共用スペースがあるのは1校となっておりま
す。 その他の学校では、職員室や会議室などで打合せなどを行っております。

例えばですが職員室に地域コーディネーターや学習支援ボランティアの方々の机や椅
子があるのが当たり前のようになれば地域の価値観が入った中で教職員とのコミュニ
ケーションが出来、新しい発想が生まれるのではないでしょうか?まずは試験的にで
も実践されてみてはいかがでしょうか?

エ ホームページなどにおいて、地域コーディネーターの自己や役割やその事業につ
いての紹介をより多くの市民にコミュニティ・スクールに関心を持っていただけるよ
うにその活動を広く紹介するできるようインターネット上での広報充実を図って頂き
たいのですがいかがでしょうか?

<答弁>
現在、学校や教育委員会のホームページ等で紹介をしておりますが、今後とも、その充実に努めてまいりたいと考えております。

(6)コミュニティ・スクールについてへの教職員や公民館等の行政職員への意識の高揚のための研修等についてはどのようになさっておられますか?

<答弁>
教職員については,地域協働学校に指定されている学校園を対象に毎年研修を
行っております。 公民館等の職員については,学校運営協議会の委員として活動してい
る地域もあることから,今後,より多くの人に地域協働学校の趣旨を広めてまいりたいと
考えています。

(7)地域文化や学校文化の回復を目指すことについて企業や地域コミュニティ団体等の中にはコミュニティ・スクールと目的が重なるニーズをもつ組織もあると思うが情報共有、並びに連携の方はなさっておられますでしょうか?

<答弁>
中学校区の青少年育成協議会や,民生委員・児童委員等と連携した取組を行っております。 中学校区によっては,児童生徒が職場体験でお世話になっている地域の事業者等と連携し,運営協議会等で児童生徒の取組状況の評価を行ってもらっている例があります。

(8)行政における縦割りの仕組みのなかでコミュニティ・スクールと地域コーディネーター事 業、家庭教育支援事業、放課後子ども教室、学童クラブ、公民館等、子どもに関わるシステムは多様になっていますが、市教委の段階で誰がどう上手くコーディ ネイトしていくのか、コミュニティ・スクールが指定される時点で行政内での交通整理が必要ではないかと思いますが?ご所見を

<答弁>
岡山市では,中学校区によって多様な実態があることから,地域の実態に応じて取
組を進めることが大切であると考えており,子どもにかかわる組織を一律に整理するの
ではな く,地域の実態に応じて,各種組織の代表が参加する学校運営協議会や学校評議委
員会等 の中で整理するべきものと考えています。

再 コミュニティ・スクールは社会の大きな変化のなかで制度疲労を起こした学校を見直し、地域の子どもを育てる視点で、新たな学校 経営、学校文化を構築していく為のツールだと思います。さらには、学校が地域の拠点になり、地域文化コミュニティの回復を目指すものだと思います。教育委 員会だけ学校だけの問題にせず、庁内連携横断それからの公民連携体制の構築が必要だと思いますし、この政策が新たな社会保障(セーフティネット)の柱にな りえると考えております。

最後に市長のご所見をお伺いさせて下さい。

市長 推進して参ります(そっけなく)

(9) コミュニケーション教育の必要性について

 現在の日本の労働人口の7割は第三次産業に就いていると言われる。サービス業、人と関わる仕事では、コミュニケーション能力には 柔軟性が不可欠であると考えられる。産業の仕組みが大きく変化しているにもかかわらず、昨今の教育制度はそれに答えきれていない。時代にあった社会的コン センサスをとることは義務教育の役割ではないかと思います。そんななか芸術家が学校現場に入っていく活動が昨今、全国に広
がりをみせています。文科省による児童生徒のコミュニケーション能力の育成に資する芸術表現体験、次代を担う芸術表現体験事業というニューがありますが、これについて伺います。

(ア)市域での取り組み校はありますか?あれば何校で現状報告と課題についてお聞かせ下さい。

(イ)これからコミュニケーション能力を養うために、この事業はとても大切であると思いますが、各校だけでなくこの事業について市民へ向けて現在行っている普及啓発についてお聞かせ下さい。

<答弁>
平成24年度は,小学校1校,高等学校1校が「コミュニケーション能力の育成に資する芸術表現体験」に,小学校2校,中学校2校が「次代を担う芸術表現体験」の「巡回公演事業」に参加しております。
これらは,演劇の手法を取り入れたり,劇団員と一緒に劇を演じたりすることにより,コミュニケーション能力の育成を図る,有効な手段であると認識しており ます。 本事業は,児童生徒向けの事業であり,市民に向けての実施ではありませんが,「巡回公 演事業」では,保護者の方が参観している例もあります。